道研・北村所長と道教育大・玉井副学長　本道が実践と理論の発信基地に　へき地・小規模校教育で対談

（道・道教委 2019-03-22付）

北村所長（左）と玉井副学長（右）は連携強化を確認した

　道立教育研究所の北村善春所長と道教育大学のへき地・小規模校研究センター長を務める玉井康之副学長は三月上旬、道立教育研究所でへき地・小規模校教育にかかる連携への思いや展望について意見を交わした。次年度から始める大学連携研修講座「これからのへき地・小規模校教育充実研修」の意義や、へき地・小規模校の可能性などについて対談。北海道が全国に向けた実践と理論の発信基地となるため、今後もより連携を深めていくことを確認し合った。

　道教委と道教育大は三十年度、当面の連携・協力業務に関する行動計画に同意した。次年度以降の実施に向けて検討する事項として「教職大学院の改善・充実のための協議の実施」「研修・共同研究・シンポジウムなどの実施に関する連携・協力」を提示。道教育大への現職派遣教員の一年短期履修制度の早期実現、へき地・小規模校教育研修やへき地教育研究に関する共同研究などの実施に向けて検討してきた。

　これを受け、三十一年度の道研の研修講座では、大学連携研修講座として新たに「これからのへき地・小規模校教育充実研修」を開講。道教育大と連携し、研修の枠組みづくりから運営までをともに行う取組は初となる。

　冒頭、玉井副学長は、連携の目玉として「へき地・小規模校教育」を行うこととしたことについて、学校の小規模化が全国的な課題となっていることに加え、「道内のへき地指定校は全国の三分の一を占め、今後も小規模化が進んでいくことが予想されるから」と説明。北村所長も「他人事ではなく、全道的に解決していかなければいけない問題」との認識を示した。

　へき地・小規模校教育の可能性について、玉井副学長は「小規模校や複式学級で子どもたちが自主的に学ぶ授業は、まさにアクティブ・ラーニングそのもの」と分析。「へき地で日常的に行っている実践が、実は先進的な内容になっている」と評価した。

　さらに、へき地・小規模校教育が教員養成の観点からも有用であることを指摘。「へき地実習で子どもと直接ふれ合った経験が、学生のへき地への赴任意欲だけでなく、教職意欲も高めている」と話した。

　こうしたへき地・小規模校の良さを踏まえ、北村所長は「小規模だからこそからできる学びの可能性を見いだし、うまく汎用化することができれば、全国で応用できる」と期待。「大学の研究機能をもって整理・理論化し、良い実践を検証・汎用化してもらいたい」と語った。

　玉井副学長は「北海道は小規模校が多いからこそ、各学校の実践には先進的な内容が多く含まれている」とした上で、「道研はすでに各学校現場と連携して、実践を蓄積している。これに道教育大が連携することで、道内全域の実践を構築し、全国に波及できれば」と展望を述べた。

　北海道がへき地・小規模校の可能性を見いだし、全国に向けた実践と理論の発信基地となるべく、道研と教育大は互いの良さや強みを生かした連携を今後さらに深めていく考えだ。

(道・道教委 2019-03-22付)