2定道議会予算特別委員会(7月7日)の質問・答弁概要
(道議会 2015-09-07付)

 二定道議会予算特別委員会(七月七日開催)における千葉英也委員(自民党・道民会議)、中川浩利委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、山本広海教育部長、杉本昭則学校教育監、菅原行彦学校教育局指導担当局長、佐藤和彦学校教育局特別支援教育担当局長、馬橋功教職員課長、赤間幸人高校教育課長、小原直哉特別支援教育課長、竹林亨学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の答弁の概要はつぎのとおり。

【子ども相談支援センター】

千葉委員 道教委は、子どもたちをはじめ道民からの電話相談などを受け、必要な支援を行う「子ども相談支援センター」を設置することとし、本議会に予算案が提案されたことを承知している。

 その内容について、数点伺う。

 道教委では、これまでも、道立教育研究所が二十四時間の電話相談事業を行っていた。このたび、その役割を含めて「子ども相談支援センター」を新たに設置するということだが、具体的に、この新しいセンターでは、どのような取組を進めるのか伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 子ども相談支援センターの取組内容について。道教委では、これまで、道立教育研究所において行っていた電話等による相談事業を、八月をめどに、本庁に開設する予定の「子ども相談支援センター」で実施することとしている。

 具体的な内容としては、引き続き、二十四時間の電話相談や面談を通して相談のあった、いじめや不登校、体罰など学校等で生じる問題で苦しんでいる児童生徒や保護者に対し、相談内容に応じ、関係機関との迅速な連携や、専門家による機動的な対応を行うとともに、これら支援状況の進行管理を行い解決にまでつなげるなど、これまで以上にきめ細かな支援を行う。

千葉委員 近年の電話相談の件数はどのようになっているのか伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) これまでの電話相談について。道立教育研究所におけるこの三年間の相談電話の件数は、二十四年度二千七十一件、二十五年度一千九百十三件、二十六年度一千七百十二件となっている。

千葉委員 支援センターに移管することによって、どのような支援策の充実が図られるのか伺う。

菅原学校教育局指導担当局長 支援策の充実について。「子ども相談支援センター」では、相談内容についての詳細な状況を把握し、相談内容に応じ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを派遣し、現地での調査や関係機関との連絡調整などを行い、問題の解決を図ることとしている。

 また、相談内容が児童生徒の生命、心身または財産に重大な被害が生じたり、生じることが予想されるなど、特別な対応が必要と判断される場合には、「子ども相談支援センター」が、児童相談所等の関係機関からなる「子ども相談支援対策プロジェクトチーム」を招集し、問題解決に向けた必要な支援や対応方法を検討の上、決定し、迅速かつ、きめ細かな対応を行うこととしている。

千葉委員 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは十分に確保できているのか伺う。

竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) スクールカウンセラー等について。道教委では、二十七年度、「スクールカウンセラー活用事業」によって、スクールカウンセラー百五十五人を任用し、小学校十三校、中学校二百六十一校、高校七十四校、特別支援学校七校で、小・中学校には、週一回程度、高校・特別支援学校には、月一回程度、年間を通して計画的に相談活動ができるようにしている。

 また、「スクールソーシャルワーカー活用事業」によって、スクールソーシャルワーカー四十三人を任用し、道教委に五人、要望のあった市町教委に三十八人を配置しており、いじめの問題や不登校等の児童生徒が抱える問題の解決や、相談活動に携わっている。

千葉委員 いじめでは、加害者となる子ども、被害者となる子どもそれぞれに、対応することが大変必要になるかと思う。また、その相談内容によっては、解決までに長い時間が必要になる場合もあると聞いている。そう考えた場合、カウンセラーなどは、先ほどの答弁にあった人数は十分ではないと考えるが伺う。

菅原学校教育局指導担当局長 スクールカウンセラー等の確保について。いじめや不登校、体罰など学校等で生じる問題で苦しんでいる児童生徒に対し、問題解決に向けた支援を行うためには、児童生徒一人ひとりに応じたきめ細かな対応が必要であり、そのためには、委員指摘のとおり、解決まで時間を要する事案もある。

 国では、中央教育審議会において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充について議論されており、道教委としては、こうした国の動向を注視しつつ、このたび開設する「子ども相談支援センター」の機能を十分に発揮するという観点からも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充に努めていく。

