道高校長協会29年度総会 協会の協働体制構築を 川口新会長のあいさつ概要(関係団体 2017-05-12付)
川口淳新会長が運営方針などを説明した
道高校長協会の二十九年度総会(九日、ホテルライフォート札幌)では、新会長に川口淳札幌南高校長を選出した。あいさつに立った川口新会長は「協働体制の構築」など三つの協会運営方針、七つの具体的方策を挙げた。
あいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
ただいま、会長職を仰せつかった。誠心誠意、その任の全うに努めていくので、どうぞよろしくお願いする。
本年度は、多くの校長先生方を新たな会員として迎えた。心から歓迎するとともに、これまでの豊かな経験や、深い見識によって、本協会の活動に協力いただくことを期待申し上げる。
本年度の本協会の三つの運営の方針および七つの具体的な方策について述べさせていただく。
運営の方針の一つ目は、本協会の協働体制の構築。
現在、社会が変化する中、教育改革が進められている。各学校においては、教育改革への対応のほか、学校がかかえる幅広く、ときには複雑な課題に、適切に対応していく必要がある。こうしたことから、校長先生方が高校教育にかかる様々な情報を共有し、課題を明確にして、協働して課題解決を図っていくことが大切であると考えている。
そのための具体的な方策の第一は、本協会の活動方針の明確かつ具体的な設定である。
主題は、「北海道の未来を担う人を育む高等学校教育の創造」で、前年のとおりだが、副題として、「次期学習指導要領が目指す教育の研究と実践を推進する」とした。
昨年十二月の、次期学習指導要領の方向性を示す中央教育審議会答申では、社会が大きく変化する中で、「生きる力」の育成ということの意義をとらえ直し、「カリキュラム・マネジメント」の確立や、「主体的・対話的で深い学び」を視点とする授業改善について挙げられており、今後、各学校で対応していくことになることから、副題については、焦点を絞って設定した。
また、新たに「重点目標」を設定し、教育課題、経営課題、協会運営の三つの視点で挙げている。
本協会としての目標を明確かつ具体に掲げ、協働して課題解決の意識を高めていきたいと考えている。
具体的な方策の第二は、本協会の活動の活性化。
昨年度は、各支部の第三回研究協議会に、本部役員も出席させていただき、本道の高校教育の現状や、本協会の取組などについて協議いただいたが、様々な情報を共有し、課題について協議することは、大変意義のあることと考えている。本年度についても、研究協議会等において、充実した協議をしていけるよう、努めていきたいと考えている。
また、情報の速報性を高め、年八回発行している会報を、すべてメールによって送信することとした。本協会の財務に関しては、年々予算が縮小傾向にあったことから、昨年度、本協会内に七人からなる財務検討委員会を設置し、財務の在り方だけではなく、情報の速報性の観点から、会報の発行について検討を重ね、案としてまとめ、ことし二月の理事研究協議会で、すべてメールによって送信することが承認された。
運営の方針の二つ目は、研修の充実と調査研究の推進。
現在、高校教育の充実や高大接続の改善にかかる検討が進められているほか、本年度、学習指導要領が改訂されることとなっている。
こうしたことから、教育改革の動きが、いよいよ各学校の検討・実行の段階に入り、早急に対応していくことが求められている。本協会としても、学校経営に資するための調査研究を進め、研修の充実を図っていくことが大切であると考えている。
そのための具体的な方策の第三は、調査研究部の活動の充実である。
本協会では、これまでも、校長先生方の理解と協力をいただき、調査研究部において、六つの委員会および小委員会で、テーマに沿って調査研究し、その成果を冊子にまとめ、一月の後期研究協議会で発表していただいている。
本年度、教育改革の動向等を踏まえ、委員会の組織を見直し、進路指導委員会の中に、新たに「高大接続小委員会」を設け、大学等への進学指導に関する調査研究をすることとした。
また、人権教育については、小委員会を設けず、生徒指導委員会の中で、調査研究を進めることとした。委員会の組織を見直すことによって、研究成果が一層、学校経営に生かされるよう努めていきたいと考えている。
具体的な方策の第四は、研究協議会等の研修の充実。
