道教育大附属函館中が教科研究会　問題解決能力高める授業を　３年生公民公開し研鑚積む

（学校 2016-12-13付）

政策を実施する上での「予算の使い方」「政策自体の必要性」などについて、互いの疑問点を話し合った

　【函館発】道教育大学附属函館中学校(金光秀雄校長)は十一月下旬、教科研究会(社会科)を実施した。函館市内の社会科担当の教員など三十二人が参加。三年生公民科の公開授業や事後検討会、講演などを通して、資質・能力の向上を図った。

　同校は、昨年度から社会科における国立教育政策研究所の教育課程研究指定を受けている。研究主題は、「問題解決的な学習を中核とする単元構成の工夫・改善～単元を貫く学習課題の設定に基づいた指導方法の工夫・改善」。一時間ごとの目標設定だけではなく、単元ごとの学習課題や目標の設定のほか「単元を貫く学習課題」として、単元を通して追究する課題を設定することで、生徒たちの問題解決能力の向上や指導方法の研究を行っている。

　例年十月に開催していた教育研究大会を、来年度から六月に開催することを決定。このため、本年度は教育研究大会を開かず、教科ごとに公開授業、事後検討会を開催する教科研究会に取り組むこととした。

　この日は、三年B組公民「私たちと政治　民主政治と政治参加」（郡司直孝教諭、生徒数三六人)を公開した。単元目標は、「地方自治の意義や仕組みなど、基本的な考え方や地方財政の状況について理解することができる」。単元を貫く課題は、「函館市の課題を自身で見つけ出し、解決方法を考える」ことに設定。生徒が函館市長選挙に立候補している候補者の補佐役として、政策を三つまで主張できるという想定で授業を展開した。

　また、三年生の他二クラスでも、同内容で授業を実施。各クラスの政策三つを公表し、どのクラスの政策が市長として相応しいのかを模擬選挙で決定する。

　はじめに、前時までの振り返りとして、各グループが考えた市長選挙の政策案を自分たちのグループの案と見比べながら、他グループの政策の疑問点について協議した。

　このあと、郡司教諭は、自分が疑問に思った政策を発案したグループの生徒同士で話し合うよう促した。生徒たちは、政策を実施する上で、「予算の使い方」「政策自体の必要性」などについて、お互いの疑問点を話し合った。

　話し合いのあと、B組が発表する政策案として相応しいものを比較し、多数決を取り、「高齢者の事故が多いことを解決するために、講習の実施」「函館市近郊の娯楽施設が少ないことを解決するために、緑の島内にアスレチックパークの誘致に取り組む」「除雪決算が年度ごとにバラバラなので、年間除雪費用を高く見積もって固定化する」の三つに決定した。

　郡司教諭は「単元を通して学んだことを生かし、地方自治体の政治に対して関心をもち、自分でもっと考えるようにしてほしい」と話した。

　公開授業後は、事後検討会を行ったほか、文部科学省初等中等教育局教科調査官の樋口雅夫氏が「予測困難な時代に未来の創り手を育てる社会科学習～次期学習指導要領の改訂に向けて」と題して講演した。

(学校 2016-12-13付)