道・道教委 国への文教施策・予算要望 教育の情報化施策推進を
(道・道教委 2019-07-18付)

 道、道教委の令和2年度国の文教施策および予算に関する提案・要望(12日付1面既報)の概要はつぎのとおり。

◆重点要望事項

▼学力・体力向上に向けた施策の充実

 本道では、児童生徒の学力・体力を全国平均以上にするという目標を掲げ、授業改善に関する調査研究事業の実施など、各種施策に取り組んでおり、当該目標を実現するため、これらの施策のさらなる充実と学校の指導体制の強化が必要。

▽学力・体力向上に効果的な教育課程の編成や指導方法の開発・実践等のための調査研究事業に対する財源措置の拡充

▽学力・体力向上のための積極的な取組を行う地域に対する財源措置および人的支援の拡充

▽新たな定数改善計画の早期策定および指導方法工夫改善定数の拡充

▼国際理解教育の充実

 本道では、急速なグローバル化の進展に対応するため、小・中学生が日常的な英会話に挑戦する機会の創出など、児童生徒の英語力の向上等に取り組んでいる。学習指導要領の改訂に伴う小学校の英語教育の教科化や、中学校や高校における英語教育の高度化に対応するために、こうした施策の一層の充実を図るとともに、意欲ある若者が海外に留学するための施策の充実を図る必要がある。

▽教員の指導力・英語力の向上に向けた支援

・教員研修の充実

・外部資格取得への支援

▽小学校英語教育の早期化・教科化に対応するための条件整備

・加配教員等を活用した専科教員の拡充

・教材の無償配布の継続

▽中学生および高校生の英語力の向上に向けた支援

▽グローバル人材を育成するための施策の充実

・若者の海外留学への支援の充実と継続

・地方公共団体が実施するイングリッシュキャンプの充実のための財源措置

▼教育の情報化に向けた施策の充実

 本道では、高度情報化の進展に対応するため、北海道における教育の情報化推進指針に基づき、子どもたちの適切な情報活用能力の育成等に取り組んでいる。広域分散型の地域特性を有する本道において教育水準の維持向上を図るためには、ICTの活用が効果的であることから、教育の情報化を推進するための施策の充実と、さらなる環境整備が必要である。

▽ICT環境整備や情報セキュリティ対策のための財源措置の拡充

▽プログラミング教育の推進のための指導体制の整備や財源措置等の充実

▽ICTを活用した「分かる授業づくり」の実施のための指導体制の充実

▽遠隔授業や遠隔研修の充実に向けた財源措置などの拡充強化

▽校務支援システム整備のための財源措置の拡充

▼幼児教育推進体制の充実

 本道では、幼児教育の質の向上に向けて、北海道幼児教育振興基本方針の策定や幼児教育推進センターの設置によって、推進体制の整備を進めてきており、本年度からは、さらなる取組の充実のため、国の幼児教育推進体制の充実・活用強化事業を活用し、幼児教育の振興のための施策を着実に進めていく必要がある。

 広域分散型の本道において、令和2年度以降も引き続き幼児教育施設に対する助言および研修機会の一層の充実等が図られるよう、継続的な財政措置が必要である。

▽幼児教育の推進体制の充実

▼公立学校の教職員定数の改善充実

 新学習指導要領の円滑な実施や、学校における働き方改革の推進、複雑化・困難化する教育課題へ対応するための学校の指導・運営体制の強化が求められる中、子どもたちにこれからの時代に必要な力を身に付けさせる学校教育を実現するため、新たな定数改善計画を早期に策定し、着実に実施するなど、教職員定数の一層の改善充実が必要である。

▽新学習指導要領の円滑な実施

・外国語教育の充実のための定数措置の拡充(小学校における外国語等専科指導)

・指導体制の充実のための定数措置の拡充(中学校生徒指導体制の強化)

