市立函館高 授業で生成AI活用 授業準備が効率的に チャットGPTで英作文添削(学校 2024-11-11付)
授業では、添削結果をもとに英作文を修正した
【函館発】生成AIの教育現場での利活用が模索される中、市立函館高校(花松均校長)は、生成AIの指示文作成における補助ツールを導入し、授業等で試行している。英語科では、教員が英作文の添削にチャットGPTと指示文のテンプレートを活用。添削結果の事実確認と詳細情報の追加を並行して、効率的かつ効果的に授業準備を進め、授業中の生徒との柔軟な関わりにつなげている。
ツールは、教育DX支援事業を手がける㈱FCEが提供する「FCEプロンプトゲート・アカデミック」。生成AIの指示文作成に係る、教育機関向けに制作されたプラットフォームで、授業や校務に活用できる指示文のテンプレートに加え、指示文の作成スキルを学ぶ動画などを備えている。
同校はこれまでも、生徒の資質・能力や各種取組の教育効果を定量化するAI補正・分析ツール「Ai GROW」を導入するなど、教育活動とAIの融合を積極的に推進。夏ごろには、FCEプロンプトゲート・アカデミックを取り入れ、若手教員を中心に授業等での活用を進めている。
英語科を担当する工藤慶文教諭は、指示文のテンプレートを活用し、チャットGPTで生徒の提出物を添削。生徒が書いた英作文をテンプレートに落とし込むと、条件に応じて論理の流れや文法・語彙に対する講評、改良に向けた提案などが示されるよう設定した。
生徒一人ひとりの添削結果に目を通し、英作文の内容を深めるために必要な視点を付け足したり、コメントを書き加えたりするなど、ファクトチェックと指導を同時に進行。情報の真偽が不確かなデメリットを持つ生成AIを使いこなし、作業時間の短縮とともに学習内容の深化につなげている。
授業では、工藤教諭のチェックが入った詳細な添削結果を生徒に配布し、グループで話し合いながら英作文の加除修正を進めた。机間指導の中で添削結果を解説し、生徒の質問を受けて新たな提案を示すなど、個に応じた学びを展開。生徒たちは、自身の英作文をクラウドで共有して評価し合い、学びを深めている。
工藤教諭は「体感では添削作業にかかる時間が半分に削減された」と話す。「文法の誤りが生徒間で似通うことが多い中で、細かい部分を見落とすことなく、個人に沿った内容を見取り、全員に質の高い添削結果が提供できる」と手応えを口にする。
ツール活用においては「指示文作成の流れを学ぶことができる。指示文を新たに提案することもでき、各地の学校と共有することで実践が増えそう」と活用の広がりに期待を寄せる。
生成AIを活用した添削結果に対して、生徒58人のうち8割以上が「役に立った」、9割以上が「分かりやすかった」と回答。「生成AIは細かい文法も見てくれる。先生は私が伝えたいことをくみ取ってくれる」「生成AIが指摘したものに対して、先生がさらにアドバイスをくれたことでさらに分かりやすかった」と、両者の良さを踏まえて学習効果を実感する声が寄せられている。
授業を視察した檜山教育局高校教育指導班の遠藤友洋指導主事は「生成AIの活用によって生徒たちが自ら課題を認識して学習を進めることができている」と評価。一方で「表現力の向上、学習の定着に向けて、添削結果を参照するだけで終わらないよう、生徒の変容に気付くための仕掛けが必要」と、生成AIを活用した学びの深まりを期待する。
1年生英語科では現在、ライティングによる思考整理を重点的に進めており、今後は英作文を踏まえたスピーキングによるパフォーマンステストを行う。工藤教諭は「学年ごとに学習を積み重ね、将来的には生徒間のディベートなどによって、生きた英語の習得に力を入れたい」としている。
(学校 2024-11-11付)
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