働き方改革重点に 道中総会 新沼会長あいさつ
(関係団体 2019-05-07付)

道中学校会総会会長あいさつ
新沼潔会長

 4月26日に開かれた道中学校長会の総会・研修会における新沼潔会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 わが国では、21世紀にふさわしい、持続可能な社会を構築するための動きが加速している。教育界では様々な教育改革が行われ、新学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」および「主体的・対話的で深い学び」の実現、「カリキュラム・マネジメント」の確立など新たな変革の時期を迎えている。

 私たち校長は時代の要請に応え、学校改革を推進することが重要な使命。これまでの各地区、各学校での実践の成果を十分踏まえ、地域や保護者と共有・連携・協働しながら、子どもたちに社会を生き抜く力とともに、よりよい社会を形成する力を育む教育を実践しなければならない。

 道中の組織は政令指定都市への税源移譲によって、これまで札幌市の校長先生方にすべての運営をお願いしてきた組織から、全道すべての地区の校長先生方の協力で運営していく組織へと大きな改革が行われた。

 30年度はその初年度として「つなげ合い、新たな道を拓く 道中」というキャッチフレーズを掲げ、〓本前会長の強いリーダーシップのもと、困難を克服し解決しながら「チーム道中」として組織改編初年度を大きな成果とともに終えることができた。

 私はこれまでの道中の歴史の中で、先達が脈々と積み上げてきた思いをしっかりとつなぎながら、全道各地区の校長先生方との強い連携と札幌市を含めて、今まで以上に、「オール北海道」「チーム北海道」として新たな道へ進んでいくよう、強い覚悟をもって活動を推進させていきたい。

 さらに、現在中学校では新学習指導要領の全面実施を2年後に控え、移行期に入っている。また、部活動を含む教職員の働き方改革が急速に進められている。

 そこで、これら大きな課題を解決するため、本年度のキャッチフレーズとして「覚悟を持ち新たな道へ進む 道中」を掲げた。道中70数年の歴史という縦のラインと、全道571人の会員による横のラインをつなぎ合い、新たな組織体制で臨む道中の今後の道を開きながら、活動を前進させることができるよう、校長先生方の支援、協力をあらためてお願いする。

 つぎに、本年度の活動を推進するに当たり、2点の重点を中心に説明する。

 1点目は、新学習指導要領の趣旨の共有と実施に向けた取組について。

 今、社会は大きな変化のうねりの中にある。これからの子どもたちの前には、AIなどの新しい技術を取り入れ、社会的課題を解決していくSociety5・0の社会が目前に迫っている。人生100年をたくましく生きていくことも求められている。さらに、外国人労働者との共存も、避けては通れない現実である。新学習指導要領の施行が2年後に迫っている。

 今、子どもたちに知・徳・体にわたる生きる力を育み、学力・体力を向上させていくことは大きく喫緊の課題と言える。そのためには、様々な調査結果に基づく検証改善サイクルを確立し学校改善を推し進めること、主体的・対話的で深い学びを実現していくために見通し、振り返りをしっかりと位置付けた授業改善に取り組ませていくこと、アクティブ・ラーニングを取り入れた授業への改善が不可欠である。

 さらに、小学校で全面実施される道徳科や小学校外国語の状況を注視しながら、その学びを中学校にしっかりとつなげていけるよう、新学習指導要領の趣旨をさらに職員で共有し、移行期間の確実な取組や道徳科の全面実施に向け、自校の教育活動を今一度見直し、課題と改善策をより明確にしながら実践を積み重ねていくことが重要。

 これらについての大きな学びの機会でもある、9月に開催される第61回北海道中学校長会研究大会空知・岩見沢大会の成功に向けて、参加者の力を結集し、実り多い大会にしていきたい。協力をお願いする。

 2点目は、学校での働き方改革の推進について。

これまで私たち中学校の教員は子どもたちのため、という教員の使命感のもと勤務時間に関してあまり意識せず、やれるだけのことをやるという働き方をしてきた。

 その結果、逆に子どもたちと向かい合う時間が削られ、体調を崩す教員も増え、若い世代の教員志望者が減少しているという現状がある。特に、中学校において大きな課題として挙げられていることに部活動の問題がある。さらには現場で苦労していることとして、期限付教員の確保の難しさがある。

 教員という職業にやりがいがあり、社会への貢献度の高いものであることに間違いはない。しかし、このままでは現場の教員が疲弊し、新たな優秀な人材も集まらなくなってしまう。学校の働き方の改善・改革を目指した「北海道アクション・プラン」が道教委から29年度末に出され、31年3月にはすでに改訂も行われた。その内容やスピード感には道教委の危機感と本気度を感じる。

 今こそ、私たち校長は強い覚悟で道教委とともに働き方改革を進め、教員の意識改革を進めていかなければならない。今この機会を逃せば今後の教育界に大きな禍根を残すことになる。さらに、このままでは優秀な人材も集まらなくなってしまう。今後の学校教育の質を保証するためにも道中は働き方改革を重点として取り組んでいく。支援と協力をお願いする。

 このほかにも様々な課題が山積している。丁寧に取り組んでいきたい。

 そして、道中としての重要な取組として続けられている「道文教施策・予算策定に関する要望書」「北海道教育の質の向上をめざす教育条件の整備に関する提言書」の提出や8月に行われる道教委との文教施策懇談会・各課懇談会において例年どおりに道中として生の声を伝えることも予定している。また、各地区で行われる地区教育研究会には道小と連携し、5役・幹事がうかがって全道の校長先生方と意識の共有を図っていきたい。

 少子高齢化がますます進み、持続可能な社会の構築が求められる中、私たち校長は、学校教育が北海道の今後の発展の基盤となるという認識のもと、その充実、課題解決に向かい、覚悟をもって取り組むことが必要。そのためにも、全道すべての地区が強固に連携し「オール北海道で道産子を育てる」という意識がさらに大切になってくる。

 各地区、各学校、現状や課題に違いはあるだろうが、「チーム北海道」として様々な思いを共有し、全会員が主体意識をもって北海道の中学校教育が新たな道へ進んでいくよう、協力をお願いする。

(関係団体 2019-05-07付)

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