札幌市教委がアイヌの指導資料　民具活用の実践例など　作成は平成２０年以来　各校に配布へ

（市町村 2020-03-31付）

アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導資料

　札幌市教委は、『アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導資料～第６集』を発行した。アイヌ民族の歴史・文化などに関して、指導のために必要な基本事項をまとめたもの。アイヌ民具の活用など授業実践例のほか、体験的活動などを行う際の参考資料なども掲載している。新年度中に各校に配布する予定。

　市教委の本年度の研究開発事業「アイヌ民族に関する教育の充実」では、研究テーマ「アイヌ民族の歴史や文化等に関する教材開発や指導方法の工夫改善等についての実践的研究」のもと、研究成果の普及・啓発を図る指導資料を作成。指導資料の作成は、平成２０年３月の第５集以来となった。

　資料は、①アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導を行うに当たって②アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導実践例③アイヌ民族の歴史・文化等に関する体験的活動と関連施設等の活用④札幌市民族教育に関する研修会等について⑤北海道アイヌ協会等の活動について―の５章で構成されている。

　①では、人間尊重の教育と国際理解教育の観点からの指導についてのほか、アイヌ民族の文化や政治・社会の歴史などについて記載している。

　②では、小学校、中学校、高校の発達段階に応じた指導実践例を掲載。社会科や図画工作科、総合的な学習の時間のほか、「（アイヌ民具）のトンコリに込めたアイヌ民族の思いを理解して、演奏しよう」といった音楽科の指導案なども紹介している。

　③では、札幌市アイヌ文化交流センター「サッポロピリカコタン」の展示資料といった施設概要のほか、小中高校生団体体験プログラムや出前体験プログラムについて紹介。４月２４日に白老町に開設予定の民族共生象徴空間「ウポポイ」の概要も記している。

　④では、これまでの研修会の歩みや成果などを紹介。民族教育の推進と充実に資するため、社会科や総合的な学習の時間などのゲストティーチャーとしてアイヌ教育相談員の学校派遣について説明している。

　また、体験的な学習を取り入れた民族教育の推進を支援するために、アイヌ民具の貸し出しについても紹介。ク（昔のアイヌ民族の弓矢と矢）やムックリ（アイヌ民族の口琴）のほか、新年度からはトンコリ（アイヌ民族の五弦琴）の貸し出しが可能となることも記載している。

　⑤では、道アイヌ協会や、札幌アイヌ協会の活動などについて紹介している。

(市町村 2020-03-31付)