札幌市教委 5年度人間尊重の教育 多様性に向き合う学校教育の推進⑤ 子の実態に合わせ指導 帰国・外国人児童生徒への支援(札幌市 2024-04-22付)
資生館小学校
【課題3 帰国・外国人児童生徒等への支援を窓口に人間尊重の意識を高める研究の推進】
▼児童生徒・学校の実態
▽創成小、豊水小、曙小、大通小の4校を統合し、子育て関連の複合施設として市内中心部に誕生。5年度は開校20周年。記念行事は、児童委員会の児童が中心となって企画・運営するなど、自治的な活動として実施した
▽約480人の児童のうち、帰国・外国人の児童は数人程度であるが、国籍の違いによらず多様な背景を持つ児童が多数在籍している
▽児童アンケートでは「自分の意見を進んで発言しようとしている」「自分の考えが伝わるように話の内容や順序を考えている」など、言語を用いた学習活動について肯定的に成果を感じている児童は全体の7割程度と、言語理解への困難が、学習やコミュニケーションへの障壁となっている可能性が見受けられる
▼ねらい(目標)
▽帰国・外国人児童を中心に、言語理解に困難を感じている児童への合理的な配慮に基づいた指導と評価を通して、自分や他者の良さに目を向けることのできる態度を育てる
▼活動内容
▽子どもの実態に合わせた学習指導
・帰国・外国人児童の日本語理解の状況に応じた教育内容の取り出し指導や入り込み指導の実施
※取り出し指導〓指導協力者と校内担当教員による指導(45分/週2~3回)
※入り込み指導〓校内担当教員による指導(随時または特定の教科)
▽合理的な配慮に基づいた学習評価
・取り出し指導や入り込み指導の状況を配慮した学習評価
・学習目標との整合に配慮した学習評価
▼成果
▽児童の自信につなげる関わり
・日常の授業では、簡単な日本語での説明や指示を心がけた。机間指導の際は、言葉の意味やイメージの補足などを行った
・テストを受ける際は、問題文の理解を助けるための説明を補足した
※児童が、自分の力で「できた」「分かった」と感じることで、学ぶ意欲を喚起することができた
▽児童を励まし、自信を強化する関わり
・テストの返却時等は、本人への励ましの言葉かけや補足の説明を行った
・学習の状況や評価の方法などについて保護者と事前に打ち合わせを行い、共通理解を図った
※個別に配慮した評価の信頼性や妥当性を確保すると同時に、家庭での励ましも得られ、児童の一層の自信につながった
▼課題
▽アセスメントの重要性
・児童の日本語の理解度を「対話型アセスメント」(DLA)の結果に基づき、JSLカリキュラムを参考に指導計画を立てている。複数の指導者がいる場合は、これらの共通理解を図ることで、より効果的な指導ができると考える
・アセスメントや指導計画の作成に当たっては、研修を活用するなど、指導者がより理解を深める機会を設ける
※帰国・外国人児童の感じている困りが、言語理解によるものか、他の要因によるものかを的確に判断することで、必要な支援を見定めることができる。また、評価の妥当性や信頼性を確保することにもつながる
▼今後の取組の方向性
▽教職員の意識向上と支援の幅
・研究から、言語の理解に困りを感じている児童への支援の在り方として、個別の関わりと合理的な配慮に基づいた学習評価が有効であることが確かめられた
・言語の理解に障壁を感じている児童は、帰国・外国人の児童だけにとどまらない。研究の成果と課題を共有し、教職員の人間尊重の意識の向上を図るとともに、多様な背景によって学習や生活への困難を感じている児童への支援の幅を広げていきたい
(札幌市 2024-04-22付)
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