文科省 3年度概算要求主要事項⑧ 自立し活躍できる人材を 大学共通テスト CBT検討
(国 2020-10-27付)

◆高等教育局

【大学入学者選抜における共通テスト改革推進事業】=19億円+事項要求

 大学入学者選抜における共通テストについて、新学習指導要領に対応した試験問題や、CBT方式を検討するための調査研究等を実施するとともに、思考力・判断力・表現力を一層重視した作問を行う。また、受験生が安心して試験に挑めるよう、衛生管理体制を構築する。

▽令和6年度からの新学習指導要領に対応した試験問題の調査研究

▽CBT問題作成等を行うためのアプリケーションや出題形式の研究開発等

▽大学入学共通テストにおける感染拡大防止策(追試の規模拡大、消毒用アルコールの準備等)

▽思考力・判断力・表現力を重視した共通テストの実施(作問体制の充実、問題冊子ページ数の増、障がい者、離島・へき地等への配慮等)

【高等教育の修学支援の確実な実施】=事項要求

 大学等における修学の支援に関する法律に基づき、少子化に対処するため、低所得世帯であっても社会で自立し活躍できる人材を育成する大学等において修学できるよう高等教育の修学支援(授業料等減免・給付型奨学金)を確実に実施する。

 また、本事業と一体的な無利子奨学金事業についても、意欲のある学生等が経済的理由によって進学を断念することがないよう、貸与基準を満たす希望者全員に対する貸与を確実に実施する。

▼高等教育の修学支援新制度(授業料等減免・給付型奨学金)=事項要求

▽対象の学校種=大学・短期大学・高等専門学校・専門学校

▽対象の学生=住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生等(準ずる世帯の学生等には3分の2または3分の1を支援)

▽授業料等減免(国等が各学校に交付)

 各大学等が、以下の上限額まで授業料等の減免を実施(授業料等減免の上限額・年額、住民税非課税世帯)。

・国公立大学=入学金約28万円、授業料約54万円

・私立大学=入学金約26万円、授業料約70万円

・国公立短期大学=入学金約17万円、授業料約39万円

・私立短期大学=入学金約25万円、授業料約62万円

・国公立高等専門学校=入学金約8万円、授業料約23万円

・私立高等専門学校=入学金約13万円、授業料約70万円

・国公立専門学校=入学金約7万円、授業料約17万円

・私立専門学校=入学金約16万円、授業料約59万円

▽給付型奨学金(日本学生支援機構が各学生等に支給)

 学業に専念するため、必要な学生生活費を賄えるよう措置(給付型奨学金の給付額・年額、住民税非課税世帯)。

・国公立大学・短期大学・専門学校=自宅生約35万円、自宅外生約80万円

・国公立高等専門学校=自宅生約21万円、自宅外生約41万円

・私立大学・短期大学・専門学校=自宅生約46万円、自宅外生約91万円

・私立高等専門学校=自宅生約32万円、自宅外生約52万円

【無利子奨学金の貸与基準を満たす希望者全員に対する貸与の確実な実施】=事項要求

▼無利子奨学金

▽貸与月額=学生等が選択(私立大学自宅通学の場合、2万円、3万円、4万円、5万4000円)

▽貸与基準

・学力=高校評定平均値3・5以上(予約採用時)など。住民税非課税世帯の学生等は成績基準を実質的に撤廃

・家計=私大自宅・給与所得・4人世帯の場合、年収804万円以下

▽返還期間=卒業後20年以内。所得連動返還を選択した場合は、卒業後の所得に応じて変動

▽返還利率=無利子

▼有利子奨学金

▽募集人員=76万6000人

▽事業費=6841億円

▽貸与月額=学生等が選択(大学等の場合、2~12万円の1万円単位)

▽貸与基準

・学力=平均以上の成績、特定の分野において特に優秀な能力を有する、学修意欲がある

・家計=私大自宅・給与所得・4人世帯の場合、年収1147万円以下

▽返還期間=卒業後20年以内(元利均等返還)

