札幌市教委 5年度人間尊重の教育 多様性に向き合う学校教育の推進⑥ 「共生」基本に学習環境整備 帰国・外国人児童生徒への支援
(札幌市 2024-04-23付)

北九条小学校

【課題3 帰国・外国人児童生徒等への支援を窓口に人間尊重の意識を高める研究の推進】

▼児童生徒・学校の実態

▽本校には日本語指導を必要とする児童が1年生から5年生までで13人おり、国籍も多様

▽本校の児童は帰国・外国人の子どもたちと出会い、一緒に学んでいく環境が入学した時から当たり前となっている

▽帰国・外国人の児童の大半は、文字を読んだり話したりは可能だが、通常の教科学習や学校生活、日本文化の理解度がまだ低いため、コミュニケーションに困難を感じる場面が多くある

▽多様な国籍の児童が在籍するが、国籍にかかわらずコミュニケーションが苦手な子がいる

▽児童・教員・保護者をつなぐ、誰もが尊重され安心して登校できる環境を整えることで、多様性を認め、異なる価値観を承認し合える学校になることが必要である

▼ねらい(目標)

▽みんなでつくる寄り添い安心できる場

・多様性を認め、理解しながら関わりを持つことで、相互承認できる環境をつくる

▼活動内容

▽学級担任を一人にしない、学校全体で子どもたちを育てていく「人」を大切にした連携体制を構築し「共生」を基本とした学びの環境づくりに重点を置いている

▼学級環境

 帰国・外国人児童が在籍する学級の担任は、学級において、学習面と生活面での丁寧な指導を心がけている。違いを互いに認めながら望ましい人間関係を築けるような環境をつくる。

▽理解を助ける学習の工夫

・易しい言葉を使用する(短く・簡単な言葉を選ぶ)

・ゆっくりはっきり話す

・板書は短い言葉で分かりやすく書く

▽相手を理解し関わりを生む工夫

・座席配置(話しやすく、手助けしてくれる友達を近くに)

・宗教や文化の理解(お祈りの時間を確保したり、食事の違いを説明したりする)

▼日本語の環境

 日本語指導担当教諭は、学級担任や保護者と相談しながら対象児童への日本語指導を行っている。在籍する学級に入り込んだり、別教室(国際交流室)において学習指導や生活指導を行っている。

 帰国・外国人児童が不安を多く抱える初期指導を充実させ、時には母語で話をすることもできる場にして、より安心できる環境をつくる。

▽重点内容

・教科補助・日本語指導の充実

・学級担任と相談し実施する

・初期指導は回数を多くする

・週1~2回程度で「取り出し指導」や「入り込み指導」を行う

▼学校全体の体制

 学級の子どもたちだけではなく、学校全体で一人ひとりの子どもたちを理解し多様性を認め合いながら関わることができる体制づくりを行う。

▽学年担任

・学年での育ちを支援する

▽担任外

・受け入れ時には保護者とも連絡を行い細かな面接を行う

▽栄養教諭や養護教諭

・子どもや保護者の食や体のケアを丁寧に行う

▽用務員

・登下校時の見守りを行う

▼成果

「みんなちがってみんないい!」

 子どもたちが多様性を認め、理解しながら自然と関わりを持てる姿を目標に研究を推進してきた。

▽帰国・外国人児童等への支援を窓口として、分かりやすさや共感した関わりを一人ひとりの教師が意識することで学級内のどの子の理解も助けるUD化につながった

▽子どもたちも、多様性を認め、理解しながら自然と関わり相互承認できる環境が生まれた

▼課題

「学校の体制づくりの重要さ」

▽コミュニケーションの壁への支援

・日本語指導担当教諭や他の教師の関わり(学級担任を助ける校内での連携)が必要

▽保護者の困りへの支援

・保護者の困りには職員室にいる担任外の教諭が対応し、帰国・外国人児童の困りには、日本語指導担当教諭が対応する体制をつくっている

・しかし、保護者の困りの解決にはまだ不十分であると感じている

▼今後の取組の方向性

「学校体制づくりの見直しと強化」

▽保護者とのコミュニケーションを増やす

・学級担任だけではなく、日本語指導担当教諭は当該児童の困りを共感したり、日本語や教科の力について保護者と共有したりすることに、より重点を置く

▽校内の連携体制の見直し

・帰国・外国人児童の保護者との関係づくりができる窓口を増やし、学級担任を支援することで、子どもに合った支援を十分に行き届ける体制を再構築する

(札幌市 2024-04-23付)

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