札幌市教委29年度教員長期社会体験研修が終了 さらなる地域貢献目指し異業種体験―参加者に聞く
(市町村 2018-03-30付)

札幌市教委長期社会体験研修
学校訪問のあと、選手のユニフォームを洗濯する山形教諭

◆地域と積極的にかかわりを あいの里東小・山形教諭

 札幌市教委が実施している教員長期社会体験研修。本年度は、あいの里東小学校の山形昇平教諭が約一年間にわたって、プロサッカークラブの㈱コンサドーレホームタウン事業推進部で研修してきた。試合に向けた準備や幼稚園・学校訪問における選手の補助など、様々な業務に取り組んだ山形教諭に、研修の成果を聞いた。

 昨シーズン、Jリーグ一部残留を決めた北海道コンサドーレ札幌。サッカーに関する活動だけではなく、幼稚園・学校訪問やスポーツ振興、環境保護活動など子どもたちの健やかな成長や地域の活性化につながる取組を行っている。 

 山形教諭は、小学校に二十年以上勤務。以前は子どもと保護者とのかかわりで完結していた学校が現在は地域の養護施設や町内会、企業とかかわる機会が増え、学校における地域貢献のニーズが高まっていると感じるようになったという。また、「地域貢献することで学校の信頼度も上がるはず」と話す。

 研修の説明会で、市教委から提示された企業などは、積極的に地域とのかかわりをもっており「地域貢献に関してアイデアを得たい」と考え、参加を決めた。

 研修で配属先となったホームタウン事業推進部では、チラシを折る作業や物品の発送といった事務仕事が主な業務だが、幼稚園・学校訪問における選手およびクラブマスコット〝ドーレくん〟の世話役や、ホームゲーム当日には総合案内所の係員も担当した。

 また、二十九年はドーレくんの生誕二十周年。特別企画「ドーレくん二十のチャレンジ」の動画について、企画・編集・配信を担当した。動画では、ドーレくんが小学生に自然保護について教える企画などを展開。教員の経験を生かし、企画の流れを考案したほか、話すことができないドーレくんを補助しながら企画を進めた。

 幼稚園・学校訪問などを通して「人前で緊張せずに話せること」「幼児や児童など相手に合わせ言葉を選べる」といった教員の特性にあらためて気づいたという。

 印象深いのは、小野伸二選手の付き添いを行った小学校訪問。子どもが「サッカー選手になろうと思ったきっかけ」を質問した際に、小野選手がこれまで何度も聞かれてきたと思われる質問に対し、深く考え込んでいる姿が心に残っている。

 小野選手が子どもの質問に、真摯に考え答える姿を見て、自身は、子どもの発言に対し「経験則から得た言葉を、すぐ投げかけてしまっていた」と振り返った。今後は「子どもの話をちゃんと聞いて、ちゃんと答えよう」と自戒の念を強めた。

 このほか、一試合行うのには、一千人を超える従業員・アルバイトなどがかかわっていることに驚いた。場内のビジョンに流す映像は外注するなど、外部人材も多く活用していることから「様々な人がかかわらなければ、ここまで大きな事業は出来上がらない」と実感。

 これまで、プロサッカークラブの仕事は「試合をサポーターに提供することだと思っていた」。しかし、研修で様々な業務を経験し、試合という〝面白い場所〟を提供することで、人が集まり、飲食などの収入やサポーター同士の交流などを生み出していると感じた。

 勉強を教えるというイメージのみだった学校も、運動会など、多くの人を集める機会があることに気がつき「地域の人が面白いことをしに来る場所と考えたら、もっと人が集まる」と思うようになった。学校の活性化や地域貢献に向けて「ワクワクする気持ちを掘り起こす場づくり」を目指す気持ちが強まった。

 春からは、専攻が体育のため、子どもたちだけではなく「地域の人も参加できる体育的な活動を提供するような企画ができたら」と抱負を語った。

 異業種の仕事を経験したことで、生きていくために大事な姿勢は「分からないことは聞く」「朗らかで生き生きとしている」といった「多くの人と気持ちよくかかわっていける力」だと感じた。「子どもには、人とかかわる能力があれば、困難は乗り越えていけると伝えたい」と話していた。

(市町村 2018-03-30付)

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