道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月25日)
(道議会 2020-12-04付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼沖田清志委員(民主・道民連合)

▼笠木薫委員(民主・道民連合)

▼渡邊靖司委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼阪正寛環境生活部東京オリンピック連携推進監

▼長谷川浩幸環境生活部スポーツ局長兼東京オリンピック連携局長兼競技開催支援担当局長

▼遊佐貴志環境生活部アイヌ政策推進局象徴空間担当局長

▼本田晃環境生活部スポーツ局オリンピック・パラリンピック連携室長兼東京オリンピック連携局東京オリンピック連携課競技開催支援担当課長

▼酒井隆環境生活部東京オリンピック連携局東京オリンピック連携課長

▼永田英美環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課象徴空間担当課長

▼京谷栄一保健福祉部少子高齢化対策監

▼鈴木一博保健福祉部子ども未来推進局長

▼齊藤順二保健福祉部子ども未来推進局子ども子育て支援課自立支援担当課長

◆児童虐待防止相談体制充実

Q沖田委員 4月に施行された改正児童福祉法では、弁護士や医師、保健師などの配置が定められたが、室蘭児童相談所の苫小牧分室における配置人員はどのようになっているのか伺う。

A齊藤課長 弁護士などの配置について。児童相談所には、法律および健康や発達に関する専門的な知識、経験を必要とする業務を行うための弁護士および医師の配置が義務付けられているほか、昨年の法改正において、令和4年4月に向けて保健師の配置が義務付けられた。

 道では、現在、各児相に非常勤の弁護士と医師を配置しているが、今後、国から示される政省令や通知を踏まえるとともに、児相の相談対応状況などを勘案し、配置場所や勤務形態などを検討していく。

Q沖田委員 改正法では、配置人員について、基準ではこの分室には21人であるが、当初は20人のスタートと聞いている。この基準より少ないが、20人の配置で問題はないのか、また、いつまでにこれを増員していくのか伺う。

A齊藤課長 専門職員の配置について。指導、判定、相談といった虐待などによる子どもの安全確保に直接かかわる機能は、管内人口や虐待相談対応件数に応じ、本所と分室のそれぞれに児童福祉司などを配置することとしており、これらの専門職員の4年度の分室の配置人数は、国が求める基準では21人となる見込みである。

 なお、専門職員については、人材確保や人材育成の観点から、国のプランの目標年次である4年度に向け、段階的に増員を図ることとしており、分室の開設に向けては、所管する地域の児童相談業務に支障のない体制でのスタートとなるよう、現在、関係部と協議を進めている。

D沖田委員 専門職員の配置は、あくまでも苫小牧は分室なので、室蘭児童相談所全体で考えることだと理解している。ただ、人数もそうだが、なぜ、苫小牧分室が必要になったのかということを考えれば、当然のことながら、本所並みに扱うような形でなければ、しっかりとした機能は求められないのではないかと思う。

 4年度までに段階的にというのは分かるが、それを待たずに、配置できるような体制が整うのであれば、きちんとした形で早期の増員なり配置なりをしていただくなど、体制強化に努めていただくよう求めておきたい。

Q沖田委員 児童福祉司や判定員は全道的に不足しており、開設時からの確保は難しいと考える。確保のめどについて伺う。

A齊藤課長 専門職員の確保について。道では、国のプランに基づき、計画的な専門職員の増員を図ることとしており、児童福祉に精通した民間経験者の採用はもとより、任期付職員の採用など、様々な手段を用いた人材の確保に取り組んでおり、本年度、室蘭児相では、分室と合わせて10人の増員を予定し、これまで、順次採用を進め、現在までに、予定を含め、7人を確保した。予定数の確保に向けて、引き続き、専門職員の採用に努めていく。

D沖田委員 本来、10人の増員をしなければならないところが、今のところは7人ということであった。分室については、年明けの1月には開設するわけであるから、引き続き、人員確保に努めていただきたい。

