道教組2017年度運動方針
(関係団体 2017-03-17付)

 道教組の第三十回定期大会(十一・十二日、札幌市内道高校教職員センター)で決定した二〇一七年度運動方針の概要はつぎのとおり。

【憲法の改悪に反対し、憲法を生かす取組】

▼戦争する国づくり・人づくりをねらう安倍政権の憲法改悪を許さず、職場、地域から改憲反対の国民的世論を結集し、憲法の民主主義的原則や平和原則を守り、生かす運動を進める

▼憲法で保障された思想・信条、内心の自由を侵害する「共謀罪(テロ等準備罪)」法案の成立を許さない取組に連帯し、学習と署名に取り組む

▼集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の撤回と安保関連法の廃止を求める

▼各地での憲法を守るたたかいに連帯し、たたかいを進める

▼道労連・「憲法改悪反対共同センター」や「九条の会」などに結集し、学習・宣伝・集会などに積極的に参加する

【「原発ゼロ」社会を目指し、原発事故による放射能汚染から子どもたちの命と健康を守る取組】

▼「原発ゼロ」社会を目指し、安全・安心な自然エネルギー社会へ転換する取組

▼原発事故による放射能汚染から子どもたちの命と健康を守る取組

【憲法と教育の条理に立脚した教育の実現を目指す取組】

▼子どもたちの「命を大切にし、学ぶ喜びを保障する教育・学校づくり」の取組を進める

▽道教組は結成以来、運動方針の重要な柱の一つに、「参加と共同」の学校づくりを位置付けてきた。その柱は、つぎの三点にまとめられる。この三つの視点をあらためて大いに議論し、実践を増やしていく。

〈学校づくりの三つの視点〉

①子どもたちの側からの「授業づくり」と「仲間づくり」

②権利主体の発達要求に基づく学校の教育条件の前進

③子どもたちを支える教職員の教育の自由と父母・地域との共同

〈学校づくりの視点の具体的提案〉

※子どもたちの側からの「授業づくり」と「仲間づくり」

①受験・学力テスト体制を改め、「問う」ことを大切にした「授業づくり」

②子どもたちの実世界に即した活動と連帯と共感的な仲間づくり

※権利主体の発達要求に基づく学校の教育条件の前進

①「問い」が生まれる「授業」に必要な時間と休息がある生活条件

②子どもたちの安全・安心な学校施設と条件

③教育条件の最も大切な要素としての教職員の働き方

※子どもたちを支える教職員の教育の自由と父母・地域との共同

①子どもに即した教育課程と豊かな学びをつくり、行事・活動を支える教師集団の協働性

②保護者・地域の人々と、子育て・地域の未来像の語り合い

③子どもを取り巻く、保護者・地域の大人、教育機関・福祉機関・医療機関との共同

 この「学校づくりの視点」の討議、実践がまだ十分とは言えない。今後も、この視点を大事にした実践が求められる。

▽十八歳選挙権を踏まえ、小・中学校における自治的活動が重要になる。児童会・生徒会活動等を通して、子どもたちの自発的討論に基づく要求や意見表明権を大切にし、学校づくりへの子どもの参加を進める。

▽PTA活動に積極的に取り組み、教育懇談会や学級PTA等で出された保護者の声を学級づくり・学校づくり、教育課程づくりに生かす取組とともに進める。

▽子ども・保護者・地域の学校への願いを学校づくりに生かすため、アンケート活動等に取り組む。

▽いじめ・自殺・不登校などの問題について、全教職員と父母・子どもとの共同でその打開を目指す。その際には、道教組・道高教組で発表した「いじめアピール」で学習し、活用する。

▽「日の丸・君が代」の押し付けの攻撃に対しては、「憲法・子どもの権利条約」に基づき、子どもを中心に据えた教育活動、卒業式・入学式を目指し、教職員、保護者・地域の教育的合意をつくりながら反対する。「日の丸・君が代」の歴史、その意味などについて、史実・事実に基づき、授業実践をみんなで論議しながら進める。

▽道教委などが主催する行政研修に対しては、主催者が参加者からアンケートをとるなど、研修内容や研修時期の改善を行うよう求めていく。

①四年間に変更となった初任者研修について、研修内容や日程が該当者にとって負担にならないよう、今後も道教委に対し検証を求めていく。

②十年経験者研修が「中堅教諭等資質向上研修」に改められ、国の意向を反映した教員養成が行われる危険性がある。今後、「国の意向に沿う教師づくり」の問題点を明らかにし、国や道に改善要求を訴えていく。

▽学校の運営と組織の在り方については、「教育活動と学校運営の基本方針について」(第十四回定期大会決定)を基本とし、校長・市町村教委と合意を図りながら、全教職員参加の学校運営、子ども・父母参加と地域に開かれた学校づくりの取組を進める。

▼子どもや教師から「ゆとり」を奪い、差別と競争の教育を進める次期学習指導要領を批判的に分析し、すべての子どもが学ぶ喜びを感じ、生きる力(自立心)が育つ教育課程・授業づくりに努める

