苫小牧市の29年度教育行政執行方針―和野教育長説明 「インプルーブ6」を推進 小4から6年間、学習指導継続(市町村 2017-03-21付)
苫小牧市教委・和野幸夫教育長
【室蘭発】苫小牧市の和野幸夫教育長は二月下旬、第九回定例会で二十九年度教育行政執行方針を説明した。学力向上に向けた取組として、小学四年生から中学三年生までの六年間に、継続した学習指導を行う「インプルーブ6」を推進。特別支援教育エリアプロジェクトと学力向上エリア会議を統合し、中学校区を基本とした学校教育力向上エリア会議として再編する方向性を示した。このほか、子どもたちがいじめのない学校について主体的に考え、問題を解決する力を身に付けるための「第五回いじめ問題子どもサミット」を七月に開催する。
教育行政執行方針はつぎのとおり。
▼一人ひとりのニーズに応じた確かな学力を育む教育活動の充実
▽学ぶ意欲の向上と望ましい学習習慣の定着
国際化の進展や今後小学校において外国語教育が教科化されることなどから、小・中学校における子どもたちの外国語への興味・関心を高めることが重要になっている。子どもたちが外国語教育を通じて、コミュニケーションを図ろうとする意欲を高めるために、四人の外国語指導助手(ALT)を中学校に派遣するとともに、小学校外国語活動専任のALT一人を配置する。さらに、小学校外国語活動巡回指導教員一人を配置して外国語活動の授業改善を図り、児童が主体的に学ぶ環境を整える。また、ALTによる小学校六年生を対象とした英語教室(チャレンジ・イングリッシュ)を開催し、中学校の授業への円滑な接続を図っていく。
▽確かな学力の向上を目指した学習指導の充実~苫小牧市学力向上アクションプランの推進~
「苫小牧市学力向上アクションプラン」の内容をさらに充実させるとともに、「徹底」・「継続」・「一貫」をキーワードに本市の子どもたちの基礎学力の確実な定着を図るため、つぎの三つの視点による取組を進める。
授業改善の徹底した取組の推進―「授業改善研究委員会」を本年度も継続して市教育研究所に設置する。本研究委員会においては、基礎学力の確実な定着に向け、学力調査・検査結果等の分析および次年度に向けた数値目標等の設定、市全体で授業改善において取り組むべき共通事項の提示を行うほか、秋田県等への先進地視察や研究委員による授業公開、授業改善コーディネート等の先導的実践により、市全体への普及を図る。
小・中学校間の継続した学習指導の連携―本市独自のシステムである「インプルーブ6」のさらなる推進に向けて、特別支援教育エリアプロジェクトと学力向上エリア会議を統合し、中学校区を基本とした「苫小牧市学校教育力向上エリア会議」に再編する。その中核に「エリア経営会議」を設置し、学校経営の視点により、中学校区の子どもたちの実態に応じた研究課題を設定するとともに、それらの解決に向けて、小中連携や小小連携を充実していく。
学校と家庭の一貫した指導の推進―二十七年度に定めた「とまこまい学びの3か条」の一層の普及促進に向け、PTA連合会と連携し、学校と家庭が一体となって子どもの指導に当たるよう協働体制を強化するとともに、子育て研修会等を各学校において実施していく。
▼豊かな人間性と健康な体の育成
▽道徳教育の推進
苫小牧市道徳教育推進計画を策定し、子どもたちの豊かな心を育むための取組を進めていく。「こころの授業」においては、がん教育や献血学習等幅広いテーマを設定し、命の大切さの理解を深めるため、外部の人材を積極的に活用する。
▽望ましい生活習慣の確立・体力の向上
子どもたちの生活習慣の改善と確立に向けては、全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙調査結果の分析・考察を各家庭に届け、協力を働きかけていく。
昨年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の実技に関する調査の分析・考察に基づき、具体的な取組と目標を示した「体力向上プラクティスプラン」を策定する。
▽いじめや不登校の未然防止・早期対応
いじめ問題については、子どもたちが、「いじめのない学校」について主体的に考え、問題を解決する力を身に付けていくため、「第五回いじめ問題子どもサミット」を七月に開催する。また、本サミットの事前・事後の学びを中学校区で交流するなど、小中が一体となっていじめ根絶に向けた取組を展開していく。
▼学校・家庭・地域社会が連携した信頼される学校づくりの推進
▽教職員の資質・能力の向上
学校教育の質を保障する取組の推進については、教員のレベルアップ・スキルアップを目的に、市教育研究所において、本市の課題に即した学習指導を徹底させるための研修として六講座、今日的な教育課題に対応した研修として十九講座を開設するとともに、教員個々の課題に対応した夜間講座(夕べの講座)を八回開催する。
▽学びの環境づくりの推進
北光小、啓北中、緑小、苫小牧東小・苫小牧東中の改築事業を進め、学校施設の安全確保に努める。また、拓進小学校の増築、第十六中の新築・錦岡小の増築・改修事業等を進め、子どもたちの学習環境の向上に努めていく。
第二学校給食共同調理場は老朽化が著しく、アレルギー対応食等、多様なニーズに即した学校給食の提供が求められていることから、改築に向けた取組を進める。
▼家庭・地域で子どもを育てる環境づくりの推進
▽家庭教育に関する情報発信の充実
学校と家庭の一貫した指導の推進を目的に、家庭教育情報紙「ほーむ&すくーる(=ほ・む・す・く)」を隔月で発行し、学力向上、家庭学習、体力向上および生活習慣に関する情報提供を行う。
▼郷土の良さを生かした潤いのある生涯学習の推進
▽地域や市民と密着した協働体制の充実
「いつでも、どこでも、学ぶことができる」生涯学習社会の実現を目指し、市民や地域、行政のつながりの強化に向け、地域団体の活動状況や学習ニーズの把握に努め、「出前講座」や「アーティストバンク」、「アウトリーチ推進事業」などによる支援とともに、学びたい意欲に即応できる体制づくりにより、活動の活性化を図り、まちづくりにつながるように啓発と連携に努めていく。
(市町村 2017-03-21付)
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