Q沖田委員 この20人の分室においては、管理職が配置されないと聞いている。責任者がいない中で、様々な対応や措置の判断などをどのように行っていくのか。管理職の配置が必要と考えるが、所見を伺う。

A鈴木局長 管理職員について。児童福祉法では、施設への児童の入所措置や一時保護の決定などの権限を児相の所長に付与しており、分室は、室蘭児相の所長のもと、所管区域における児童相談や心理判定の業務を行うこととなる。相談対応等には、現場での迅速かつ的確な判断が必要であることから、既存の旭川児相の稚内分室と同様に、児童相談業務に精通した管理職を分室長として配置する予定である。

 なお、開設後においても、所管区域の対象ケース数や相談対応に当たる児童福祉司数などを踏まえて、子どもや家庭にかかわる相談に的確に対応するために必要な体制については、常に見直すこととしている。

D沖田委員 配置する予定という答弁をいただいた。これは、保健福祉部だけで決められる問題ではなく、道庁全体の定数にもかかわってくる問題だと思うが、しっかりと現場の実情を訴えた中で、人事当局を説得していただきたいと思う。

Q沖田委員 この施設に関して、20人配置ということは聞いているが、現在、予定している執務室は、20人でも狭あいであるという話も聞いている。今後、徐々に増員ということになれば、ますます狭あい化すると思われるが、どう対応していくのか伺う。

A齊藤課長 分室の事務スペースについて。分室は、現在、市が整備中の児童相談複合施設内に開設を予定している。複合施設の整備計画の策定後に、国のプランによって専門職員の配置基準の考え方が改正され、計画的に専門職員を増員することとなったことから、国のプランの目標年次である4年度の専門職員数は、当初予定していた人数よりも多くなると見込まれている。

 道としては、事務机のレイアウトや打ち合わせスペースの工夫によって、限られた事務スペースを効果的に使用するなどして、各種の相談や虐待への対応など、児相の業務の遂行に支障を来すことのないよう、現在、検討している。

D沖田委員 レイアウトなどで工夫をしながらというのは分かるが、現実的に狭あい化が解消されるとは思えない。まして、コロナ禍にあって、ソーシャルディスタンスを道民に訴えている中で、狭くて効率の悪いような執務室では、業務上の効率などを考えると、もし今からでも別な部屋を用意できるなどということであれば、改善に向けてしっかり検討していただくよう求めておきたい。

Q沖田委員 苫小牧分室には一時保護施設がないということだが、緊急時等については、どう対応していくのか伺う。

A齊藤課長 緊急時の対応について。虐待などによって、緊急的に一時保護が必要なケースが発生した場合、児相職員が現場に急行することを原則としつつ、遠隔地の場合は、市町村や警察と連携しながら、まずは、子どもの身の安全を確保した上で、所定の場所での一時保護につなげている。

 道としては、分室の設置によって、相談対応件数の半数を占める苫小牧市や遠隔にある日高管内の虐待など、緊急対応において、より迅速な訪問によって、子どもの安全確保を図ることができると考えており、一時保護を行う場所については、子どもの状況や精神状態などに応じて、より身近な地域の里親などを活用するほか、室蘭児相に併設される一時保護所を活用していく考えである。

Q沖田委員 現状でも、児童養護施設あるいは里親に、一時保護施設の機能として、代替のような形で対応していただいているというのは分かる。ただ、いつ、虐待によって保護するケースが出てくるか分からない。例えば、夜中に児童養護施設あるいは里親などの受け手が見つかるのかといえば、決してそうではないと思う。

 そうなると、どうしても室蘭まで移送ということになるわけだが、苫小牧からでも片道60㌔㍍以上、日高であればそれ以上になる。送迎する職員の負担、あるいは、移送される子どもたちの精神的な負担、肉体的な負担を考えると、近くにあるのが一番だと思う。