・小規模中学校における免許外教科担任を解消するための定数措置の拡充

▽学校における働き方改革の推進

・副校長、主幹教諭や小学校における専科指導教員にかかる定数措置の拡充

・退職教員、スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員など外部人材を活用するための事業の充実

・学校の運営体制の強化のための定数措置の拡充(共同学校事務体制の強化)

▽複雑化・困難化する教育課題へ対応するための学校の指導・運営体制の強化

・少人数学級の小学校第2学年以降への拡大

・通級指導、外国人児童生徒などへの日本語指導、初任者研修にかかる加配定数の基礎定数化の着実な推進と地域事情を踏まえた加配措置への配慮

・いじめ・不登校等への対応、貧困等に起因する学力課題の解消など、今日的な教育課題への対応の充実を図るための定数措置の拡充

・特別支援教育の一層の充実に向けた定数措置の拡充

・統合校や過疎地小規模校の支援のための定数措置の拡充

・都道府県・市町村独自の教育施策と連動した定数措置の新設

・小学校の複式学級にかかる学級編制標準の引き下げおよび中学校の複式学級解消のための定数改善

・特別支援学校の専攻科および幼稚部重複障害学級にかかる学級編制と教員配置の基準の新設

・高校における小規模校の定数措置の拡充や多科目開設のための加配など多様な教育の展開を行うための定数措置の拡充

・養護教諭の全校配置、複数配置校にかかる定数措置拡充、高校通信制課程への養護教諭の定数措置新設

・食に関する指導と学校給食の管理の充実のため、栄養教諭の定数措置の拡充

・小・中学校の事務職員の定数措置の拡充

・児童自立支援施設に併設される学校に対する定数措置の新設

・学校図書館機能の充実のための標準法による司書教諭および学校司書の定数措置の新設

・小中一貫および中高一貫教育校に対する定数措置の充実

・単位制高校に対する定数措置の充実

・医療的ケアを必要とする障がいの重い幼児児童生徒の就学機会の確保のための看護師の学校教育法等への位置付けおよび配置基準の制度の新設

・特別支援学校の寄宿舎に関する業務に対応するための寄宿舎指導員および事務職員の定数措置の拡充

▼学校における働き方改革の推進

 本道では、教員が健康でやりがいをもって勤務しながら学校教育の質を高められる環境の構築に向けて、平成30年に北海道アクション・プランを策定し、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員の配置、学校閉庁日の設定などの働き方改革の取組を進めており、より一層、教員が本来担うべき業務に専念できるようにするためには、学校の組織運営体制のさらなる強化が必要である。

▽副校長、主幹教諭や小学校における専科指導教員にかかる定数措置の拡充などを含めた新たな定数改善計画の早期策定(再掲)

▽部活動指導員やスクール・サポート・スタッフなどの専門スタッフの配置にかかる財源措置の拡充

▽校務支援システム整備のための財源措置の拡充(再掲)

▽宿泊を伴う修学旅行等の引率業務に対応できる1年単位の変形労働時間制の導入

▽教員の勤務時間を客観的に把握し集計するシステムの構築にかかる財源措置

▽大会等の統廃合などに関する全国レベルの中央競技団体などへの要請

▼学校施設の耐震化等の整備促進

 本道では、耐震補強ができない老朽化した校舎など、安全面での不安や機能面が不十分な学校施設が存在しており、これらの整備が喫緊の課題となっていることから、児童生徒等の安全な学習・生活環境の確保に向けた施策を確実に実施する必要がある。

 特に、本道の私立学校の耐震化が全国的にも低水準にとどまっていることを踏まえ、必要な財源を確保するとともに、学校法人の経営状況などにも配慮し、助成制度を拡充するなど、教育環境の整備を早急に進める必要がある。

〈私立学校における施設整備〉

▽私立学校施設の耐震化の促進に向けた助成制度の拡充(公立学校における施設整備)