▽返還利率=上限3%(在学中は無利子)。令和2年3月貸与終了者は利率見直し0・002%、利率固定0・07%

◆高等教育局私学部

【私立高校等経常費助成費等補助】=1025億円

 私立高校等の教育条件の維持向上や学校経営の健全性の向上等を図るとともに、各私立高校等の特色ある取組を支援するため、都道府県による経常費助成等に対して補助を行う。

▼私立高校等経常費助成費補助

▽一般補助=859億円

 都道府県が、私立の高校、中学校、小学校および幼稚園等の教育にかかる経常的経費について助成する場合、国から都道府県に対して助成額の一部を補助する。

▽特別補助=137億円

①幼稚園等特別支援教育経費=65億円

 都道府県が、特別な支援が必要な幼児が2人以上就園している私立の幼稚園等に特別な助成を行う場合、国が都道府県に対して、その助成額の一部を補助。

②教育改革推進特別経費=70億円

 都道府県が、私立学校の特色ある取組等に助成を行う場合、国が都道府県に対してその助成額の一部を補助。

・教育の質の向上を図る学校支援経費(新型コロナウイルス感染症に対応した追加的人材の配置等)=28億円

・子育て支援推進経費(預かり保育推進事業、幼稚園の子育て支援活動の推進)=42億円

③過疎高校特別経費=2億円

 都道府県が、過疎地域に所在する私立高校の経常的経費に助成を行う場合、国が都道府県に対して、その助成額の一部を補助。

④授業料減免事業等支援特別経費=1億円

 私立の高校等が、家計急変等による経済的理由から授業料の納付が困難となった生徒に対し授業料減免措置を行い、都道府県がその減免額に助成を行う場合、国が都道府県に対してその助成額の一部を補助する。

※事項要求=これらのほか、新型コロナウイルス感染症の影響によって家計急変となった生徒に対する授業料減免支援や少人数によるきめ細かな指導体制への支援を実施

▼私立高校等経常費補助

▽特定教育方法支援事業=29億円

 特別支援学校等に対して、国がその教育の推進に必要な経費の一部を補助する。

【私立学校施設・設備の整備の推進】=349億円+事項要求

▼耐震化等の促進=47億円

 学校施設の耐震化完了に向けた校舎等の耐震改築(建替)事業および耐震補強事業、そのほか防災機能強化をさらに促進するための非構造部材の落下防止対策等の整備を重点的に支援。

 2年度までとなっている耐震改築への補助制度を2年延長。

▼教育・研究環境の整備=302億円

 感染症対策を含む安全・安心の確保のための施設等の整備および各学校の個性・特色を生かした教育研究の質の向上のための装置・設備の高機能化等を支援。

▽感染症対策を含む安全・安心な生活空間および学修機会確保に必要な基盤的施設等の環境改善整備を支援(私立学校施設環境改善整備184億円)

▽私立学校の個性・特色を生かした教育研究の実践のため、教育研究基盤となる設備・装置の整備を支援(私立大学等教育研究装置・設備83億円)

▽すべての子どもたちの学びの保障のため、私立高校等におけるICT環境の整備を支援(私立高校等ICT教育設備整備費30億円)

▽少人数によるきめ細かな指導体制を支援(事項要求)

【私立学校施設の耐震化等の促進】=47億円+事項要求

 私立学校施設の耐震化率は、9割を超え着実に進ちょくしているが、国公立学校と比べて耐震対策が遅れている状況。児童生徒の学習や生活の場であり、地震などの災害時には地域住民の避難場所等ともなる私立学校施設の耐震化の早期完了を目指す。

 学校施設の耐震化完了に向けた校舎等の耐震改築(建替)事業および耐震補強事業、そのほか防災機能強化をさらに促進するための非構造部材の落下防止対策等の整備を重点的に支援。

・補助率=大学2分の1、高校等3分の1等

▼耐震改築(建替)事業=14億円

 2年度までとなっている耐震改築への補助制度を2年延長。

▼耐震補強事業=27億円

▼その他耐震対策事業=6億円

 非構造部材の落下防止対策等の安全対策、利子助成。

【私立学校等の施設環境改善整備の促進】=184億円

 教室内の換気、トイレのドライ化といった学校の衛生環境の改善を支援することによって私立学校の衛生環境を改善し、学校がクラスター化した場となるリスクを低減。そのほか、避難所にもなる学校施設のバリアフリー化等によって、すべての子どもたちが安全かつ円滑に学校生活を送ることができるようにする。

 感染症対策を含む安全・安心な生活空間および学修機会確保に必要な基盤的施設等の環境改善整備を支援する。

▽新型コロナウイルス感染症対策として、私立学校施設における空調・換気設備およびトイレのドライ化などの整備を支援

▽避難所に指定されている学校施設(小・中・高・中等教育学校・義務教育学校・特別支援学校)について、バリアフリー化への補助制度の補助率を嵩上げ(補助率3分の1から2分の1へ)