 そうした意味から、将来的に、一時保護施設の設置の考え方はないのかどうか、所見を伺う。

A鈴木局長 一時保護所について。一時保護を必要とする子どもは、年齢や家庭環境などの背景が様々であり、一時保護に当たっては、国の示す一時保護ガイドラインにおいて、子ども一人ひとりの状況に応じて、安全確保やアセスメントなどを適切に行う体制や環境整備が必要とされている。

 道としては、一時保護を必要とする子どもの心身が安定し、安心して生活することができるよう、現行の一時保護所の環境改善に向けた必要な整備を検討している。分室における一時保護の機能については、今後、道児相全体の運営についての将来的な展望の中で検討が必要と考えている。

D沖田委員 現行の保護所の環境改善ということだが、いずれも、おそらく老朽化しているので、これから全体の整備も考えていかなければならないということを言っているのだと思う。計画的に整備を進めていかなければなかなか進まないと思うので、早急に検討していただくよう求めておきたい。

Q沖田委員 苫小牧分室については、苫小牧市が整備する児童相談拠点と同一の建物内に設置されるということだが、こうした体制は全道でも初めてで、前例がない。連携がうまくいけば、1足す1が2ではなくて、3にも4にもなるような大事な取組だと思う。今後、どう連携を図って進めていくのか伺う。

A京谷少子高齢化対策監 苫小牧市との連携について。道では、虐待対応の一層の迅速化を図り、子どもたちの安全を確保するため、室蘭児相の相談対応件数の半数を占める苫小牧市に分室を開設することとした。この分室が、苫小牧市が設置する子どもや家庭の支援拠点と併設することで、分室と市の担当職員が普段から情報を共有し、相談対応の初期段階から家庭復帰後までの様々な段階において、より緊密な連携が可能となるほか、児相職員の訪問支援活動の迅速化はもとより、苫小牧市の要保護児童対策地域協議会におけるケースマネジメントの充実などによって、地域の児童相談機能の強化にも資すると考えている。

 道としては、これまで以上に苫小牧市との連携が図られるものと考えており、分室の設置に向けて熱心に取り組んでいただいた地元市民の期待に応えられるよう、児相機能の充実はもとより、分室が所管する地域の皆さんと力を合わせ、今後とも、児童相談体制の一層の強化に努め、児童虐待の防止に向けて全力で取り組んでいく。

D沖田委員 ぜひ、効果的な取組となるように求めておきたい。

◆ウポポイの運営について

Q笠木委員 民族共生象徴空間ウポポイが7月12日にオープンした。順調に船出をしていると思うが、あらためて今日までの経過を聞かせていただきたい。

 同時に、アイヌの人々が誇りをもって尊重されるというか、今日までの差別と偏見の歴史を超えてできた施設であるから、将来にわたって、北海道の財産としてしっかりとみんなで発展させていかなければならないという意味で、現時点でもっている課題について聞かせていただきたい。

A永田課長 これまでの来場者の状況などについて。7月12日の開業以降、ウポポイでは、新型コロナウイルス感染症対策として予約制が導入されている中、来場者数は約9万4000人であり、博物館では、入場者数が1時間当たりの上限に達している時間帯も多くみられるなど、教育旅行も含め、多くの人たちに訪れていただいている。

 また、ウポポイは、わが国の貴重なアイヌ文化を復興、発展させるナショナルセンターであり、本道の観光や地域振興に重要な役割を担っている。

 今後も、より多くの方々に訪れていただき、アイヌの歴史や文化に対する幅広い理解を深めてもらうとともに、多彩な展示の工夫やプログラムの充実などによって、ウポポイが一層魅力あるものとなること、さらには、上川や日高、釧路など、アイヌ文化の振興に取り組んでいる他地域との連携が必要であると考えている。

