チームで教育をリード 道特長会・宮崎会長あいさつ(関係団体 2017-05-12付)
あいさつする宮崎会長
道特別支援学校長会の二十九年度総会・春季研究協議会初日(九日、ホテルライフォート札幌)における、宮崎真彰会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
本年度は、新たに十二人の仲間を加え、七十二校、六十三人の校長がチームとなって本道の特別支援教育をリードしていきたい。新採用となった校長には、教諭から教頭になったときの戸惑い以上の精神的変化がある。それは学校のすべての最終責任者であることを体感するからである。しかし、萎縮することなく、自分の学校像を追求していただきたい。
また、三校の特別支援学校がそれぞれの地に一歩を記した。開校までの準備は大変な苦労があったことと思う。お祝いを申し上げるとともに心から敬意を表する。今後の発展に期待している。
開校にかけた思いは、学校教育目標や校訓に表れているが、我々もあらためて自校の学校教育目標が社会に開かれた教育課程の指針となっているのかを考えていく契機としたい。
さて、本日の総会では、昨年度の活動の総括とともに、本年度の活動計画について協議いただくが、特別支援教育への転換から十年を経て、特別支援教育を取り巻く課題は、多様性への対応といった質的な変化を感じている。
現在、各学校においては、このたびの学習指導要領の改訂に向けた準備に当たっているが、学習指導要領改訂のもとをたどると、中央教育審議会の答申を受けた「次世代の学校・地域」創生プランに行き当たる。
このプランは、三つの柱で構成されており、今後の特別支援教育の発展・充実を目指す上で、重要な視点であることから方向性を確認したい。
一つ目の柱は、「地域と学校の連携・協働」である。
地域の人々が学校と連携・協働して、子どもの成長を支え、地域を創生していくことが要点であるが、コミュニティ・スクールについては、いずれ特別支援学校も指定されるものと思われる。
地域との連携協働は、すでに多くの学校で実践されており、今金高等養護と町との協定をはじめ、各校での現場実習そのものがまちづくりの一助になっているといえる。また、生産的な活動のみならず、文化的、精神的な活動も多々あり、実践されている。
この四月、松野文部科学大臣から、「特別支援教育の生涯学習化に向けて」としてメッセージが発信された。そこには、学校卒業後も生涯を通じて教育や文化、スポーツなどの様々な機会に親しむことができるよう、教育施策とスポーツ施策、福祉施策、労働施策等を連動させながら支援していくことが重要として、「障害者学習支援推進室」を新設したとある。
パラリンピックでの卒業生の活躍、地域でのクロスカントリースキー大会の参加、各校での部活動、日体大付属高等支援学校の開校など、スポーツの充実はもとより、新篠津高等養護の演劇、岩見沢高等養護の写真など文化活動も大きく広げている。
我々特別支援学校は、障害者差別解消法も念頭に置きながら、人権、尊厳を尊重する姿勢を地域で体現し、地域創生に寄与していきたい。
二つ目の柱は、チーム学校である。
校長のリーダーシップのもと、教育活動を介して地域とつながる学校をつくることが要点だが、特別支援学校は、もともと、自立活動教諭、寄宿舎指導員、実習助手、専門支援員、介護員、看護師と多様な職種で構成されており、チームで教育活動を進めている。
加えて、支援会議を開催している。医療、労働、行政などの専門機関が一堂に会して、その子の支援を検討する支援会議は、言うならばチーム学校であり、今後も充実していくことが求められる。
三十年度には、高校での通級指導が制度化される。特別の教育課程について高校からの助言の要請も想定される。高校のチームの一員としての意識ももって実践を進めていきたい。
三つ目の柱は、教員改革である。
教員養成は、平成九年の教育職員養成審議会での第一次答申以来、時代の変化とともに、新しいミッションを加えながら、養成、採用、研修を通じた不断の資質向上が要点となってきた。
合理的配慮の「基礎的環境整備」の一つに、「専門性のある教員、支援員等の人的配置」があるが、まさに各校においても、校長会にとっても、専門性は基礎的環境の整備として極めて重要な課題の一つである。
各校の校内研修、各障がい種ごとの研究会でも、一層の充実をお願いしたい。
この三月に北海道における教員像の素案が出されたが、各校においては、素養に関すること、専門性に関すること、連携協働に関することを見据えて、教員改革を学校から進めていただきたい。
最後になったが、教職員の服務と健康管理についてである。
飲酒運転、わいせつなどは、服務を越えて、社会人としての法令順守のレベルである。当事者の厳罰は当然であるし、子どもたちを教え導く学校としての信頼低下は避けられない。
職務専念義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務などの服務は、職場の風土に強く影響する。
管理職の大幅交代期の中にあって、危機管理の視点も変わってきているように思う。凡時徹底、率先垂範に努めていただきたい。
一方で、教職員のメンタルヘルスが大きな課題となっている。感情労働といわれる教育職において、精神疾患にかかるのは、中学校と特別支援教育が大変多いとのことである。
教職員は貴重な人材であり、教職員の健康なくして教育は進められない。ストレスチェック制度を活用するなどして、健康の維持増進に留意していただきたい。
以上、本道の特別支援教育環境の課題は、本会がまとめている文教施策要望にも挙げられるように、多岐にわたっている。
七十二校、六十三人の校長会チームで、特別支援教育をリードしていきたいと思うので、よろしくお願いする。
(関係団体 2017-05-12付)
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