― 指摘 ―

千葉委員 相談件数は、年々減少傾向にあるということであるが、しっかりとその効果が表れて、減少傾向にあるものなのか、何らかの障害があって相談したくても相談できにくい、人がいないという部分もあるかと思う。そこも十分把握して、しっかりときめ細やかな対応を心がけていただきたい。

【特別支援学校の整備】

千葉委員 先般、道教委から「二十八年度公立特別支援学校配置計画案」が示され、先の文教委員会で、わが会派の同僚議員から、特別支援学校の整備状況などについて伺った。

 きょうは、職業学科を設置する知的障がい特別支援学校高等部、いわゆる高等支援学校について、また、高等部のほかに小・中学部が設置されている、いわゆる義務併置校の整備について、数点伺う。

 まず、道央圏における進学希望者増への対応について。

 ここ十数年、高等支援学校への進学希望者が増加していると思うが、その中でも、道央圏の進学希望者の増加が著しいため、配置計画案では、二十八年度は「三学級増」、二十九年度は「十二学級相当の間口の確保を検討」するとしている。このように、大幅な間口増が予定されている道央圏について、今後、道教委は、どのように間口の整備を図るのか伺う。

小原特別支援教育課長 道央圏における進学希望者増への対応について。高等支援学校への進学希望者は年々増加しており、特に、道央圏では、札幌市を中心に、今後も大幅な増加が続く見込みである。

 こうした中、道教委では、二十八年度には、二十七年度に、臨時的に増やした学級を解消した上で、閉校した札幌拓北高校の校舎を活用して六間口四十八人定員の新設校を整備し、間口確保を図ることとしている。

 また、二十九年度には、札幌市において、市南部に七間口五十六人定員の新設校を整備する考えが示されており、道教委としては、札幌市と連携を図りながら、市立の新設校のほか、既存校における間口確保について検討している。

千葉委員 受入体制の確保について。

 道央圏における今後の間口整備について伺った。答弁では、閉校した札幌拓北高の活用や札幌市南部の新設校など、札幌市内での間口確保が中心であるが、道央圏は、札幌市を含む石狩管内のみならず、空知、後志、胆振、日高の五管内で構成されているものと承知している。

 私の地元である室蘭市は、胆振管内に位置しており、伊達高等養護学校が設置されているが、隣の日高管内に高等支援学校は設置されていない。道教委は、これまで、どのような考え方で高等支援学校進学希望者の受入体制の確保に取り組んできたのか伺う。

小原特別支援教育課長 受入体制の確保について。道教委では、高等支援学校を道内六圏域ごとに整備し、各圏域における特別支援学校の配置状況を踏まえつつ、中学校特別支援学級在籍者数に、近年の高等支援学校への平均出願率を乗じるなどして、出願者数を推計した上で、進学希望者に見合う間口を確保できるよう、既存の学校の学級増や新設校の設置などによって、受入体制の整備に取り組んできた。

千葉委員 高等支援学校の整備は、圏域ごとに行うという道教委の考え方は一定程度理解する。日高管内に高等支援学校が設置されていないということは、日高管内から他管内の高等支援学校へ進学している生徒がいるのではないかと考える。

 そこで、例えば、日高管内に、すでに設置されている平取養護の高等部の学科を見直すなどして、日高管内から他管内の高等支援学校に進学している生徒を受け入れることが可能ではないかと考える。そうすることによって、生徒がより身近な地域の学校に進学することができるようになり、また、身近な地域に進学することによって、札幌市を含む石狩管内等、他管内の学校の間口に余裕が生まれるのではないかと考えるが、道教委の見解を伺う。

佐藤学校教育局特別支援教育担当局長 日高管内の進学希望者への対応について。日高管内から札幌市およびその近郊の高等支援学校に進学している生徒は、毎年度十人程度おり、本年度は、隣接するその他の地域へ進学している生徒も含めると十三人の生徒が他管内の高等支援学校へ進学している。

 道教委では、三十二年度をめどに、六圏域それぞれの地域や学校の状況に応じた学科設置を検討し、進学を希望する生徒が、より身近な学校で学ぶことができるよう、新しい形の高等部への移行に取り組んでおり、引き続き、生徒の進学動向や今後の推移、地域の状況等を踏まえて、平取養護も含めた高等部の在り方について検討していく。