Q笠木委員 白老アイヌの皆さんが保存して守ってきたチセが、今回のウポポイの整備によって取り壊された。今回、整備されているチセは、合板のフローリング、窓はサッシという造りである。いろいろな法律の縛りもあって、そうなったと聞いている。しかし、向きや大きさも含めて、神聖なチセのおきてというようなもの、アイヌの皆さんが守ってきているものがあるということも聞いており、そうしたものが破られているのではないかというような指摘はないのか。もともとのチセを復元するという考え方がないのか聞かせていただきたい。

 博物館の展示も、素晴らしい展示方法であると思うが、新しいものばかりが展示されているような感じもしないわけではない。本当に評価されている今は亡きアイヌの作家群の作品などについて、常設展示ということになるとなかなか替えることはできないと思うが、特別展などでどう表現していくのか、そうした位置付けなども聞かせていただきたい。

 古式舞踊について、皆さんが練習して、伝承していこうということで、勉強して、素晴らしいものをつくってきたということは聞いている。ただ、引き継がなければなくなりそうになっているものをどう引き継いでいくのか、伝承していくのかという視点は取り入れられているのか。さらに、アイヌ語などをどうやって伝えていくのか。

 土産の品定め、価格設定などについて、その都度見直していかなければならないと思うが、そうしたことについてどう考えているのか。

A永田課長 ウポポイの展示内容などについて。入場可能なチセについては、アイヌの伝統的な儀礼への参加や見学することが可能となるよう、建築基準法や消防法を順守し建築されたものであり、かつての生活文化の理解を深めるために、外部から見学できる昔ながらのチセも設置されているほか、新たにチセ造りの様子も公開されている。

 また、博物館では、伝統技法を用いて制作した工芸品などのほか、特別展では、現代に息づくアイヌ文化の魅力が紹介されている。

 伝統舞踊では、アイヌ民族文化財団職員が、アイヌの方々や有識者の指導を受けながら、日々、訓練等に精力的に取り組んでおり、ウポポイ内では、アイヌ語を第一言語として表記しているほか、紙芝居や職員の愛称にアイヌ語を使用することなどによって、アイヌ語の普及にも努めている。

 さらに、園内での販売品については、財団において、売り上げ状況などを踏まえ、今後の品ぞろえなどに生かしていくものと承知している。

Q笠木委員 大切なことは、道民、来訪者がどういう声を寄せているのか、それをしっかりとこれから生かしていくことだと思う。

 アンケート調査などをやっているのか、これから様々な声を運営にどう生かしていくのか、その認識を聞かせていただきたい。

 国は、令和元年度の補正も含めて、2年度、67億円の予算を付けて、ウポポイの管理運営やプロモーション活動を行っている。その事業内容を道として把握しているのか、事業の執行に当たって、道の意見がどう反映されてきているのか聞かせていただきたい。

A遊佐局長 来場者の声などについて。管理運営主体である財団へは、これまで、入場の在り方や展示の方法など、様々な声が寄せられていると聞いている。こうした声を的確にとらえ、今後の運営に反映していくことが必要であると考えている。

 また、国においては、ウポポイの施設管理の運営や夜間プログラムの制作のほか、各種メディアなどを活用した全国的なプロモーションや新千歳空港国際線コンコースでの魅力発信など、誘客に向けた取組を行っていると承知している。

 道としては、定期的に開催している、国や道、財団などで構成する会議において、それぞれの取組に関する情報共有や意見交換を行ってきており、今後とも、引き続き、こうした場を有効に活用していきたいと考えている。

Q笠木委員 事業の表題や概要を示していただいたが、事業の中身については聞かせていただいていない。巨額の予算が投じられているわけだが、詳細な事業内容を道としてしっかりと把握しているのかどうか聞かせていただきたい。

A永田課長 国の事業について。国が実施予定の広報事業については、国や道、財団との会議の場などで、広報の方針のほか、PR媒体や対象エリアなど、国との役割分担を行う上で、道として必要な情報を共有している。

