稚内市の30年度教育行政執行方針 小学英語実施へ取組推進(市町村 2018-03-13付)
稚内市教委・表純一教育長
【稚内発】稚内市教委の表純一教育長は二月二十八日、市議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。「時代に即した学校教育の推進」など三つの基本姿勢を提示。小学校の英語教育先行実施に向け、指導時数の確保や教員の研修などの充実を図り、中学校への接続を意識した教育課程の編成に取り組んでいくことを示した。また、全小・中学校に大型テレビと実物投影機を設置し、ICTを活用した学習環境の整備を図っていくことを説明した。
ICT活用した環境整備を
執行方針の概要はつぎのとおり。
◇
▼はじめに
今、急激な世界の変化や、グローバル社会に対応するため、教育の推進が求められている。こうした状況の中、稚内市教委は、どんな家庭に育った子どもでも、自分の夢に向かって頑張ることのできる教育環境の向上に向けた取組を進めていく。
▼地域・家庭における教育力の向上
子どもの成長を見つめ、子育ての喜びを感じ、必要な支援につなげられる子育てファイル『あゆみ』の配布は、本年度で三年目となる。活用モデル地区の取組状況も踏まえ、家庭や地域での一層の浸透を図っていく。
子どもの貧困対策については、市民ぐるみの取組として四年目を迎える。昨年は、市内四つの中学校区で結成したプロジェクトチームが地区ごとの支援策をネットワークプランとして発表したほか、地区における具体的な子どもの貧困対策に向け、子どもが育つ地域づくりの担い手として、地域連携コーディネーターの養成を行った。今後は、このネットワークプランを広く活用し、子どもたちが将来に夢を抱き、自ら切り拓いていくことができる取組を進めていく。
いじめや不登校への対策については、地域、家庭および関係団体との連携を図りながら、スクールソーシャルワーカーなど、専門職の配置を継続するほか、適応指導教室の活用など、課題解決に向けた取組を推進していく。
要保護児童への対応ときめ細やかな取組については、子どもの養育相談に関する家庭相談が増加傾向にあることから、課題を抱える家庭に対して、関係機関や地域の方々と連携を図り、困難家庭の早期発見・早期対応に努めていく。
保育施設の整備に関しては、入所幼児の増加に伴い、十分なスペースの確保が難しくなっていた宗谷保育所を、新たな施設で本年四月から保育を行うこととした。また、低年齢児における待機児童の解消のため、引き続き、公立保育所における保育士の確保に努めるとともに、保育ニーズの変化に対応するよう、子ども・子育て支援計画の点検・見直しを行う。
本年度から子育て支援に特化したサービスとして、新たに「子育てウェブサイト」が始まる。子育て世代に身近な情報伝達ツールであるインターネットを活用し、さらには、スマートフォンに対応することによって、分かりやすい情報提供を行うなど、安心して子育てできる環境づくりを進めていく。
▼時代に即した学校教育の推進
学習指導要領の改訂に伴い、三十二年度から小学校で英語が教科として導入される。このため、移行期間となる本年度から、英語教育の一部を先行実施することに伴い、指導時数の確保や、教員の研修等の充実を図り、中学校への接続を意識した教育課程の編成に取り組んでいく。
学力向上の推進については、本年度、小・中学校全校に、大型テレビと実物投影機を設置し、ICTを活用した学習環境の整備を図る。
現在、教職員の長時間労働が大きな問題となっている。学校における業務管理や業務改善の推進、部活動指導員制度の導入、定時退勤日や夏季休業中における学校閉庁日の設定、また、これまで学校が担ってきた業務の在り方に関する考え方の見直しなどについて、引き続き検討を行う。
学校施設の整備については、本年度二期目となる稚内南小学校の校舎改築工事を、十二月末の完成に向けて進めている。新校舎で子どもたちが笑顔で、明るく、元気な学校生活を送ることができるよう期待している。
「安全」「安心」な学校給食の推進については、発育期における児童生徒の健康増進と、体位の向上を図るため、栄養バランスの取れた学校給食の提供を通じ、食育の推進に努める。
▼活気あふれる学び場づくり
本年四月、「いつでも・誰でも・気軽に」学べる施設を目指し、「生涯学習総合支援センター」愛称「風(かぜ)~るわっかない」を開設する。子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層に対応できるような学習メニューを考案するなど、多様な学びを支援し、人と人はもちろん、数多くのサークル・団体が交流できる施設として、市民とともにつくり上げていけるよう、取組を進めていく。
また、本市の将来を担う子どもたちの育成については、これまでと同様に、各種体験事業の充実はもちろん、「子育て運動」の理念に基づき、保護者にも有益となる取組を実行していく。
さらに、働きながら学習できる機会としての「市民講座」やわがまちの歴史などを学ぶ「稚内学」についても、継続して事業を進めていく。
旧稚内大谷高校跡地を活用した多目的スポーツ施設については、三十二年の開設に向け、現在整備を行っている。その他各種スポーツ施設についても、必要な施設の在り方や、統廃合などの検討を行い、効率的な施設運営に努める。
本年九月、本市初のフルマラソン「日本最北端わっかない平和マラソン大会」が開催される。この大会は、これまで同様「世界の恒久平和への願い」や、「子育て平和都市宣言」の趣旨を発信するとともに、最北端の「食」や「景観」など、地域の特性を生かし、市民の協力のもと、全国に誇れる新たなスポーツイベントとして定着できるよう、取組を進めていく。
また、スポーツ合宿については、冬季スポーツに関して、新たな合宿の展開を図っていくため、道内外に向けた情報の発信と、積極的な誘致活動を行っていく。
本年五月、稚内市樺太記念館が開館する。樺太関連資料を後世に残すとともに、年間を通して、市民や観光で本市を訪れる人々に広く公開し、資料の活用を図るほか、旧瀬戸邸や北方記念館など、市内展示施設とのさらなる連携を強めていく。今後も、稚内市樺太記念館を中心として、樺太関係資料の調査、収集に努めていく。
文化の振興については、稚内市文化協会および関係団体と連携強化を図るとともに、市民が芸術・文化にふれる機会の増加に努め、文化活動の普及・促進を図る。
青少年科学館については、理科実験教室の内容等の充実を図るとともに、新たにサイエンスクラブを立ち上げ、実験や観察などを通じて、子どもたちの科学に対する興味・関心を高める取組を行う。
ノシャップ寒流水族館は、本年七月に開館五十周年を迎えることから、記念セレモニー・企画展などの記念事業を水族館・科学館の両館で開催する。
図書館については、子どもたちをはじめ多くの人々に、本との出会い、その出会いから得られる感動や感情を、心と記録に蓄えていただきたいとの思いから始めた「読書通帳」の利用拡大を図る。また、家族で読書を楽しむ「家読(うちどく)」を展開し、子どもの読書に対する習慣や、感受性の醸成に努める。
(市町村 2018-03-13付)
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