石狩翔陽高で「手話語」の授業 理論と実践で学ぶ 市が手話通訳者派遣し支援(学校 2017-05-09付)
外部講師を招き、授業を実施した
石狩翔陽高校(藤井勝弘校長)は、市が制定した「手話に関する基本条例」に基づく「手話語」授業に取り組んでいる。「手話語」の授業は本年度から開講。年間七十時間の授業を予定している。
同校は、石狩市が二十五年に、手話を言語として認知し市民の理解を深めることを目指す、「手話に関する基本条例」を全国の市町村で初めて制定したことを受け、「手話語」授業を選択科目の一つとして設定した。手話をコミュニケーション手段ではなく言語としてとらえ、理論と実践の両方を学ぶことを目指している。市は、手話通訳者を派遣するなど、協力・支援を行っている。
四月二十七日には、同授業を選択した二年生十六人が五校時に「理論編」、六校時に「実践編」を受講した。今回は道ろうあ連盟・佐藤英治副理事長が「手話から言語へ~昇華の道のり」をテーマに、手話の成り立ちや、言語として認められるまでを解説した。
はじめに、「指文字の起源」「身ぶり」などについて説明。「ネアンデルタール人のコミュニケーションは音声が先か、身ぶりが先か」と発問。ネアンデルタール人の骨格から現代人の様な発声は困難だったという説を紹介し、「身ぶりで相手に意思を伝えるということが先だったのではないか。身ぶりもコミュニケーションの一つ」と話した。
また、日本のろう教育の歴史も解説。「手話は言語ではなく、日本語を崩し単純化したものと言われ、〝手真似〟とさげすまれていた」と語り、当時は手勢(しかた)法と呼ばれる教育方法がとられていたものの、一九三三年に当時の文部大臣が手話を禁止。そして、音声言語を発音させ、口の形から言葉を読み取ることを目指した口話教育を推進した。
佐藤副理事長は「聾学校では最近まで手話を教えていなかった」と説明し、「耳の聞こえ方は人それぞれ。口話教育はろう者にとって適していない」と語った。
受講していた高梨円香さんは、この授業を選択した動機を、「ことしから新しく開設した授業ということと、聞こえることが当たり前なので、どんな世界か興味をもった」と話した。この日の授業については、「昔は手話が禁止され、批判されていたことに驚いた」と感想を語った。
引き続き行われた六校時は、生徒たちが手話を実際に練習した。
(学校 2017-05-09付)
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