道文化財保護審議会　盗難等防止へ３点示す　文化財の防犯対策強化案

（道・道教委 2016-03-28付）

　二十三日に開かれた第二回道文化財保護審議会では、道指定有形文化財（美術工芸品）・有形民俗文化財防犯対策調査の結果について報告が行われた。結果を受け、「防犯設備の設置」など三つの視点から具体的対策を盛り込んだ「文化財の防犯対策の強化（案）」を策定した。

　文化財の盗難被害状況にかかわっては、二十六年十月に、芦別市内星の降る里百年記念館で展示していた道指定有形文化財（美術工芸品）が盗難にあったほか、二十五・二十六年度に文化庁が行った「国指定文化財（美術工芸品）の所在確認調査」では、盗難が三十三件あることが公表されている。

　道教委では、「貴重な文化財を将来に向けて継承していくためにも、文化財の盗難に対する対策が必要」とし、道指定有形文化財（美術工芸品）および有形民俗文化財の防犯対策の状況を把握する調査を実施した。

　調査対象は絵画や彫刻、考古資料など五十五件。巡回や点検など警備体制では、物件全体の約九割が巡回や点検を行っており、未実施の五件は、通常非公開として収蔵庫に保管し、不定期的に確認している。

　防犯装置としてカメラやセンサー、警報装置を整備しているのは物件全体の六二％、文化財を公開しているのは七四・五％、参観者に記帳を求めているのは四一・五％だった。

　調査結果を受けて、道教委では、「文化財の防犯対策の強化（案）」をまとめた。中では、①防犯体制の確立②防犯環境の整備③防犯設備の設置―の三つを盛り込んだ。

　「防犯体制の確立」では、盗難に備えて文化財の特徴や寸法、写真など最新の記録をとるとともに、定期的な見回りの徹底を位置付けた。常時公開の場合は監視員を置き、監視上の死角・盲点をつくらないよう呼びかけている。

　「防犯環境の整備」では、施設内への通路を限定することや、扉や窓ガラスは強化ガラスなどで補強することを明示。「防犯設備の設置」では、シリンダー錠・フランス落とし鍵、電子ロック錠による施錠の検討、防犯灯・防犯センサー・防犯カメラの設置および定期的な点検を求めている。

(道・道教委 2016-03-28付)