伊達市の２９年度教育行政執行方針―影山教育長説明　未来に向かうたくましい子を　人間力向上へ放課後子供教室など

（市町村 2017-03-21付）

伊達市教委・影山吉則教育長

　【室蘭発】伊達市教委の影山吉則教育長は、二月下旬に開会した第一回市議会定例会で二十九年度教育行政執行方針を説明した。推進項目には「学校教育」「社会教育」「芸術文化」「スポーツ振興」の四点を設定。市の将来を担う子どもたちが、郷土に誇りをもって未来に向かってたくましく成長していくことができるよう、学校や家庭、地域などの関係機関と連携を図りながら、教育のより一層の充実・発展に取り組んでいく。

　執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育

▽社会で生きる実践的な力の育成

　厳しい社会を生き抜くために、子どもたち一人ひとりが自ら学び考え、課題を発見し、その課題を他者と連携・協働しながら解決できる能力を育むことが求められている。その根幹となる確かな学力の向上を目指して、「全国学力・学習状況調査」や「市学力テスト」の結果を分析し、具体的な改善策を立て、それをもとに指導方法等の工夫改善を行い、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着とそれを活用できる力を育んでいく。また、主体的・対話的で深い学び「アクティブ・ラーニング」の視点に立った授業改善や家庭での学習時間の増加に向けた指導方法等の工夫を促進する。

　情報モラル教育については、高度情報化が急速に進展する中、子どもたちがインターネットを適切に活用する知識や能力を習得するとともに、ネットトラブルの被害者や加害者とならないよう、未然防止を主眼とした、情報モラルを身に付けさせる指導や取組の充実を関係機関と連携しながら図っていく。

　キャリア教育については、子どもたちが夢や希望をもって将来を設計し、自己の進路や生き方の選択ができるよう、発達段階に応じて必要となる能力の育成に努めていく。

　学校間の連携・接続については、子どもたち一人ひとりのもつ良さや可能性を見い出し、育み、生涯にわたる学習の基礎を培うため、私立幼稚園や保育所の幼児と小学校の児童との交流活動や小・中学校間や道立学校との連携を図る。

▽豊かな心と健やかな体の育成

　道徳教育については、命を大切にし、他を思いやる心、ふるさとを愛する心等の規範意識や道徳的価値観を育むことは重要で、三十年度以降の道徳の教科化に向け、いじめの未然防止の観点を含め、問題解決的学習や体験的な学習等を取り入れるなど、多面的・多角的にとらえ議論する道徳教育の充実・改善を図る。

　いじめへの対応については、「子どもたちを、いじめの加害者・被害者・傍観者にしない。いじめは許されない」の観点から、いじめの未然防止に向けた子どもたちの取組を推進するとともに、教育相談やアンケート調査、北海道教育委員会と学校によるネットパトロール等を通じて子どもたちの状況等を把握し、いじめの未然防止や早期発見、早期対応に努める。

　学校給食については、地場産品を活用した給食の提供に努めるとともに、三十年一月に供用開始となる「だて歴史の杜食育センター」において最新の衛生管理の仕組みを導入し、より安全・安心な給食運営に努める。また、当センターにおいては、特別目的会社が自主事業を実施することから、庁内関係課との効果的な調整を行うことで、市民の健康増進等に資する取組を充実させていく。

▽信頼される学校づくりの推進

　コミュニティ・スクールは、二十九年度にすべての小・中学校で導入することとなり、学校運営協議会において学校の経営方針や教育実践等について協議するとともに、地域住民や保護者が学校運営に参画し、学校が地域と一体となって子どもたちを育み、地域総がかりの教育と学校を拠点とした地域づくりを推進していく。また、学校運営協議会委員の資質・能力の向上のための研修会を実施する。

　教職員の資質・能力の向上については、不断の研修の充実はもとより、道教委等が行う研修事業への参加促進を図るとともに、「伊達市教育実践交流・研修会」等を開催することにより、子どもたちのために市内の教職員が一体となって、授業力の向上や指導体制の充実に向けて取り組む。

▽安全・安心な教育環境づくりの推進

　家庭や地域の教育力向上については、広報紙等を活用した啓発活動や情報提供を関係機関・団体等と連携を図り、取り組んでいく。また、地域の力を借りながら、子どもたちに安全・安心な居場所を提供し、学習やスポーツ・文化活動等を通じて基礎学力と学習意欲の向上を図り、地域社会の中で心豊かに健やかに育ち、なおかつ人間力向上につながるような取組として、「放課後子供教室事業」を進める。

▼社会教育

▽ふるさと意識を育て地域づくりに参画する青少年教育の推進

　少子高齢化や高度情報化が急速に進む中、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化している。つぎの時代を生き抜く子どもたちには、時代の変化に順応するたくましさと高い社会参画意識を兼ね備えた、心身共に健全で市の将来を担えるひととして成長できるよう、青少年団体やボランティア団体等と連携を図り、異年齢間の交流の機会や体験学習の場の創出等、青少年教育の充実を図る。

▽主体的な地域活動を推進するためのひとづくり・地域づくりの推進

　生涯にわたり生きがいをもって活躍できるよう、様々な世代がいつでも気軽に学べる機会を提供するとともに、自主的な活動やコミュニティーの形成につながるよう、「市民講座」や「だて市民カレッジ」等の各種講座の内容の充実を図るなど、学習環境の整備に努める。

▼芸術文化

▽歴史・文化を生かしたまちづくりの推進

　「だて歴史文化ミュージアム」については、三十年度会館に向けて、組織体制の検討をはじめ、展示内容や体験学習教材について調査研究を進め、貴重な文化財を保存するとともに、縄文文化からアイヌ文化、亘理伊達家の移住に至る郷土の歴史や文化等について、系統性のある学びが提供できる施設とすることを目指す。

▼スポーツ振興

▽スポーツ・レクリエーション活動の振興

　総合体育館をはじめとした体育施設の効果的・効率的な活用を図り、健康・体力づくりの増進に向けた環境整備に努めていく。

(市町村 2017-03-21付)