▽アスベスト対策、防犯対策による安全・安心な生活空間の確保のための整備のほか、教育研究の質の向上に資する施設の高機能化(カウンセリング機能の強化のための整備など)やエコ改修などの整備等を支援する

◆科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局

【科学技術イノベーション人材の育成・確保】=288億5100万円

▼次代の科学技術イノベーションを担う人材の育成

▽スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業=22億8400万円

 先進的な理数系教育を実施する高校等をスーパーサイエンスハイスクールに指定し、支援。

▽グローバルサイエンスキャンパス(高校生対象)=4億1000万円

▽ジュニアドクター育成塾(小中学生対象)=2億7000万円

 理数分野で卓越した才能をもつ児童生徒を対象に大学等の育成活動を支援。

◆スポーツ庁

【地域運動部活動推進事業】=2億2109万円(新規)

 生徒にとって望ましい持続可能な部活動と学校の働き方改革の実現に向けて、全国各地域において実践研究を実施する。具体的には、拠点校(地域)において、生徒への指導を担う地域人材の確保、費用負担の在り方の整理、地域部活動の運営団体の確保等に取り組むとともに、合同部活動やICT活用の推進を図る。

▼休日の部活動の段階的な地域移行

 5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行に向けて、地域人材の確保や費用負担の在り方、運営団体の確保などの課題に総合的に取り組むために、全国各地の拠点校(地域)において実践研究を実施し、研究成果を普及することで、休日の地域部活動の全国展開につなげる。

▽実施拠点数=114ヵ所―47都道府県2ヵ所(市・町村)、20政令市1ヵ所

▽主な実践課題

・地域人材を確保・マッチングする仕組みの構築

・生徒への適切な指導に必要な地域人材の研修の実施

・平日と休日の一貫指導のための連携・協力体制の構築

・費用負担の在り方の整理

・地域部活動の運営団体の確保等

▼合理的で効率的な部活動の推進

 地域の実情を踏まえ、都市・過疎地域における合同部活動やICT活用によるスポーツ機会の充実に向けた実践研究を実施する。

 各地域で生徒にとって望ましい大会の推進に向け、運動部活動の大会に関する調査研究を実施する。

【武道等指導充実・資質向上支援事業】=1億9552万円

 わが国固有の伝統文化である武道等の指導の充実を図るため、中学校の保健体育における多様な武道種目の実施や外部指導者の活用などの実践研究を行うとともに、武道関係団体による多様な武道指導実践への支援体制の強化を図る取組を行う。

▼多様な武道等指導の充実

 多様な武道種目にふれる保健体育の授業や外部指導者の活用などを行う中学校を武道推進モデル校に指定した実践研究を行うとともに、多様な武道種目の指導法講習会など教員の指導力向上を図る取組等の実施。

▽都道府県・指定都市教委に委託(460万円×30ヵ所)

▼支援体制の強化

 武道関係団体による外部指導者の養成や指導ガイドブック等の資料の作成指導力向上など、中学校における多様な武道種目の実践の

支援体制を強化する取組等の実施。

▽法人格を有する団体に委託(860万円×5ヵ所)

▼指導成果の検証

 大学、教育委員会、学校の連携・協力による中学校における多様な武道種目の実践の成果と課題の調査・検証を行う取組等の実施。

▽大学に委託(470万円×5ヵ所)

◆文化庁

【全国高校総合文化祭】=1億6300万円

 各都道府県代表の高校生による、芸術文化活動を発表する全国大会として全国高校総合文化祭を開催し、創造活動の向上を図るとともに、相互の交流を深めることによって、芸術文化の振興に資する。

▼全国高校総合文化祭

 文化庁、開催地都道府県、開催地市町村等の主催者が実施する主催事業として、総合開会式、パレード、部門別事業、国際交流事業を実施。

▽開催部門=演劇、合唱、吹奏楽、器楽・管弦楽、日本音楽、吟詠剣詩舞、郷土芸能、マーチングバンド・バトントワリング、美術・工芸、書道、写真、放送、囲碁、将棋、弁論、小倉百人一首かるた、新聞、文芸、自然科学ほか