▽小学校英語の教科化など膨大な教育内容の押し付け、子どもの差別と競争教育の一層の強化、教科「道徳」による「愛国心教育」の強化など、改悪教育基本法の具体化を図る次期学習指導要領の問題点を明らかにし、教育関係者や国民的な検討の中で、その抜本的見直しを行うよう要求する。

▽各学校における教育課程編成に当たっては、学校の自主性を保障し、直接、子どもと教育に責任をもって行う体制確立に努める。

▽特定の教育観・教育理論を前提にせず、誰でも気軽に参加でき、「子どものための道徳教育」を学び合う場としての「北海道 道徳教育フォーラム」を発展させる。さらに、全道合研で道徳教育および教科「道徳」の授業づくりを広く交流し、学び合いを広げ深める取組を具体化していく。

▽学校六日制への揺り戻しが志向される中、土曜授業の取組が始まっている。道教組は、その実態を把握しながら問題点を検討し、道教委に問題点を指摘していく。

▽子どもたちが「ゆとり」をもち、安心して生活できる条件整備を求める。特に、障がい児の生活と安全を保障するための取組を重視する。学校図書館の図書充実のための予算確保を求めていく。

▽「全国学力・学習状況調査」の実施と都道府県・市町村・管内・学校ごとの成績公表に反対する。「全国学力・学習状況調査」の問題点や学力問題などについて、保護者・道民との対話や懇談の取組を進める。

▽「学び合い」を重視する。

①次期学習指導要領について、全道各地で学習会を開催する。各単組・連絡会は学習会の成功に向け、組合員が職場の教職員(未組)を必ず誘って参加するように取り組む。

②民間教育研究団体や地域のサークル・研究組織などが主催する研究会に積極的に参加し、学び合いを深める。

▼いじめ・不登校・「ひきこもり」・「児童虐待」・「学級崩壊」などで悩む子ども・保護者・教職員を支援・激励するため、そして、教職員の相談にも対応した「北海道子どもセンター」の宣伝・活用を進める

▼機械的な学校統廃合に反対し、子ども・保護者とともに、小規模でも地域の学校として生かせる方法を検討していく

▼合同教育研究集会など自主的な教育研究活動を積極的に推進する

▼障がい児教育のリストラを許さない取組をすべての子どもたちの教育権の保障の観点をもちながら進める

▽障がいが重い子どもたちや発達障がいの子どもたちの受入で困難な現場の状況を理解し、特別支援学級の学級定数改善に取り組む。

▽知的障がい養護学校高等部の専門的なニーズに対応するために、現在八人ないし九人で編制されている知的障がい養護学校高等部の学級定数の見直しに取り組む。

▽通級指導教室の定数改善に取り組む。

▽専任コーディネーターの確保(兼任の解消)に取り組む。

▽臨時教員を解消し、正規教員化に取り組む。

▽特別支援教育支援員の正職員化(打ち合わせ時間の確保と待遇改善)と増員に取り組み、配慮の充実も求める。

▽併設高等部で進学希望者の多い地域の学校増設と、より身近な地域での増設を求める。

▽養護学校の狭隘化を防ぎ、青年期教育を保障するために、「設置基準」の策定に取り組む。

▽「居住保障」ではなく、「教育保障」という観点で寄宿舎の充実に取り組む。

▽パートナー・ティーチャー事業の拡充のための予算措置要求に取り組む。

▽学級編制や教育課程の学校裁量の拡大に取り組む。▼子どもの健康を守るため、学校・家庭・地域の教育関係者の共同の取組を進める

▽安全でおいしい学校給食のため、機械的な民営化やセンター化に反対する。遺伝子組み換え食品から子どもたちを守り、食中毒対策の充実を求める。

▽特別支援学校の給食民営化に反対するとともに、調理員をはじめ栄養職員・調理員の定数改善の取組を進める。

▽老朽校舎の改修、校舎の耐震化、アスベスト調査および早期改修などを、子どもたちの安全と健康を守るため、道・市町村教委に求める。

▼ゆきとどいた教育を求める教育全国署名運動をさらに発展させ、国と道による少人数学級の拡大実施を迫る運動を進める

▽「ゆきとどいた教育をすすめる北海道連絡会」の活動に引き続き取り組み、ゆきとどいた教育を求める教育全国署名運動を大きく発展させる。「北海道私学助成をすすめる会」との共同も目指す。

▽加配措置ではなく、国の責任による小学校二年生以上の三十五人以下学級、新しい定数改善計画を拡大することを求める。

▽小学校二学級三定員・三学級四定員・六学級八定員の解消、複式学級編制基準の改善、養護教員の複数配置、養護教諭・事務職員の全校配置に向けた道民的運動を強め、国の改善計画にも反映させる取組を強める。