千葉委員 平取養護は、いわゆる義務併置校であり、私の地元には室蘭養護学校が設置されている。しかし、東胆振地区には、義務併置校が設置されていないため、この平取養護の通学区域とされている。

 また、先般の文教委員会における答弁では、人口十万人以上の道内の都市は九市あり、それぞれの市とその近郊を含めた九つの都市部のうち、東胆振地区の苫小牧市およびその近郊にのみ、義務併置校が設置されていないとのことである。

 平取養護は、苫小牧市から通学可能な範囲に設置されていないため、就学するには、寄宿舎に入舎する必要がある。しかし、様々な事情によって寄宿舎への入舎が困難な児童生徒がいると聞いており、また、自宅から通学を希望する場合もあると聞いている。

 このような場合、苫小牧市内の小・中学校の特別支援学級に就学することになるが、市内の小・中学校特別支援学級には、知的障がいの程度が特別支援学校相当と考えられる児童生徒が何人在籍しているのか、小学校、中学校別に伺う。

小原特別支援教育課長 特別支援学級での在籍状況について。二十七年五月現在、苫小牧市内の小・中学校の知的障がい特別支援学級に在籍する障がいの程度が特別支援学校相当と考えられる児童生徒は、小学校には二十六人、中学校には五人、合計三十一人である。

千葉委員 苫小牧市において、特別支援学校への就学が適当と判断された児童生徒の通学区域となっている平取養護について伺う。

 全在籍児童生徒数と、そのうち、苫小牧市に保護者が居住する全児童生徒数、その割合を伺う。その学部別の内訳を併せて伺う。

小原特別支援教育課長 平取養護の在籍児童生徒数等について。二十七年五月現在、全在籍児童生徒数七十四人のうち、苫小牧市に保護者が居住している児童生徒数は六十二人で、その割合は八三・八%となっている。

 また、学部別では、小学部の在籍児童数十五人のうち、苫小牧市に保護者が居住している児童数は十人で、その割合は六六・七%、同様に、中学部の在籍生徒数二十一人のうち十八人であり、その割合は八五・七%、高等部の在籍生徒数三十八人のうち三十四人で、その割合は八九・五%となっている。

千葉委員 これまでの答弁から、苫小牧市内の小・中学校の知的障がい特別支援学級に在籍している、障がいの程度が特別支援学校相当と考えられる児童生徒数と、平取養護の在籍者のうち保護者が苫小牧市内に居住している児童生徒数を合計すると、九十三人になる。これだけ多くの対象となる児童生徒がいるのであるから、自宅から通学できる範囲、つまり、苫小牧市に義務併置校を設置するのも一つの方策ではないかと考える。

 しかし、一方で、苫小牧市に義務併置校を設置し、対象となる児童生徒が全員、その学校に在籍すると仮定した場合、単純計算で平取養護の在籍児童生徒数は十二人と小規模になる可能性もある。

 先ほど答弁いただいた平取養護高等部の在り方の検討と、苫小牧市への特別支援学校の設置をからめて検討する必要があると考えるが、道教委の見解を伺う。

杉本学校教育監 義務併置校の整備について。道教委としては、苫小牧市およびその近郊における学校の整備について、東胆振・日高地区全体の児童生徒の就学状況や今後の推移、保護者のニーズはもとより、小・中学校の空き校舎など既存施設の活用、さらには、平取養護学校の地域で果たす役割等を十分に踏まえた対応が必要であると考えており、今後、当該地域における学校の整備について、苫小牧市など、関係市町村と連携して検討を進めていく考えである。

千葉委員 これまでの質問で、一口に道央圏における特別支援学校の整備と言っても、札幌市を中心とした高等支援学校への進学希望者の急増にかかる対応や、日高管内には高等支援学校が設置されていないため、日高管内から札幌市およびその近郊へ高等支援学校の進学希望者が流出していること、東胆振地域に義務併置校が設置されていないこと、平取養護が地域で果たしている役割など、様々なことが関連している。

 こういった課題が解決されていけば、道央圏において配置バランスのとれた学校整備につながるものと考える。また、このような課題は、道央圏のみならず、他圏域にもあるのではないかと考えている。