これまで、年四回開催していた支部長研究協議会において、本年度から、桧山、日高、宗谷、留萌、根室の五つのブロック長の校長先生方にも出席していただくこととした。情報の共有と研修の充実を図るほか、支部やブロックにおける課題についても、協議を深めたいと考えている。
具体的な方策の第五は、文教施策要望の反映。
文教施策要望については、昨年度末に、校長先生方からいただいた意見・要望を取りまとめている。要望の具体化、焦点化、継続化の観点から検討を重ね、要望項目や内容の改善を図るほか、教育改革の動向や、本道の高校教育にかかる喫緊の課題などを考慮し、要望書の作成に努めたいと考えている。
運営方針の三つ目は、教職員の資質・能力の向上。
昨年度、教職員による交通事故や違反、わいせつ行為などが発生しており、体罰が依然としてなくならない状況である。不祥事は、高校教育に対する信頼を損なうものであり、大変残念に思う。また、学校における課題が複雑化・長期化する場合があり、危機管理への適切な対応が求められている。
こうしたことから、校長先生方のリーダーシップのもと、ミドルリーダーの育成を含め、教職員の資質・能力の向上を図ることが大切であると考えている。
そのための具体的な方策の第六は、特別委員会の設置である。
本年度、特別委員会となる「コンプライアンス推進委員会」を設置し、学校において、不祥事の防止や危機管理の対応について、教職員の意識を高揚するための取組などを検討することとした。二十六年に本協会が作成した研修資料などを参考にして、より効果的な取組を検討したいと考えている。
具体的な方策の第七は、後継者の育成。
本年度、教頭昇任候補者の確保については、校長先生方に尽力いただいたが、後継者の育成は喫緊の課題となっている。そのため、各学校において、教職員の学校経営参画意識を高め、ミドルリーダーの育成に努めていく必要があると考えている。
昨年度末に、校長先生方から、人事異動に関する意見・要望をいただいた。今回の調査においては、教頭候補者の確保のための具体策等について、新たな質問項目にしている。現在、取りまとめており、本協会としての提案ができるものと考えている。
以上、本協会の運営の方針および具体的な方策について述べた。
今日、社会が急速に変化しており、特に、人工知能やロボットの開発が進み、今後、十年先、二十年先にはどのような社会になっているのか予想がつかないとも言われている。そのころ、現在の高校生が働き盛りで、社会の担い手として活躍しているときである。
そうした時代に向けて、生きる力を育んでいくためには、社会の変化への対応という「流行」と、知識や技術の習得という「不易」の、バランスのとれた教育が重要であると考えている。
このためには、学校をよりよく変えていくという意識をもち、教育内容や教育方法等の工夫や改善を進めていく必要がある。そのことは、生徒が、様々な教育活動を積み重ねることを通して成長していくこと、教職員が、その成長に働きがいをもって、仕事をしていくことにつながるものである。改革の土台は「理念」である。校長先生方のリーダーシップのもと、明確な理念に基づき、手順を整え、タイミングを逃さず、よりよい環境づくりに励むことを祈念している。
社会が変化し、人々の価値観が多様化している中、校長先生方においては、学校経営のかじ取りが難しくなる場合もあると思う。
そうしたときに、支部長・ブロック長をはじめ、近隣の校長先生方、会員の校長先生方が頼りとなることを期待しており、本年度は特に、「協働」ということに重点を置いて、様々な活動に取り組んでいきたいと考えている。
また、来年度は、本協会が創立してから七十年目を迎える。本年度から、準備を始めたいと考えているので、理解と協力をお願いする。
本協会独自に取り組んできた「DO3KO福プロジェクト」が、ことしで三年目を迎える。このたび、札幌平岸高校の生徒の協力によって、ロゴマークを作成した。校長先生方のこれまでの協力に感謝申し上げるとともに、将来の大きな夢に向かって、今後とも、協力をお願い申し上げる。
◇ ◇ ◇
川口新会長の略歴はつぎのとおり。
◇
かわぐち・じゅん
昭和58年筑波大大学院修了。
平成21年道教委新しい高校づくり推進室参事(改革推進)主幹、22年高校教育課主幹、23年美唄尚栄高校長、25年道立教育研究所研究・相談部長、27年岩見沢緑陵高校長を経て、28年現職。
昭和34年1月16日生まれ、58歳。旭川市出身。
(関係団体 2017-05-12付)
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