▽道による少人数学級の拡充を求める運動を強め、重点として、中学校一年生の三十五人学級における一学級対象外を改善することを求めていく。

▼教育委員会や自治体首長への請願や訪問活動を進めるとともに、教育全国署名などの運動で道民的運動の前進に努める

▽教育委員会や自治体に書記局が訪問するだけではなく、可能な範囲で地元の単組・連絡会が、高教組支部や地域の民主団体とともに教育長や首長との懇談を進める。

▽早期に全自治体との懇談をやり遂げる。

▼ゆきとどいた教育を進める立場から、公的財政支出をOECD諸国並みに引き上げるなど教育予算の増額を求める

▽特別支援教育支援員の配置や増員などで「要求の多数派」を目指し、各職場からの要求運動を進める。

▽子どもの貧困が拡大する中、子どもたちの学習権と生活を守るため、就学援助費の増額や奨学金の拡大などを要求し、その実現を目指す。

▽地方財政危機を理由とする教材・施設整備費、教職員旅費・教職員互助会助成などの教育予算削減に反対するとともに、削減分の復活を求める取組を進める。

▽「適正規模」などを理由とする機械的な学校統廃合計画に反対し、道高教組や「ゆきとどいた教育をすすめる北海道連絡会」とともに、幅広い道民運動の発展に努める。

【雇用・賃金・権利・医療・年金・消費税減税など国民と教職員の生活を守るため、すべての教職員・父母・道民と共同する取組】

▼高卒生・大卒生の就職保障をはじめ、失業者をなくし、すべての国民・道民に働く場を保障する運動を、生活と権利を守る柱として位置付け、その発展に努める

▼公務員賃金の水準引き上げ・地域間格差拡大賃金・高齢層賃金抑制など、差別賃金や教職員人事評価制度に反対し、民主的公務員制度の確立、公務員・教職員賃金改善を目指す

▼多忙化を解消し、子どもたちにゆきとどいた教育を保障するため、労働時間短縮・諸権利を守る取組を進める

▽教職員が生きがいをもち、生き生きと働ける職場環境、そして、長時間過密労働の解消を求める。

▽時間外規制やサービス残業の一掃など、働くルールを確立する全労働者のたたかいに参加するとともに、学校現場での時間外労働の縮減を図り、多忙化を解消するため、文部科学省・厚生労働省・道教委などに要請を強める。

▽多忙化問題の抜本的解決のために教職員の定数増、時間外勤務手当制度の確立を目指し、全教の方針とともに取組を進める。

▼公務労働者との共同を強めながら民主的公務員制度の確立に努める

▼労働安全衛生体制を確立し、「安全・快適・ゆとり」の学校・職場づくりを進める

▼教職員の生活を守る、命と健康を守る、身分を守る全教共済を広げる

▼年金・医療保険・介護保険など、社会保障制度の改悪や消費税増税反対など、国民・道民の暮らしを守るたたかいを進める

▼TPPの発効を許さず、安心・安全な食の供給、日本農業の発展、自給率の引き上げを目指す運動を進める

【民主的人事の実現と教育行政の民主化のために】

▼人事要求の実現と民主的人事交流の実現を目指す

▼「新たな再任用制度」の実施に向け、希望者全員雇用、勤務地の希望尊重を目指し取り組む

▼父母・道民との共同の力で民主的学校づくりを進める

【平和と民主主義を守り、「原発ゼロ」を目指す取組】

▼憲法違反の「安保関連法」廃止を求め、立憲主義を取り戻すたたかいを広げる

▼「核兵器のない世界」の実現へ

▼今すぐ原発をゼロ、自然エネルギーへの転換を目指す

▼沖縄と連帯し、日本から米軍基地をなくすため、日米安保条約破棄のたたかいを進める

【「対話と共同」の運動を前進させるとともに、教職員の諸要求実現と教職員組合の統一を前進させるため、道教組の発展・強化を目指す】

▼職場・地域を基礎に、「対話と共同」の運動を進める

▼道教組の拡大・教科の取組を進める

▼専門部の取組を強化する

▼労働運動・教育運動の学習に努める

▼道内における労働運動・公務労働者運動の前進を目指し、道労連・地区労連や北海道公務共闘の組織と運動の発展に力を尽くす

▼「道高教組・道教組運動の一層の連携による力強い活動の構築を目指して」の組織討議と具体的取組を推進する

▼教職員組合の統一を担うにふさわしい道教組の基本として、以下の点を明確にする

▽要求の一致に基づく行動の統一、政党からの独立を団結の基本として堅持する。

▽組合員の政党支持・政治活動の自由を保障するとともに、権力の攻撃からそれを守る。

▽すべての政党に対し、要求の一致に基づく協力・共同を働きかけ、一致点での共同を進める。

▽統一と団結を阻む様々な攻撃については、労働者・国民の利益擁護と民主主義を守る立場から、その克服に努力する。

▼解散・総選挙では、組合員の政党支持、政治活動の自由を保障するとともに、立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻し、憲法を守り生かす政治の実現を求める

(関係団体 2017-03-17付)

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