 そこで、道央圏のみならず、全道における高等支援学校の整備について、道教委はどのように考えているのか伺う。

柴田教育長 高等支援学校の整備について。道教委では、進学希望者が増加傾向にある高等支援学校について、できるだけ身近な地域において教育を受ける機会を確保できるよう、高校や小・中学校の空き校舎・空き教室など既存施設を活用した分校等の設置を含め、受入体制の整備を図ることとしている。

 今後においても、障がいに応じた専門的な教育を受ける機会を確保するという観点に立ち、生徒の障がいの状況や、本人・保護者のニーズを把握しながら、圏域を基本とした必要な受入体制の整備を図っていく考えである。

【労働法教育について】

中川委員 新規高卒者の三年以内離職率について、道労働局による二十三年卒業時から二十六年三月までの三年間の状況によると、全国で三九・六%、北海道では五〇・五%という大変に高い割合で離職がなされている。

 同じ調査で、新規短大卒においては四四%、新規大学卒においては三八・二%となっており、いずれも本道は全国より高く、そして、男性より女性が数ポイント高いと承知している。

 高橋知事は、道政執行方針において、人々が地域に定着するためには、若者が安心して働き、結婚や出産、子育ての希望をかなえる環境を築いていくことが重要との認識を示している。

 では、現状、若者が安心して働ける環境になっているかというと、必ずしもそうではない。

 例えば、「ブラック企業」「ブラック・バイト」と言われるような、労働基準法に意図的に違反し、労働者を使い捨てるような企業・働かせ方が、身近な企業においても存在していると聞く。

 企業側の知識不足によって、違法性を認識せず、知らないうちに法に違反してしまう事例もあると聞く。

 違法な働かせ方をする企業の責任は言わずもがなであり、根絶に向けては、道、労基署などによる取組を期待するが、問題だと考えるのは若者、特にバイトをしている学生、学校を卒業したばかりの新規学卒者が、労働法の知識がないが故に、本人も気づかずに質の悪い労働環境下に置かれ続けてしまう。そして、我慢を続けるうちに心の病気になったり、早期離職につながっていくような状況があると感じる。

 そこで、労働法教育の必要性について伺っていく。

 若者に安心して働いてもらうためには、社会に出る前に、最低限身に付けさせておくべき「働く上でのルール」が数多く存在すると考えているが、こういった「働く上でのルール」、いわゆる「労働法教育」の必要性について、所見を伺う。

赤間高校教育課長 労働に関する教育について。中学生・高校生に、将来、職業を通じて、社会の一員としての役割を果たすことができるよう、望ましい勤労観・職業観を育成するとともに、勤労の権利と義務、労働基本権の保障など、職業生活に必要な知識を身に付けさせることは、大切なことであると考えている。

中川委員 職業生活に必要な知識を身に付けさせることは、大切なことであるという回答であるから、「労働法教育」の重要性を認識、確認いただいたと理解する。

 憲法上、勤労は義務であり、同じく義務としての納税をしっかり果たしていってもらうためにも、「社会で働くルール」「労働法」の基礎程度は確実に身に付けるように、公教育で行わなければならないと考えている。

 そこで、労働法教育の現状について伺う。

 総務省の労働力調査で、二〇一五年一月から三月期の速報値においては、非正規雇用者は全体の三七・七%、約四割となっており、若者が社会に出る際に、安定した働く場を見つけることは、年々厳しくなっていると言って良いかと思う。

 不安定な働き方が増加傾向にある中で、よりしっかりとした働くことの「権利」と「義務」、そして、「労働法」というルールについて、若者の理解度を高めることは喫緊の課題であると考えるが、これまで、「働く上でのルール」について、学校現場で、どのように生徒に指導がなされてきたのかを伺う。

赤間高校教育課長 学校における取組について。現行の学習指導要領に基づき、中学校社会科においては、雇用と労働条件の改善について、勤労の権利や義務などと関連付けて考えさせること、また、高校公民科の科目「現代社会」においては、雇用の在り方や労働問題について、国民福祉の向上の観点から考えさせること、さらに、科目「政治・経済」においては、雇用と労働をめぐる問題について、雇用の安定化と労働条件の改善やワーク・ライフ・バランスの視点などから考えさせることとなっている。