▽自治体が計画しているすべての事業(学校体育施設の整備事業を含む)の実施に必要な財源の確保や補助単価の引き上げ

▽老朽化対策や児童生徒の生命・安全にかかわる学校施設の非構造部材を含む耐震化や津波対策等に関する補助率の嵩上げ措置の時限延長・補助要件緩和や地方財政措置の充実・継続

▽高校や特別支援学校における多様な教育内容に対応した施設・設備の整備を進めるため、補助率の嵩上げや地方交付税による財源措置などの支援の充実

◆一般要望事項

▼スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の充実

 本道では、理科・数学教育の重点校を指定して実践研究に取り組んでおり、次代を担う科学技術系などの人材育成や国際社会で活躍できる優秀な人材育成を一層進めるためには、先駆的な研究開発等を行うSSHの道内における指定校数を拡充するとともに、その支援を充実させる必要がある。

 特に、理数教育の充実については、外部指導者の導入や設備の整備などを一層充実させる必要がある。

▽高校の特色ある取組を支援するため、制度の充実

・スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の一層の充実

▽新学習指導要領の円滑な実施を図るための制度の充実

・観察実験アシスタントの充実

・理科の観察・実験指導などの指導力の向上を図る事業の実施

・理科教育等設備にかかる施策の充実

▼日本語DP(ディプロマ・プログラム)による国際バカロレア導入に向けた施策の充実

 本道では、グローバル人材の育成に向けた取組の一環として、国際バカロレア日本語DPの導入にかかる検討を行っており、より具体的に検討を進めるためには、国による調査研究事業の創設など施策の充実が必要である。

 また、国際バカロレアの認定校となるためには、多額の経費が必要となることから、申請などにかかる財政的な支援の拡充が必要である。

▽日本語DPによる国際バカロレアの導入に向けた施策の充実

・日本語DPによる国際バカロレアの導入に向けた調査研究事業の創設

・日本語DPによる国際バカロレアの研究を行うための財政的な支援

・候補校の申請、承認、施設設備の整備などにかかる経費の助成制度の創設

・国際バカロレアに対応可能な教員養成の充実

・国際バカロレアの科目の履修および単位の修得をもって、履修および単位の修得をしたものとみなすことができる科目の増加

▽日本語DPによる国際バカロレア認定校に対する支援の充実

・国際バカロレア認定後の経常的な費用にかかる助成制度の創設

・国内大学入試における国際バカロレア資格の活用促進

▼外国青年招致事業の充実

 本道では、これまで多くの外国語指導助手(ALT)を招致し、学校における英語の授業や放課後の活動等に活用するとともに、地域住民等との交流などを通して、学校や地域における外国語教育および国際理解教育の充実を図っており、国際化、グローバル化が進展する中、国際社会に貢献できる人材育成をより一層進めていくためには、外国語指導助手の配置や効果的な活用等に関する施策の充実が必要である。

▽外国青年招致事業(JETプログラム)の継続および拡充

▼障がいのある幼児児童生徒への特別支援教育の推進

 本道においては、障がいのある幼児児童生徒への教育の充実に向け、各種施策に取り組んでいるが、広域性や地理的条件などによって、特別支援学校の通学にかかるスクールバス運行経費の増加や、特別支援教育支援員の不足、看護師配置にかかる制度の整備、へき地校に勤務する教員の研修機会の不足などの課題があることから、個別の教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うための特別支援教育の施策の一層の充実が必要である。

▽特別支援教育総合推進事業の拡充

▽高校の特別支援教育充実(各学校において、いわゆる通級による指導を十分に行うことのできる加配措置、特別支援教育に関する教員の専門性の向上)

▽医療的ケアを行う看護師の学校教育法等への位置付け、配置基準の制度の新設および配置のための財源措置の拡充

▽特別支援教育支援員の配置に対する財源措置の充実やスクールバス運行経費にかかる財源措置の改善・拡充および特別支援教育就学奨励費負担金等の制度充実

▼教員研修の充実

 本道では、北海道における教員育成指標および北海道教職員研修計画を策定し、研修の充実に取り組んでいるが、本道の様々な教育課題に対応する教員の資質・能力の育成・向上のため、研修の充実に向けた施策の充実が必要である。