 なお、委託先や契約金額などの詳細については承知していないが、国や財団の責任において、発注や執行などについては適切に行われるものと考えている。

Q笠木委員 国や財団の責任において執行されるものと思うということで、道として具体的に把握していないという答弁だったと思う。道が事業の内容を把握できないというのは、国、財団、道、関係者が共通認識をもちながら、施設運営や事業展開していく仕組みがないわけで、その仕組みが必要ではないかと思う。そうした面に対する認識を聞かせていただきたい。

A遊佐局長 国や財団との情報共有などについて。道では、これまでも、国や財団などで構成する会議はもとより、日ごろから意見交換を行い、情報の共有に努めてきた。

 道としても、公表できる、あるいは共有できる国の情報については、適宜、提供を受けており、道からも意見を述べながら、国と役割を分担し、取組を進めている。

 今後とも、国と財団と連携を密にして、国に対し、必要な情報の共有について、様々な機会をとらえて求めていきたい。

Q笠木委員 様々な機会で会議をもったり、意見交換したりしていくという答弁であるが、組織体として運営協議会を設置することが必要ではないかという質問をしている。そうした仕組みづくりが必要だという認識はあるのか、あらためて答弁をいただきたい。

A遊佐局長 協議会などの設置について。道としては、あらゆる機会をとらえて国や財団と意見交換を重ね、要望や提案を行ってきた。

 協議会の必要性や在り方などについても、そのような場を通じて、国や財団と相談していきたいと考えている。

O笠木委員 協議会のもち方や在り方について、国や財団と協議していくということであるから、そうした協議の中で、設置をすべく、道としてもしっかりと汗をかくべきであると思う。

Q笠木委員 道として、2年度、10億円を投じて、ウポポイへの誘客やアイヌ政策の推進を展開しているが、主な事業内容を示していただきたい。

A永田課長 道の委託事業について。本年度の委託事業の主なものとして、JR白老駅北地区のにぎわいを創出し、アイヌ文化や道内の自然、食、観光等の魅力を発信する事業、テレビや雑誌、公共施設、交通機関など各種媒体を活用してウポポイの魅力を発信する事業、ウポポイなどアイヌ関連施設への誘客に向けた映像を制作する事業、アイヌ工芸品の販路拡大、担い手育成の事業などを行っている。

Q笠木委員 事業内容をみると、提案型のプロポーザルの随意契約を行っているということで、ほぼすべてと言ってもいいと思うが、大手企業が受託している。

 随契を回避するという努力が庁内でされているのかについて示していただきたい。仮にプロポーザル随契でやるという判断になったとしても、透明性や公平性、競争性という意味で、外部の審査委員を入れる、事後の公表や実績報告をきちんと行うといった細かなことが道民の信頼という視点で非常に重要だと思う。そうしたことに対する考え方と認識を聞かせていただきたい。

A永田課長 契約について。ウポポイの魅力発信事業などについては、広報、イベント、調査研究など、高度な専門的知識や豊富な経験が必要であることから、様々な契約方法のうち、事業遂行能力や事業内容等の適格性を総合的に審査することが可能な公募型プロポーザル方式が適当である旨、環境生活部指名選考委員会において決定を受け、また、観光や広報などを所管する部局を含めた複数職員によって、幅広い観点から提案内容を審査し、その結果についても、指名選考委員会で適当と決定した。

 なお、事業内容によって、特に専門的な知識や判断が必要な場合は、外部の人材から意見を聴取して審査することができるとされている。

 審査結果については、随意契約の結果と併せて、受託事業者名とすべての提案者の評価得点を公表しており、アイヌ文化やウポポイ等の魅力発信の各種取組状況のほか、成果品である調査報告書についてもホームページで公表するなど、広く周知を図っている。

◆東京オリパラ競技の開催

Q渡邊委員 新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の日程が3月に決定し、7月にオリンピック競技のスケジュール、8月にパラリンピック競技のスケジュールがそれぞれ発表されている。