 このほか、道内の高校には、総合的な学習の時間などにおいて、外部講師による、ワークルールについての講演会を実施するなどの例がある。

中川委員 「労働法教育」の確実な推進について。道は、『働く若者ルールブック』を作成し、アルバイトをしている学生に向けたリーフレットなども作成しながら、高校等に配布していると承知している。

 そのルールブックを拝見したが、これは、社会経験のある大人が読む分には、非常に良くできていると評価しており、その都度に合ったものに改訂されていることについても評価しているが、一方、社会経験がない生徒、学生にとっては、「法」という難解な部分、分野であるだけに、しっかりとしたレクチャーを受けずにその内容を理解することは、はなはだ困難であると思うし、読み違いをして勘違いによって、変な理解をしてしまう懸念も大きいと考える。

 配って、眺めているだけでは、なかなか周知もされないし、身に付かない。

 一定道議会において、同僚議員が指摘したとおり、これら教材については、配布するのみにとどまらず、外部講師による出前講座の活用も、今後、大いに視野に入れながら、若者たちが生き生きと働くことができるよう、学校において、職業観の育成と併せて「労働法教育」を確実に推進していくことが必要と考えるが、所見を伺う。

赤間高校教育課長 労働に関する教育の充実について。道教委では、これまで、『働く若者ルールブック』の配布をはじめ、知事部局と連携し、弁護士や社会保険労務士による労働環境の現状や法律上の基礎知識に関する講義を行う「高校生等労働教育啓発事業」を実施するとともに、各高校に対し、道労働局が実施する「労働関係法規等の講義」にかかる情報提供を行ってきた。

 今後は、こうした取組の充実を図るとともに、各教育局に配置している進路相談員が、各学校において、面談や講話などを行う際、労働に関する教育についての内容の充実が図られるよう、労働法にかかわる内容を取り入れた研修を実施していく考えである。

― 指摘 ―

中川委員 高校の教科書を見ると、一般的なことばかりで、実際に社会に出たときに様々な問題に対応できるものになっていないから、道でつくったルールブックは大変に使い勝手が良いと考えるので、これは、経済部でつくっているものだが、ぜひ、道教委としても、教材として使うときにどうなのかという観点で見直しをかけていただきたい。

【教職員配置について】

中川委員 都市部以外の地域において、特に、正規採用以外の教員、いわゆる期限付教諭が多く配置されていると聞くが、本年度四月一日現在の期限付教諭の配置状況について、振興局別に伺う。

 併せて、振興局ごとに多少の傾向があるとすれば、そうした状況が生じた理由についても伺う。

馬橋教職員課長 期限付教諭の配置状況について。二十七年四月一日現在、札幌市を除く道内の小中学校、高校および特別支援学校に六百三十五人の期限付教諭を配置しており、管内別の内訳では、空知管内に十九人、石狩に百十八人、後志に二十九人、胆振に百五人、日高に十七人、渡島に四十二人、桧山に十四人、上川に九十二人、留萌に十八人、宗谷に十九人、オホーツクに五十九人、十勝に四十一人、釧路に四十三人、根室に十九人となっている。

 期限付教諭の人数については、管内ごとの学校数や教員数に違いがあること、学校の再編統合や学級減の多い管内では採用数が減少していることなどの理由で、管内によって差が生じている。

中川委員 そもそもの学校数や、そこで働く教員数が違うから、正規職員と期限付き教諭との比率で考えると、空知が全道で一番低い〇・九%に対して、桧山で三・七%、留萌と胆振では四%を超えるので、管内によっては、期限付、正規の部分で言うと四倍以上の差があることになる。

 そこで、新年度スタート時における教職員配置に対する考え方について伺う。ことし四月一日現在では、北海道全体では六百三十五人の期限付教諭が任用されているが、一方で、正規の採用は七百四十八人。その違いは百人程度しかない。期限付教員が非常に多いと思う。

 期限付といっても、経験豊富な方も一部いるから、一概に期限付であることが、指導力の有無に直結するとは考えない。しかし、地域の保護者、子どもたちにとっては、新年度のスタート時点における教職員の配置は、正式に採用された職員で充当されるべきと考えるが、見解を伺う。

馬橋教職員課長 教職員配置に対する考え方について。学校運営上、できる限り正規教員を配置することが望ましいと考えており、退職予定者数や翌年度の学級編制などを見極めながら、必要な教員数を把握し、正規教員の配置に努めてきている。

