道特別支援学校長会が冬季研 ICT積極的に活用を 充実・発展に向け木村会長
(関係団体 2020-01-08付)

道特長冬季研木村会長あいさつ
木村浩起会長

 道特別支援学校長会(木村浩紀会長)は6日から2日間、札幌市内のかでる2・7で令和元年度冬季研究協議会を開いた。全道から会員約60人が参加。開会あいさつで木村会長は、今後、ICTを積極的に活用し、北海道における特別支援教育をさらに充実・発展させる取組を展開していく考えを示した。

 初日の開会式では、木村会長があいさつ。

 閣議決定した国における令和2年度の予算にふれ、「ICT関係では、遠隔教育システムを含む高速・大容量の通信ネットワーク整備を推進するGIGAスクール構想の実現に向けた各種事業を展開することになった」と報告。「今後、ICTを積極的に活用し、実効性ある様々な連携をしながら北海道における特別支援教育をさらに発展・充実させる取組を展開する」と述べた。

 来賓あいさつとして、道立特別支援教育センターの小原直哉所長が登壇。「特別支援教育は、新たな時代に入っていく」とし、良さを引き継ぎつつ新たな取組に挑戦する大切さを強調。「本道における特別支援教育の充実・発展のために共に取り組んでいきたい」と呼びかけた。

 このあと、研究協議I(部会別研究協議)、研究協議Ⅱ(障がい種別研究協議)、研究協議Ⅲ(全体会・研究部会報告)を実施。また、小原所長が情報提供したほか、道教委の上林宏文教育指導監が「学校経営の改善に向けて」をテーマに講話を行った。

 2日目は研究協議として、太田・遠藤法律事務所の太田三夫弁護士が「教育現場におけるトラブルとその対応について」と題し講義。研究協議Ⅴでは、次年度の研究にかかる体制等や次年度施策提言について協議したほか、支部長会議の報告などを行った。

 木村会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 年末に、令和2年度の予算案が閣議決定された。文部科学関係では、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築として、小学校英語専科指導等の加配やスクール・サポート・スタッフの配置増、特別支援教育では、通常の学級や通級による指導にかかわる経験の浅い教員の専門性の向上についての支援体制等構築研究事業、難聴児の早期支援に向けた教育相談を構築する連携推進等の新規事業などが盛り込まれた。

 ICT関係では、遠隔教育システムを含む高速・大容量の通信ネットワーク整備を推進するGIGAスクール構想の実現に向けた各種事業を展開することとなった。

 ICTについては、北海道においても、知事が主催する道総合教育会議で、道総合教育大綱の見直しを検討する中、遠隔教育システムを含むICTの積極的な活用が、広域な北海道には重要として意見が出され、道教委の佐藤嘉大教育長は、道教委の施策の柱として位置付けている。本会においても重要な柱として考えている。

 3月に遠隔テレビシステムが導入された盲学校4校の取組が全国的に取り上げられ、高い評価を得た。このたび、肢体不自由の取組も道教委に評価され、遠隔テレビシステムの導入に向けて動き出している。

 ただし、本会としては、障がい種だけのこととはとらえていない。活用の仕方も様々なので、各地域、希望する学校が活用できる方法を検討していきたい。

 私は、中央教育審議会特別部会「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」に参加している。この会議は、社会や環境の変化に伴い、特別支援教育を必要とする子どもたちの数が増える中、適切な指導、必要な支援の重要性が高まっており、一人ひとりのニーズに対応した新しい時代の特別支援教育の在り方や、その充実のための方策等について検討することを趣旨に開かれている。

 委員は、各障がい種の代表や大学教授、弁護士など27人で構成されており、9月から月1回ペースで開催されている。私は、全国盲学校長会の代表として参加している。

 主な会議の内容について、1回目は新しい時代の特別支援教育の在り方について、それぞれの立場から10年後以降を想定した特別支援教育のビジョンや新たな課題について協議した。

 2回目は、「特別支援教育を担う教員の専門性の整理と養成の在り方について」がテーマで、免許制度や教員の専門性について協議した。

 3回目は、「障害のある子どもたちへの指導におけるICTの活用について」がテーマで、ICTの活用や可能性について、子どもたちの活用だけでなく、教職員の負担軽減や校務改善の視点も含めて協議した。

 4回目は、「就労支援と障害者の生涯学習について」がテーマで、社会の変化に対応した働き方改革を念頭に置いた教育の在り方や機関同士のつながり、障がい者雇用の啓発に関する課題、障がいのある子どもの就労についての課題などを協議した。

 私は4回の会議で、ICTを活用した北海道の取組を紹介し、子どもたちが夢や希望をもって取り組める体制づくりや地域支援を加味した教職員定数の在り方、北海道の事情を踏まえた教育実習の在り方、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律など、文部科学省と厚生労働省が所管する法律の維持などを伝えている。

 時代は変化し、これからのSociety5・0時代に向けて、今まででは考えられないような変化が訪れようとしている。

 この難しい時代を乗り越えるため、実効性ある連携が必要で、確実な成果を出していくことも重要。

 北海道の教育、特別支援教育をより良くするため、各地域の発展・充実が必要。そのため、各地域で各学校が中心となって活躍していくことが求められる。

 夢や理想を追い求めるだけでは学校経営はできない。

 各学校が子どもたちのために落ち着いて取り組める体制ができるように検討するとともに、ICTを積極的に活用し、実効性ある様々な連携をしながら、広域な北海道の特別支援教育をさらに発展・充実させる取組を展開していきたい。

(関係団体 2020-01-08付)

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