チーム道小で難局乗り越え 神谷敦 新会長(関係団体 2020-05-15付)
道小学校長会・神谷敦会長
道小学校長会の神谷敦会長は就任に当たり、新型コロナウイルス感染症への対応とともに、子どもたちがこれからの社会を生きる力を身に付ける教育活動の充実を呼びかけた。「校長一人ひとりの危機管理能力や学校組織運営の能力が試されている」とし、「チーム道小として、力を合わせこの難局を乗り越えていきたい」と強調。第63回道小学校長会教育研究オホーツク・北見大会については書面開催とし、内容の充実に努めていく考えを表明した。
概要はつぎのとおり。
道小学校長会は、昭和32年の発足から63年目を迎えた伝統ある組織である。これまで、北海道の教育が幾多の困難に直面する中、「正論を以って正道を歩む」という理念のもと、校長の職能向上と北海道教育の振興・発展を図ることを目的として、長きにわたって活動してきた。今後も、このような伝統を引き継ぎ、全道991人の会員の皆さんと力を合わせながら努力を積み重ねていきたいと考えている。
本年度も「北海道教育の質の向上をめざし、教育課題に正対して取り組む校長会」を目標に、諸活動の一層の充実を図っていきたい。校長会の使命は、各学校の「教育の質の向上」にあると言える。
校長の明確なビジョンと鋭い時代感覚のもと、創意ある教育活動と学校組織の活性化を図り、子どもの成長の姿で教育活動全体を評価・改善していく粘り強い取組が必要である。
そのためにも、校長が教育の質の向上という観点を常にもち、教育改革や本道の教育課題に正対できる学校経営を実践していきたい。
そして、各学校が教育改革や教育課題を踏まえた創意ある教育活動が推進できるよう、学校現場の視点での実践交流や意見表明、実効性のある要望活動を行っていきたい。
本来であれば、4月から全面実施となった新学習指導要領に基づく教育活動が全道で展開され、それぞれの学校では、校長の経営方針にのっとった具体的で特色ある活動が進んでいるが、前年度末からの新型コロナウイルスの影響で、そうした状況にはいまだ至っていないのが現状である。
今、私たち校長が成すべきことは、目の前にいる自校の子どもたちや教職員の命を守り、安全で安心な生活を過ごしていくための取組を、それぞれの限られた条件の中でいかに進めていくかの一点に尽きる。
先行きが不透明で、いつ収束に向かうかといった見通しがもてない状態だが、見方を変えると、校長一人ひとりの危機管理能力や学校組織運営の能力が試されているときとも言える。
子どもたちの輝く笑顔と喜びのために、校長としての明確なビジョンを示し、その職務を果たしていかなくてはならない。
一人ひとりの校長が自らの知恵と情報を活用し、この状況に適切に対応していくことが大切である。
私たち校長は、道小学校長会という同じ目的をもつ組織の一員である。職能向上、北海道教育の振興・発展を目指す組織の仲間と知恵を出し合い、情報を交流し合い、「チーム道小」として、力を合わせこの難局を乗り越えていきたい。
私たちは、新型コロナウイルス感染症への対応だけではなく、子どもたちがこれからの社会を生き抜いていくための力を身に付ける教育活動も充実していかなくてはならない。また、組織運営においても、検討していかなくてはならない課題もある。
校長会としての活動の質を維持・発展することを大前提としながら、財政基盤の安定化に向けた組織の在り方、事業内容の見直しなどへの継続的な取組を進めていく。
さらに、学校現場では、働き方改革に向けた教員の長時間勤務の解消に向けた取組の必要性、教員採用選考検査の倍率低下や人材確保など、正対して取り組んでいかなければならない課題が山積している。
そのような中、本年度は、新型コロナウイルスの感染予防という観点から、第63回道小学校長会教育研究オホーツク・北見大会を中止(書面開催)にするという苦渋の選択をした。
教育研究大会は、全道各地から多くの会員が一堂に会して、研究テーマに沿った分科会での討議や、膝を交えて各地区の実情を交流する中で、互いに学校経営における視野を広めながら、校長の職能向上と本道教育の質の向上を目指すことができる重要な活動である。
道小学校長会の根幹とも言えるそのような貴重な研究大会を実現できなかったことは、大変残念なことである。
また、大会実施に向けて長い時間をかけて準備をしていただいたオホーツク管内校長会の皆さんならびに各地区で研究発表に向けて取り組んでいただいた校長会の皆さんのこれまでの苦労や実行委員会の皆さんの落胆を思うと、大会会長として、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
