教育再生実行本部１２次提言案　採用試験全国共通化など　教員養成等の方向性示す

（関係団体 2019-05-16付）

　自民党教育再生実行本部は、教員養成・免許改革の実行など今後の教育再生の方向性を示す教育再生実行本部第１２次提言案をまとめた。教師奨学金返済免除制度の復活、採用試験の全国共通化や、研修や免許状更新講習で習得したポイントを上位の免許状取得などで活用できるラーニングポイント制の導入などを盛り込んでいる。

　１４日に東京都内で開かれた会合で示したもの。①次世代の学校指導体制実現部会の提言②新時代に対応した教育提言部会の提言③高校の充実に関する特命チームの提言④提言検証特別部会の論点整理―で構成。

　①では、教員養成・免許改革の実行を掲げ、４年生前期に実施することが多い教育実習の日程の在り方や、理系学部など多様な学部から小学校の教師になる方法の拡大の検討などを盛り込んだ。

　②では、学術通信ネットワークＳＩＮＥＴの初等中等教育段階での令和４年度の本格運用、先端技術を活用した指導形態・方法を踏まえた年間授業時数や標準的な授業時間の在り方を示した。

　③では、すべての高校のスクールポリシーとして「生徒受入れ方針」「教育課程編成・実施方針」「卒業認定方針」の策定の義務化、時代に即した定時制通信制教育振興法の改正、海外大学への進学を前提としたカリキュラムの開発・実施を推進する拠点校の設置などを挙げた。

　④では、教師養成改革、教師採用改革（新人材確保法の制定）、教師研修改革を提示。

　具体的には、教職課程の５年制の検討など教師養成の高度化・修士レベル化、教育実習前に教員志望者の熱意や適性などを測定・選別する適性判断システムの導入などを挙げた。

　また、教員の処遇改善のための法制上の措置とともに、平成１０年度に廃止した教師奨学金返済免除制度の復活や、各都道府県・指定都市教委などが行う教師採用試験の共通化や教師免許の国家資格化、学校と民間の間で弾力的な人材交流を可能とする学校版クロスアポイントメント制度導入を示した。

　このほか、研修、免許状更新講習、教職大学院での学修によって習得したラーニングポイントを上位の免許状取得や管理職の登用要件に活用するなど、体系的・効率的な育成制度への転換、現職教員の教職大学院の授業料無償化制度の創設を盛り込んだ。

　道教委は、札幌市を除く道内における平成３０年度公務災害の発生状況をまとめた。授業、部活動指導、学校行事など教育活動中に発生した公務災害の件数は前年度比１３件減の３４２件。通常職務での発生が２０１件と大半を占め、類別ではアキレス腱断裂など「動作の反動や無理な動作」によるものが９１件で最多。全体の６６％を４０歳以上の職員が占めていることが分かった。道教委は、リーフレット『公務（通勤）災害を未然に防止するために』を活用するなど、事故の未然防止や安全に対する意識啓発を呼びかけている。

(関係団体 2019-05-16付)