 新型コロナウイルス感染症の影響で不透明な状況もあるが、札幌で開催されるマラソンや競歩、サッカー、道内の聖火リレーに向けて、準備などの予算が一部提案されている。

 聖火リレーは、大会全体の検討と併せて簡素化の対象となったと思う。簡素化によって聖火リレーの内容に変更があるのか、道内18市町の19ルートや道の実行委員会が選考した46人の聖火ランナーが昨年公表されているが、このルートやランナーの扱いはどのようになっているか、併せて伺う。

A本田室長兼課長 聖火リレーについて。延期となっている聖火リレーの新たな日程や実施内容についてはIOC調整委員会で議論され、大会組織委員会から発表される見込みであり、その方向性としては、従来の日数やリレールート、ランナー数などの基本的なフレームを維持するとともに、すでに決定している聖火ランナーには優先して走行していただけるよう配慮することとされているほか、編成車両の削減やセレモニー装飾の見直しなどの一部簡素化が検討されていると聞いている。

 道としては、道内の聖火リレーについて、大会組織委員会の今後の発表内容も踏まえながら、延期後の日程においても、昨年、すでに決定している18自治体の19ルートおよびランナーによって実施することを基本に、地元自治体や大会組織委員会とあらためて調整を進めていく考えである。

Q渡邊委員 本来なら、ことし6月に行われたはずの聖火リレーであるが、実施に向けた準備も相当進んでいたのではないかと思う。

 これまで行ってきた準備の状況と、変更されたことによって、あらためて準備が必要になる部分について、どのような対応が求められるのか伺う。

A本田室長兼課長 聖火リレーの実施に向けた準備状況について。道では、本年6月に予定されていた聖火リレーの実施に向け、リレー実施自治体や道警などと連携し、交通規制や沿道警備に関する計画作成のほか、市や町ごとのスタート・ゴール地点での進行プログラムや地域住民への広報計画の検討など、様々な準備を前年度までに進めてきた。

 今後、道としては、来年の聖火リレー実施に向けて、大会組織委員会から示される予定の新型コロナウイルス感染症対策も踏まえながら、前年度までに作成した沿道警備などに関する計画を精査し、それらをより具体化するとともに、警備ボランティアへの指導や住民広報の準備を進めるなど、リレー実施自治体や関係機関との連携を密にして、聖火リレーをランナーや地域住民にとって安全・安心な環境のもとで確実に実施できるよう、進めていく考えである。

Q渡邊委員 聖火リレーに関係する多くの方々が安心して参加できるよう、ランナーや運営スタッフはもとより、沿道で観戦される方々への感染防止対策が重要である。マラソンや競歩競技にも共通する問題であるが、道は、どのような感染防止対策を講じていく考えなのか伺う。

A長谷川局長 聖火リレー等における感染症対策について。9月4日、国、大会組織委員会、東京都の3者によって、来年の東京大会開催に当たり、実効的な新型コロナウイルス感染症対策を総合的に検討、提示するための調整会議が設置され、アスリートなどの入国管理、選手村、競技会場等の感染対策のほか、関係自治体における対応などについて、年内を目途に検討状況の中間取りまとめを行うこととされている。

 道としては、この調整会議の検討をもとに、大会組織委員会や市町村など、関係機関と連携しながら、北海道、札幌で実施される聖火リレーおよびマラソン、競歩という沿道に観客が多く訪れるといったイベントの特殊性を踏まえた対策を検討し、新型コロナウイルス感染症に対応した大会となるよう、しっかりと取り組んでいく考えである。

Q渡邊委員 札幌で行われるマラソンや競歩については、定期的に開催される組織委員会と札幌市との実務者会議や8月に行われた組織委員会の実地検証など、開催に向けた準備が進められており、マラソンコースになっている道庁構内の整備なども始まるものと思う。