▽3年度開催地=和歌山県

▼全国高校総合文化祭優秀校公演

▽優秀校東京公演

 全国高校総合文化祭において演劇、日本音楽および郷土芸能の分野で優秀な成績を収めた学校が一堂に会する公演を実施。

▽伝統芸能公演等

 地方での郷土芸能等を発表する場を拡充するため、関連事業を充実。

▼高校文化部活動指導者養成事業

 高校における文化部活動のさらなる充実を図るため、部活動の指導者である顧問教員が適切な運営や指導の方法を身に付けるための研修会を実施。

 部活動を効率よく指導している事例をまとめた冊子を作成・配布。

▼コロナ対応=6400万円

▽密集対策にかかる警備(交通誘導員)=1000人×2日×2万円

▽各事業で必要な経費(消毒液、アクリル板、非接触体温計等)=1200万円

【文化芸術による子ども育成総合事業】=107億900万円

▼巡回公演事業

 国が一流の文化芸術団体を選定し、小学校、中学校、特別支援学校等において実演芸術公演を実施。

 事前に児童生徒が自ら参加する体験型の活動(ワークショップ)を実施。

▽公演種目=15種目

▽公演数=1163公演程度

▼合同開催事業

 山間、へき地、離島など、鑑賞機会に恵まれない地域に存する小学校、中学校、特別支援学校等について、合同で実演芸術公演を実施。

▽公演種目=15種目

▽公演数=405公演程度

▼芸術家の派遣事業

 個人または少人数の芸術家が学校を訪れ、講話、実技披露、実技指導を実施。

 国、教育委員会と地域のNPO法人等が連携し、学校と芸術家個人や小規模グループをコーディネート。

▽派遣数=3150件程度(学校公募型、NPO法人等提案型)

▼コミュニケーション能力向上事業

 学校において、芸術家による表現手法を用いた計画的・継続的なワークショップ等を実施。

 芸術家による実技披露に加え、児童生徒が小集団で協働して、課題解決に取り組む活動を実施。

 創作や小集団での話し合い等のプロセスを重視。

▽派遣数=200件程度(学校公募型、NPO法人等提案型)

▼芸術教育における芸術担当教員等研修事業

 各地方の芸術系および教育系大学等の芸術担当講師等を活用し、各都道府県等のブロック別に講師を派遣し、小・中学校・高校等の芸術担当教員への研修および実演鑑賞を実施するとともに、交流会等の意見交換の場を設ける。

▼新型コロナウイルス感染症対策への継続支援

 新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない状況が続いており、3年度の実施についても感染予防対策や、3密を避けるために複数回公演の実施等、コロナ禍における各学校の状況等を踏まえながら実施。

【仮称・地域文化倶楽部の創設に向けた実践研究】=3億1400万円

 子どもたちが身近な地域で学校の文化部活動に代わり得る継続的で質の高い多様な文化芸術活動の機会を確保できるよう、学校や地域が地域の文化施設や文化芸術団体、芸術系教育機関等との連携によって、文化部活動の地域移行に向けた体制構築や持続可能な文化芸術活動の環境整備を行うためのモデル事業を実施する。

▼地域部活動・合同部活動推進事業=1億3000万円

▽地域部活動推進事業(114地域)

 休日の部活動の地域移行(地域部活動)に向けて生徒の指導や大会の引率を行う地域人材の確保や活動場所・用具の確保、移動手段の確保、それらにかかる費用負担やコーディネート等の課題解決を目指すため、全都道府県(市部・町村部各1地域)および全政令指定都市に拠点校(地域)を設け、モデル事業を実施。

▽合同部活動推進事業(18地域)

 少子化に伴う廃部や部員減少、ニーズの多様化による指導者不足等に対応するため、合同部活動実施に向けた移動手段の確保や、ICTを活用した練習・指導法の確立、それらにかかる費用負担等の課題解決を目指すモデル事業を都市部および過疎地域に拠点校を設け実施。

▼仮称・地域文化倶楽部創設支援事業=1億8000万円

 子どもたちが身近な地域で質の高い多様な文化芸術活動の機会を確保できるよう、地域の文化施設や文化芸術団体、芸術系教育機関等が中心となって、新たな受け皿となる仮称・地域文化倶楽部を創設するためのモデル事業を全国25地域で実施し、課題や手法を分析・検証する。

【国立アイヌ民族博物館の運営等】=15億5200万円

▼国立アイヌ民族博物館の運営=13億2500万円 

(国 2020-10-27付)

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