▽教員の資質・能力の育成・向上のため、教員研修の充実に向けた施策の一層の充実

▽英語教育にかかる教員の指導力・英語力の向上を図る研修の充実(再掲)

▽道徳教育における指導方法の改善にかかる教員研修の充実

▽ICTを活用した分かる授業づくりのための指導体制の充実(再掲)

▽初任段階教員研修における北方領土に関する学習や、アイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習の研修の充実

▽養護教諭・栄養教諭にかかる研修の充実

▼道徳教育の充実

 小・中学校において「特別の教科 道徳」が全面実施となり、本道では、道徳科を要とした学校の教育活動全体を通じた道徳教育の改善・充実にかかる各種施策に取り組んでおり、児童生徒の発達の段階に応じた道徳性を養うためには、道徳教育における計画的・発展的な指導の改善に向けた施策の一層の充実が必要である。

▽道徳教育における計画的・発展的な指導を実現するための条件整備

・指導方法の改善に向けた教員研修の充実のための財源措置(再掲)

・児童生徒の発達の段階に応じた独自教材の作成に向けた支援

▼北方領土やアイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習の充実

 本道では、地理的、歴史的、社会的な状況から、わが国固有の領土である北方領土やアイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習の充実に取り組んでおり、児童生徒が北方領土やアイヌの人たちの歴史・文化等に対する関心を高め、正しい認識を深めるためには、学習指導要領等への記述の充実を図るとともに、教員研修の項目に取り上げるなど施策の充実が必要である。

▽学習指導要領および解説への北方領土やアイヌの人たちの歴史・文化等に関する記述の充実

▽初任段階教員研修における北方領土に関する学習や、アイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習の研修の充実(再掲)

▼いじめ・不登校などの児童生徒の生徒指導上の諸課題に対応する施策の充実

 本道では、いじめ・不登校など多様化・複雑化する児童生徒の生徒指導上の諸課題への対応に向け、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置などの各種施策に取り組んでいるが、依然として、いじめに苦しむ児童生徒がおり、不登校児童生徒数が増加傾向にあるなど、憂慮すべき状況が続いている。学校の教育相談体制や地域における支援体制を一層充実させる必要がある。

▽スクールカウンセラー等活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業の充実および児童生徒支援加配の拡充

▽いじめ対策・不登校支援等推進事業の拡充

▽教育支援センター(適応指導教室)の設置・運営にかかる補助制度(委託事業も含む)の創設や教員の派遣制度の確立などによる支援体制の強化

▽24時間子供SOSダイヤルの電話相談員の人件費・研修に要する経費および通信費の全額国費による財源措置

▽SNSを活用した相談体制の一元化

▼児童生徒のインターネット利用にかかる施策の推進

 本道では、児童生徒が正しく安全にインターネットを利用できる環境整備に向け、各種施策に取り組んでいるが、児童生徒による犯罪被害につながる恐れのある個人情報の公開や他の児童生徒の誹謗中傷などのネット上のいじめ、児童生徒の福祉犯被害やネット依存が依然として憂慮すべき状況である。インターネット利用にかかる施策の推進が必要である。

▽SNSにおけるグループトークなど、ネットパトロールのような従来の方法では監視できない個人間の閉鎖的な空間におけるトラブル防止対策の確立

▽青少年インターネット環境整備法によるフィルタリングサービスの提供義務の対象範囲の拡大

▽インターネットを通じて行われるいじめ問題などに対応するための学校ネットパトロール支援事業の充実

▼安全・安心な学校給食を提供するための施策の充実

 本道では、築30年以上経過している学校給食施設が54%を占めており、老朽化が進んでいることから、学校給食施設設備の整備・改善にかかる施策の充実が必要である。

 また、本道では、食育の充実のため、特別支援学校高等部にも栄養教諭を配置しているが、現状では国の財政支援がないことから、栄養教諭の配置に対する財源措置の充実が必要である。