現在、研修部が中心になり、実行委員会の皆さんや発表者、趣旨説明者の皆さんと連携を密に取りながら、大会要項の作成と各分科会の実践報告を形あるものにまとめるために計画を進めている。
中止になったことへの皆さんの落胆を胸に、今後も書面開催の内容充実に努めていく。会員の皆さんの理解と協力を衷心よりお願い申し上げる。
こうしたことも踏まえながら、重点を3点に絞って示す。
▼授業改善の日常化
今回の学習指導要領では、社会構造が大きく変化する予測不能な社会において、主体性をもって生き、自ら変化を創り出す力をもった子を育てることが求められている。すなわち、子どもたちが成人するころの社会には、変化に対応するだけでなく、変化する社会を自ら創っていく人間が必要とされているということである。
こうした子どもたちを育成するために、私たちの学校現場では、主体的・対話的で深い学びが生まれる授業改善を日常的により一層進めていかなくてはならない。
主体的・対話的で深い学びとは、具体的にどのような授業なのかを私たち校長がしっかりと見極め、明確な理論に基づいてリーダーシップを発揮し、それぞれの学校における授業改善の日常化に向けた取組を推進していくことが重要である。そのためにも私たち校長は自らが学び続け、研鑚に励む職能団体であることを大切にしていきたい。
▼学校における働き方改革と業務改善
いよいよ本年度、改正給特法の施行の年となり、学校現場での客観的な勤務時間の把握などの具体的な取組を進めていく必要が生じている。月の残業時間45時間以内、年間360時間以内を守らなくてはならない。そのためには、今まで以上に業務の精選に努め、ICT機器などの積極的活用や、専科教育の導入といった校内体制の確立も重要となる。
今回の新型コロナウイルスの影響で、文部科学省からはGIGAスクール構想が前倒しで加速度的に進むことが発表された。こうしたICT環境の積極的活用によって業務改善につなげることも十分に考えられる。
一方、若手教員の育成や期限付教員の確保、採用試験における小学校教員希望者の低倍率といった現場が直面している課題も数多くある。
私たち校長にとって、これらの課題にも正対して取り組み、業務改善を進め、魅力ある学校づくりを進めることは急務である。
さらに、各地区校長会と連携して、地域間格差や人的配置の問題が解消されるようにエビデンスに基づいた提案や要望を行いたい。
▼組織および運営
前年度の企画研修委員会では「道小の組織力の充実・発展を目指すための組織改革」「さらなる会費の値上げをしないための創意工夫」を柱に検討を進め、令和3年の道小教育研究石狩大会からの大会の開催方法や本年度の支出の見直しを検討した。
残念ながら、本年度の道小オホーツク・北見大会が中止(書面開催)となり、見直しを図った内容が実際には反映されない部分もあるが、今後の会員数減少や全連小の会費値上げなどを見据え、本年度も企画研修委員会を立ち上げ、検討していく。
特に本年度は、前年度からの引き継ぎ事項である法制研究集録、学校経営の資料の在り方に関して、道中学校長会とも連携を図り、その内容の精査や作成方法などの検証を行っていく所存である。
本年度も前年度同様5回ほどの企画研修委員会を開催する予定である。会員の皆さんの理解と支援をお願いする。
全国一広いこの北海道に本年度は会員991人の仲間がいる。地域特性や自然環境が大きく異なり、また各地区の抱える実情も様々な中で20の校長会が、北海道の子どもたちを育てようという共通の思いで、日々の活動を進めていることと思う。
ぜひ、本年度も、北海道の子どもたちを、私たちみんなの手で育てるという共通の思いで、本会の活動を進めていきたい。
そのために、各地区校長会が道小学校長会という組織を通して今後も大同団結していくことが大切であり、それが、全国連合小学校長会の活動充実にもつながっていくと確信している。
これからも、この道小学校長会の組織を活性化させるとともに、道教委、道中学校長会、道PTA連合会、民間教育団体等の教育関係諸団体などとも連携を図りながら、「未来を見据え、チーム北海道として進む道小」として北海道教育の質の向上に努め、2年度の第一歩を踏み出していきたい。
(関係団体 2020-05-15付)
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