 しかしながら、数年後に学級減や統廃合が見込まれる場合や、保護者の転勤などによる児童生徒数の増に伴い、当初見込んでいた学級数を上回った場合、さらに、登録者の採用辞退があった場合などにおいて、人事管理を弾力的に行うため、やむを得ず期限付教員を任用している。

 道教委としては、今後とも、市町村教委と十分連携し、正規教員の配置に努めていきたいと考えている。

― 指摘 ―

中川委員 統廃合が見込まれること等によって、調整のためにやむを得ずということを全く理解できないわけではないが、これからは、特に人口減少が進んでいくわけであり、むしろ学級減や統廃合が進んでいくので、やむを得ずで終わらないように、しっかりと次年度は正規職員の比率を上げていただきたい。

中川委員 養護教諭の配置について。近隣に病院やクリニックもないようなへき地であるからこそ、子どもたちの学びの安心を保障する上でも、正規採用された経験豊富な養護教諭を配置する意義が大きいと考える。

 もちろん、養護教諭が医療行為など行えるはずもないが、地域医療計画との絡みの中で、児童生徒に事故があったときには、適切に初期対応を行える養護教諭を、配置基準を満たしていなかったとしても、地域の実情に合わせてしっかりと配置すべきと考えるが、所見を伺う。

馬橋教職員課長 養護教諭の配置について。児童生徒の心身の健康課題が多様化する中、学校において、救急処置や疾病予防などの保健管理、保健教育、健康相談などを適切に行い、児童生徒の健康を守っていくことが重要である。

 こうしたことから、学校運営上、できる限り正規の養護教諭を配置することが望ましいと考えているが、一般教員と同様、数年後に学級減が見込まれることなどによって、やむを得ず期限付教員を任用しており、今後とも、市町村教委と十分連携し、正規教員の配置に努めていきたいと考えている。

 また、道教委としては、二学級以下や三学級で児童生徒数が十人以下の小中学校などへの養護教員の配置については、国の定数改善が必要であると考えており、病気等によって配慮を要する児童生徒に対応するため、すべての公立学校への養護教諭配置について、国に対して強く要望をしている。

中川委員 教職員配置の不均衡の解消について。期限付教員や養護教諭など、地域的に配置の課題がある一方で、都市部の学力向上指定校、主幹教諭配置校などでは、教職員の加配が行われ、手厚い配置となっている。

 加配そのものは否定しないし、むしろ定数改善などによって、平均的に厚く配置を増やしていただき、一向に解消されない教職員の多忙化を少しでも改善していただきたいと考えるが、学力向上指定校や主幹教諭配置校など、概ね都市部あるいは大規模の学校と、期限付教諭に頼らざるを得ない、養護教諭も配置されないような地方の学校運営の窮状を考えたときに、本道の児童生徒がはたして等しく教育の機会に恵まれているのか、保護者にとっても不公平感は否めない。

 わが会派は代表質問で、「広大な北海道においては、教育の機会均等が守られているとは言い難い状況が続いている」ことを指摘した。道においては、このような教職員の配置・定数などに均衡を欠く現状について、速やかに解消することが重要と考えるが、所見を伺う。

山本教育部長 教職員配置について。教職員の年齢や経験など各学校における教職員の構成の適正化は、全道的な教育水準の向上や学校の活性化を図るため、重要な課題と考えており、都市部と郡部との人事異動を促進するほか、教員採用試験における「地域枠」制度、あるいは、広域人事の取組によって、教職員の全道的な適正配置に努めてきている。

 今後は、こうした取組をさらに進めるほか、小規模校が多いといった本道の特殊性を踏まえた教職員定数の改善充実を国へ強く要望するとともに、市町村教委教育長などで構成される各管内の人事調整会議において、各学校における教職員構成の適正化や数年後を見通した計画的な人事の在り方について協議するなどして、都市部と郡部の全道的なバランスや長期的な展望に立った教職員配置に努めていきたいと考えている。

― 指摘 ―

中川委員 教育の地域間格差をなくすこと、そのための教職員配置の偏りを是正し、できる限り正規採用の職員によって不公平感なく、どの地域に住んでいても質の高い教育を受けられる環境づくりを進めていただくことを強く要望する。

(道議会 2015-09-07付)

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