▽学校給食施設設備の充実

▽学校給食用物資にかかる補助制度等の充実

▽学校給食の安全確保のための施策の充実

▽特別支援学校高等部の栄養教諭の給与費に対する財政措置の実施

▼北海道の地域性に配慮した教育条件の整備に対する支援の充実

 本道は、積雪寒冷な気象条件のもと、わが国の総面積の22%を占める広大な地域を有している。こうした地域性によって、通学の困難性を抱えている地域や高校がない市町村が多く、また、全国を上回るスピードで少子化が進行しているなど、教育条件の整備を図る上での困難を抱えていることから、本道の地域性に配慮した財源措置等の支援が必要である。

▽小・中学校のスクールバス購入費、遠距離通学費などに対する補助要件等の見直しや市町村のスクールバスの運行経費に対する財政措置の拡充

▽高校の遠距離通学者補助やスクールバスの運行に対する財源措置

▽医進類型を設定する高校に対する定数措置や財源措置の充実

▼就学および就職を支援する施策の充実

 本道の有効求人倍率は、平成31年2月現在、全国平均の1・54倍に対し、1・19倍となっているなど、依然として厳しい経済状況が続いており、新規学卒者への就職支援に対する施策の充実が必要である。

 高校等就学支援金制度などによって、保護者の負担軽減が一定程度図られているが、なお高校等への修学については大きな経済的負担があることから、経済的に厳しい状況にある児童生徒の支援が必要である。

▽奨学のための給付金制度の国による確実な財源確保と制度の改善・充実

▽介護福祉士修学資金等貸付制度の福祉系高校生徒への拡大

▽日本学生支援機構奨学金の貸付条件の緩和および給付型の奨学金の枠の拡大など制度の充実

▽要保護・準要保護児童生徒に対する就学援助にかかる施策の充実

▽新規学卒者に対する就職支援策の充実

▼高校等就学支援金制度等の改善充実

 本道では、高校における就学支援金制度の運用に当たり、保護者負担の軽減や教育の機会均等を図る観点から、単位制高校(定時制・通信制)に在学する生徒が就学支援金の上限単位を超過した場合には、その超過分の授業料を公立高校においては道が、私立高校においては保護者が負担しているが、就学支援金制度は国の施策であることから、すべて国において確実な財源措置を講ずる必要がある。

▽就学支援金に関する事務手続きのさらなる簡素化

▽支給月数や単位数の上限の引き上げなど就学支援金制度の充実

▽奨学のための給付金制度の国による確実な財源確保(再掲)

▽私立高校等の無償化の実現

▼センター試験等にかかる保護者負担の軽減等の条件整備

 広域分散型の地域特性を有する本道では、大学受験にかかる時間的・経済的な負担などの軽減が、受験者や保護者などにとって重要な問題であることから、これまで大学入試センター試験の試験会場がない地域においても、新規に会場を開設するなど、受験地の拡充が必要である。また、今後、高校生のための学びの基礎診断や大学入学共通テストで導入される予定の民間試験などの活用に当たっては、国において、教育の機会均等を保証するための条件整備が必要である。

▽大学入試センター試験の会場がない管内における試験会場の開設

▽高校生のための学びの基礎診断や大学入学共通テストにおける民間試験などの活用に当たっての条件整備

▼教員免許制度の見直し

 本道では、特別な支援を必要とする幼児児童生徒に対し、すべての教員が適切な指導や支援ができるよう各種施策を進めているが、広域性から小規模校が多く存在し、特別支援学校教諭免許状を有する教員が在籍しない学校も多いことなどから、特別支援教育に関する教員の専門性を向上させる必要がある。

