羅臼町30年度教育行政執行方針 東大等と連携しESD推進 基礎体力高めるための取組も
(市町村 2018-04-02付)

羅臼町山崎守
羅臼町教委・山﨑守教育長

 【根室発】羅臼町教委の山﨑守教育長は、三月上旬の町議会第一回定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。持続可能な未来を拓く人材の育成(ESD)としてふるさとキャリア教育やユネスコスクール活動の推進を通し、教育的なねらいを明確にした教育課程の編成に取り組むことを表明。東大などと連携して推進する。幼稚園から小学校六年生までを対象にコオーディネーショントレーニングを取り入れ、運動に対して関心をもたせ、基礎体力を高める。羅臼高校存続に向けた手立ての検討も進める。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼持続可能な羅臼町の未来を開く人材の育成(ESDの推進)

▽持続可能な未来を拓く人材の育成

 生まれ育った郷土の歴史や文化、自然への興味や関心を深め体験を重ねることは、子どもたちの豊かな心情や思考力の芽生えを培い、豊かな創造性を育てる。ESDの活動であるふるさとキャリア教育やユネスコスクール活動の推進を通して、教育的なねらいを明確にした教育課程の編成に取り組む。

 そのためには、昨年末に町と提携した東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センターと立教大学ESD研究所と連携し、持続可能な地域創生と人材育成を推進していく。

▽ふるさとキャリア教育の推進

 中高生徒会のリーダー研修会をはじめ、根室管内リーダー研修や新たに始まる海洋教育の考え方を通して地域課題と向き合わせ、問題解決に対する自由な思考を育て、これらの発表の機会を子どもたちに多く与えていく。

▽世界自然遺産登録地・知床を通しての海洋教育・環境教育を利用したグローバル人材の育成

 地域人材の育成、ふるさとキャリア教育、新しい産業の開発につなげるため、知床を理解し活用することおよび多くの外国人が観光や調査・研究などで来町することを活用し、国際社会でも活躍できるようにするための英語教育の充実を図り、国際的コミュニケーション能力やチャレンジ精神、異文化に寛容性をもったグローバル人材育成につながる取組を推進していく。

▼持続可能な社会で生きる力の育成

▽幼児から十八歳までの一貫した教育の推進

 幼稚園と小学校をつなぐ幼小スタートカリキュラムの実践、小学校と中学校をつなぐ小中連携、中学校と高校をつなぐ中高連携の充実を地域とともに推進していく。

▽確かな学力を育む学習指導

 幼小中高一貫教育を通して、小学校と中学校では自主公開研究会や学習指導法研究会の開催など課題解決に向けた組織的な活動を支援するとともに、各教科の習熟度を高めるための分かる授業、できる授業の展開と学ぶ姿勢や学ぶ態度の育成を支援していく。

 学校全体での指導や家庭、PTA、地域の支援を得て、町小中高生生活のきまりの実践と『家庭学習の手引き』などの活用を図っていく。

 また、道教育大学釧路校との連携協力による学習支援をはじめ、学生ボランティア事業を継続して推進していく。

▽健やかな体を育む取組

 健康な体を育む教育として、幼稚園から小学校六年生までを対象にコオーディネーショントレーニングを取り入れ、運動に対して関心をもち、スポーツを楽しむ工夫や体を動かす楽しさなどを体感しながら、基礎体力を高めるための取組を推進していく。

 肥満や好き嫌いの改善には、栄養教諭の指導による食育を通して子どもたちの望ましい栄養摂取や当町の食文化や水産物などに対する理解を深めるとともに、医療や保健機関とも連携をしながら、肥満児童生徒の指導体制の確立を図っていく。

▽地域全体で子どもたちの学びを支援する取組の推進

 学校経営方針に基づき行われる学校評価については、子どもたちや学校の状況に関する共通理解を深めることはもちろんのこと、これからは学校と地域が連携・協働して、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支えていく活動として、文部科学省が積極的に推進するコミュニティ・スクールを三十一年度開始に向けて準備を進めていく。

▽情報通信技術(ICT)を活用した教育の推進

 新設する知床未来中学校でのWi―Fi環境を利用し、各種デジタル教材の活用と資料の検索や課題を創造的に取り組める力を育てていく。

▽学校施設・設備などの整備・充実

 知床未来中学校校舎は、本年二月末をもって完成し、四月十日に開校式を迎える。引き続きグラウンド工事を含む外構工事を行い、本年末に落成式を行うよう取り組んでいく。

 既存の施設・設備については、老朽化に伴う給食センターの備品などの更新を引き続き実施していく。

 今後、少子化による児童数の減少に伴う幼稚園の一園化、小学校の一校化の具体的な適正配置計画の作成と教育施設の活用について協議していく。

 羅臼高存続については昨年、羅臼高存続問題検討協議会を設置して協議を継続している。町外からの入学が見込めない地域柄であり、地元の子どもたちが地元で高校教育が受けられる環境を維持・継続するため、存続についての道筋を付け、住民の協力も得て手立てを検討していく。

(市町村 2018-04-02付)

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