道小 校長退職者動向調査(札幌市除く) 再就職58% 再任用19% 定年延長希望 22%に増加(関係団体 2020-08-21付)
道小学校長会(神谷敦会長)は、令和2年度校長退職者の動向等に関するアンケート調査結果をまとめた。再就職が前年度比8ポイント増の58%となった一方、再任用は前年度までの上昇傾向から減少に転じ19%。再就職の勤務内容は教育委員会関係・社会教育関連施設の仕事が合わせて72%と高い。退職時の不安解消のため、定年延長制度を求める声がほぼ倍増し22%となった。
アンケートは、札幌市を除く道内の公立小学校のうち、ことし3月31日に退職した147人を対象に実施。82・3%に当たる121人から回答を得た。
【調査結果】
▼退職前の就職の計画や希望
「再就職」の希望は11・3ポイント増加し53・2%。3年目となる「役付再任用」は0・6ポイント増加し3・2%だった。
▼現在の状況
これまで上昇傾向が続いた「再任用で勤務中」が12・2ポイント減の19・2%と減少に転じた。「再就職で勤務中」は7・5ポイント増の58・3%。「再任用や再就職は考えていない」が17・5%で過去最高。
▼役付再任用制度希望
希望しない割合は5・0ポイント増の93・9%。道小は理由として「精神的に疲労が大きい」「住んでいる管内に制度がない」「後進に道を譲る」「フルタイムでの勤務は希望しない」などが多いとしている。
▼再任用の勤務内容
「教科専科やTT(チーム・ティーチング)」との回答が17・3ポイント減の41・7%に。「学級担任」は14・7ポイント増の25・0%と増加した。
▼再任用の勤務地
「退職時の市町村」が10・4ポイント減の68・8%。「退職時の市町村以外(管内)」は6・7ポイント増の23・4%となった。
▼再就職の勤務内容
「教育委員会関係(アドバイザー・補導員など)」が4・5ポイント増の52・3%とこれまでと同様に高い。「社会教育関連施設(公民館・児童館など)」は3・6ポイント増の20・0%で、上昇傾向にある。
▼再就職の週当たり時間数
「30時間以内」が48・4%と約半数を占め、「37時間以上」が34・4%、「36時間以内」が15・6%と続く。道小はフルタイムに近い形での勤務が多いと推察している。
▼再就職の給与
月額13万円から20万円以内が全体の7割を占めた。26万円以上との回答も2・3ポイント増の17・2%と上昇傾向にある。
▼再任用・再就職に関する満足度
「満足している」「普通」合わせて86・7%と肯定的な回答が大半を占めた。一方で、「不満と感じている」との回答は6・2ポイント増の13・3%となった。
▼退職時の不安解消のために必要なこと(複数回答)
「再就職に関する情報提供」が40・1%、「年金支給までの健康保険の延長」が35・9%と高い。前年度との比較では「定年延長制度」の希望が9・8ポイント増の21・8%となった。
【考察】
役付再任用制度が導入されてから3回目の調査となったが、今回は3・2%(元年度2・6%、平成30年度5・0%)という結果となった。希望しない理由は「管内に制度がない」など制度的な問題のほか、「精神的な疲労」「責任の重さ」など、職責の重さや体力面や精神面の不安に言及する声も聞かれており、校長職に対する重圧を感じつつ日々の職務に当たっていることを反映していると考えることができる。
また、「後進に道を譲る」との声も多く聞かれ、学校数が減少する中、教頭の校長採用枠の確保を重視していることもうかがえる。さらに、「生活の安定」「趣味やレジャーの満喫」「介護の必要性」など、退職後のライフステージを意識した回答も多かった。
勤務の現状については、再就職での勤務が約6割に達しており、これまで上昇傾向だった再任用での勤務が前年度より大きく減少した。「退職しても子どもと接することができる」など、これまでの経験を生かせるという声がある一方、「現校長の学校経営上の支障とならないか」「定数内での再任用となると新規採用枠を狭くする」「学級をもてるのか」「指導できるのか」などの声も上がっており、校長が現状の再任用制度の中では、管理職での経験を十分生かすことが難しいと感じている回答もみられる。「新採用枠を圧迫することになる」ということから、定数外(加配等)での再任用が望まれる。
再就職では、教育委員会関係と社会教育関連施設の仕事が合わせて7割を超えており、教育に携わっていたこれまでの経験を少なからず生かすことのできる職業に就く傾向は、今後も続くことが想定される。
給与については、「年金受給までの生活収入を得ること」も再任用・再就職する理由となっているが、給付の支給額が満足するものではないとの声が上がっている。退職後の満足度について「満足・普通」と感じる割合が8割を超える一方、「不満」と感じる割合が増加していることの理由がこの点にあるのではないかと推察される。
「再就職に関する情報提供」「年金支給までの健康保険制度の充実」「定年延長制度」などが退職後の不安解消のために必要なことという回答も寄せられていることから、引き続き、役付再任用制度、定年延長制度などの動向、教職員定数における基礎定数と加配定数の配分など、今後の社会情勢と照らし合わせながら、調査結果の推移をみていく必要がある。
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(関係団体 2020-08-21付)
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