▽教員免許取得のカリキュラムにおける特別支援教育に関する内容の充実

▽特別支援学校教諭免許状の取得や他の特別支援教育領域の追加を効率的に行えるような具体的支援策の検討

▽現行の免許管理システムについて、都道府県に新たな財政負担が生じることのないよう、必要な措置の検討

▼中核市等への人事権移譲の前提となる条件整備等の検討

 広域分散型の地域特性を有する本道では、教育の機会均等と全道的な教育水準の維持向上を図るため、教職員の人事交流や教職員構成の適正化などの取組を通して、地域格差の解消に努めている。

 今後、国において中核市等への人事権の移譲を検討する場合、その前提として、地域格差の拡大につながらないような制度設計とそのための条件整備を一体的に検討する必要がある。

▽採用も含めた広域的な人事を調整する仕組みの構築

▽任命権者と給与負担者の一致を前提とした権限移譲

▼私立高校等に対する施策および財源措置の充実ならびに施設・設備整備の促進

 少子化による生徒数の減少など私立高校等の経営環境は大変厳しいことから、私立高校等の教育条件の維持向上や経営の安定を図るとともに、修学上の経済的負担の軽減によって子育てしやすい環境が整備されるよう、私立高校等に対する施策および財源措置の充実が必要である。

▽私立高校等の経常費に対する財源措置の充実

▽私立高校生等への修学支援にかかる財源措置の充実

▽私立幼稚園等の特別支援教育に対する助成制度拡充

▽私立幼稚園教員の処遇改善に対する財源措置の充実

▽私立専修学校等に対する財源措置

▽私立高校等の施設・設備整備の促進に向けた助成制度の拡充

▼高等教育機関に対する財政支援の充実

 本道の大学は、それぞれの理念、目標や伝統のもと、次代を担う優れた人材の育成や学術の研究に取り組むとともに、産業経済の活性化や文化の振興などを通じて地域社会に貢献しており、大学が本道の発展に果たす役割は大変重要であることから、教育研究分野に一層の厚みと広がりをもたせ、産学官連携などによって地域社会の発展に貢献できるよう、大学の拡充整備や教育研究活動に対する財政支援の充実が必要である。

▽大学の拡充整備および教育研究活動に対する財政支援の充実

▼幼児教育・高等教育の無償化にかかる制度の改善および財源措置

 すべての子どもが良質で適切な教育を受けるとともに、保護者の経済的負担が軽減されるよう、幼児教育の無償化にかかる制度の改善等が必要である。

 また、真に支援が必要な子どもたちに対する高等教育の無償化の実施に当たっては、地方に多大な事務負担および財政負担が生じるため、地方負担分も含め所要の財源の確保および全国統一的な指針の早期提示が必要である。

▽幼児教育の無償化にかかる制度の改善・財源措置

▽高等教育の無償化にかかる財源措置および全国統一的な指針の早期提示

▼その他教育施策の充実

 本道における教育の一層の推進を図るため、つぎの施策の充実が必要である。

▽義務教育諸学校の児童生徒に対する教科用図書の無償給与制度の堅持

▽放送受信料免除措置の継続

▽市町村教委における指導主事等の配置への支援

▽主権者教育の推進

▽教職員の再任用に必要な財源措置の充実

▽在外教育施設派遣教員委託費の拡充

▽通学路等における子どもの安全確保を図る対策推進

▽公立夜間中学設置の支援

▽子どもの読書活動の充実

▽コミュニティ・スクールの導入促進や取組の充実にかかる教職員の加配措置や財源措置の継続および拡充

▽地域学校協働活動に対する財源措置の継続と拡充

▽放課後子供教室の地方負担の軽減

▽社会教育施設の耐震化等にかかる財政措置の強化

▽アイヌ民俗文化財の保存と伝承・活用の推進

▽子どもの文化芸術体験機会の充実

▽文化遺産の保存・活用の推進

(道・道教委 2019-07-18付)

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