財政審分科会 財政運営へ建議 教員給与 負担に応じた体系を 一律引き上げに否定的見解(国 2024-05-27付)
財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会・財政制度分科会は「我が国の財政運営の進むべき方向に関する基本的考え方」の建議をまとめた。教員の給与水準を一律に引き上げる案に否定的見解を示し「主任手当の引き上げなど、負担の軽重に応じためりはりある給与体系とすることが基本的な考え方であるべき」と主張。処遇改善に必要な財源を安定的に確保するため、文部科学省の施策全体を見直す必要性を提起した。
中教審特別部会による審議まとめでは、教職調整額を現行の4%から10%以上に引き上げるよう提案。7年度予算編成において教員の処遇見直しが行われる見通しとなっている。
同会は近年の教員の採用倍率低下の要因として「必ずしも教職の人気低下によるものではなく、教員の年齢構成による近年の大量退職・大量採用に伴う構造的な現象」と主張。中・長期的に質の高い人材を採用するため、働き方改革、デジタル化、外部人材の有効活用によって業務効率化の徹底を図る必要性を示した。
民間や一般行政職とのバランスを考慮する観点からも意見。教員の給与は人事院勧告によって大幅に改善されており今後も続く可能性が高く、退職手当が優遇されている点を指摘した。
人材確保法による教員の優遇分の水準を確保する教職調整額の引き上げに関しては「教職調整額を含む教員に特有の手当等を合わせると、教員1人当たり平均で残業18時間分の手当(給料の9%相当)が既に支給されている」と主張。教員の勤務時間には大きな幅があり、長時間勤務を固定化する懸念から既定の給与予算を最大限に活用する必要があるとし「一律に給与水準を引き上げるのではなく、例えば負担が大きい主任手当を引き上げるなど、負担の軽重に応じためりはりある給与体系とするのが基本的な考え方であるべき」と主張した。
今後の処遇改善に必要な財源を安定的に確保するため、歳出・歳入の両面から文科省の施策全体を抜本的に見直す必要があるとし、児童生徒数の減少を踏まえた加配定数の合理化、調査研究事業や租税特別措置の見直し、紙・デジタル教科書の併用解消、長期間継続する事業や性質が近い事業の見直しを提案した。
(国 2024-05-27付)
その他の記事( 国)
経産省「未来の教室」公募開始 民間サービスでDX推進 教育資金調達実証に着手
経済産業省は、6年度「未来の教室」実証事業の公募を開始した。民間企業など外部リソースを活用した教育DXの事例創出に取り組むほか、学校外において学びの場を提供する「学びのサード・プレイス」、...(2024-06-27) 全て読む
骨太の方針が閣議決定 教調整額 10%以上に引上げ 学級担任手当など給与改善
政府は21日、経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針)を閣議決定した。教職調整額の水準を10%以上に引き上げることを明記。学級担任や管理職手当などの給与体系を改善するほか、新たな...(2024-06-25) 全て読む
運動部活動の地域移行実証 道内で28市町村が採択 新規 岩見沢市など10自治体
スポーツ庁は18日、地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業の実施予定自治体(6月時点)を公表した。道内からは札幌市を含む28市町村が採択された。うち新規は岩見沢市など10市町となっ...(2024-06-20) 全て読む
日中韓教育大臣が共同宣言 DX、青少年交流で協力 次回会合は日本で開催
日本、中国、韓国は15日、韓国のソウルで開かれた第4回日中韓教育大臣会合で「2024年日中韓教育イノベーション宣言」を採択した。教育のDXや青少年交流の強化など教育における協力の方向性を確...(2024-06-18) 全て読む
政府 骨太の方針2024原案教員の処遇 抜本的に見直し 給特法改正案 来年国会提出
政府は11日の第8回経済財政諮問会議で、経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針)の原案を示した。教職調整額の水準や各種手当を見直し、教員の処遇を抜本的に見直す方針を明記。給特法の...(2024-06-13) 全て読む
教職調整額引上げ 国負担は720億円 盛山文科相会見
盛山正仁文部科学大臣は14日の記者会見で、中教審の質の高い教師の確保特別部会の審議のまとめで教職調整額の引き上げが提言されたことを受け、追加的な所要額が720億円になる試算を示した。新たな...(2024-05-16) 全て読む
英検準2級相当以上の高校生 道内51% 全国以上に デジタル教科書 小中99%で活用
文部科学省は5年度英語教育実施状況調査結果を公表した。英検準2級相当以上の英語力を有する道内高校3年生の割合は51・1%となり、調査開始以来初めて全国平均を上回った。英検3級相当以上の中学...(2024-05-13) 全て読む
金融経済教育推進機構 全国の学校に講師派遣 研究校制度も 8月事業開始
金融経済教育推進機構(J―FLEC)は、今後全国で展開する事業計画を決定した。無料で学校等に講師を派遣する出前授業を開始するほか、研究費の助成を行う研究校制度を創設。研究費の助成や指導案の...(2024-05-07) 全て読む
校務DXの進捗状況を可視化 国がダッシュボード公開 道内 教職員間の資料共有進む
文部科学省は、デジタル庁と共同開発した「校務DXダッシュボード」を公開した。校務DXの推進状況を地域・都道府県・市町村別に一覧化して比較できるもの。2月時点の道内の状況をみると、クラウドサ...(2024-05-01) 全て読む
特別免許状 活用促進を 文科省が運用指針改訂案 アスリートなど専門人材登用
文部科学省は特別免許状に関する運用指針の改訂案を24日の中教審教員養成部会で示し、了承された。授与のみならず採用・研修を含む総合的な指針として改めるもので、アスリート、博士号保有者、ICT...(2024-04-26) 全て読む