 マラソンや競歩競技の開催に向けた組織委員会等における準備の状況や、道の取組状況はどのようになっているのか伺う。

A酒井課長 マラソン・競歩競技の準備状況について。大会組織委員会や道、札幌市など、関係者が課題を共有し、札幌での競技開催の準備を進める実務者会議が6月に5ヵ月ぶりに再開された。開催1年前となる8月には、大会組織委員会がマラソン・競歩コースの実地検証を行い、気象条件や路面状況などを確認した。

 また、実地検証では、世界陸連によって、救護ステーションや給水ポイントの設置場所など、競技に不可欠となる医療面での確認も行われ、来年のマラソン・競歩競技の開催に向けた準備が着実に進められているものと承知している。

 今後、道では、マラソンコースの一部となる道庁敷地内の路面整備を行うことはもとより、交通規制による市民生活や経済活動への影響など、今回の実地検証によって明らかとなった課題について、大会組織委員会や札幌市、道警と連携して取り組みながら、引き続き、競技の安全かつ確実な実施に向けた準備を進めていく。

Q渡邊委員 新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中で、開幕まで10ヵ月余りとなった。

 しかし、オリンピックを本当に開催できるのかという疑念の声も多く聞かれる。

 今回のオリンピック、パラリンピックの開催は、いつもとは大きく意味合いが異なるものであり、無事開催できれば、新型コロナウイルス感染症を克服した大会として、そのレガシーは価値あるものとなる。そこに札幌や北海道の名が刻まれることは本道にとって大きなチャンスであり、この機会をしっかりととらえ、コロナ禍で停滞している本道経済の活性化の起爆剤とする必要があると考えるが、道として、開催に向けてどのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A阪東京オリンピック連携推進監 今後の取組について。東京2020オリンピック大会の開会式まで、9月26日でちょうど300日となる。

 来年の東京大会の開催に向けては、新型コロナウイルス感染症への対応が最大の課題であり、すべての関係者にとって安全で安心な大会となるよう、9月4日に設置された国などによる調整会議の検討結果を踏まえ、道として、大会組織委員会や札幌市と連携しながら、まずは安全で確実な競技実施に向けた準備を進めていく。

 また、大会の成功に向けては、オリンピック開催への道民の共感を得ることが重要であると考えており、何より世界のトップアスリートが躍動する姿を間近に見られるのは非常に楽しみなことでもあるので、聖火リレーの実施などを通じて、札幌市のみならず、道内の幅広い地域において、大会への機運を高めていく。

 道としては、オリンピック競技の札幌開催は、スポーツ振興にとどまらず、北海道が世界中から注目されることによって、委員の指摘のとおり、観光振興や地域振興にもつながる大きなチャンスであると認識している。

 引き続き、市町村や関係団体との連携を深め、より多くの道民に大会にかかわったと感じていただける機会を設けるほか、世界に誇る多様な魅力を広く発信することで開催効果を全道に波及し、本道の活性化に結び付けていく。

O渡邊委員 慎重な中にもスムーズな準備をお願いしたい。

(道議会 2020-12-04付)

その他の記事( 道議会)

4定道議会予算特別委員会(令和2年12月8日) 成果と効果を発信 3月に時間割決定 遠隔授業の配信集中化

 8日の4定道議会予算特別委員会第2分科会では、遠隔授業の配信機能の集中化について質疑が行われた。  道教委の山本純史学校教育局指導担当局長は、来年度の開始に向け、効果的な遠隔授業の在り方...

(2020-12-10)  全て読む

4定道議会予算特別委員会(令和2年12月8日) 教育機会確保へ 多様なニーズ把握 公立夜間中学

 8日の4定道議会予算特別委員会第2分科会では、夜間中学に関する質疑が行われた。  道教委の小松智子学校教育局長は、札幌市が令和4年開校を目指している夜間中学について、有識者会議を開催する...

(2020-12-10)  全て読む

4定道議会予算特別委員会(令和2年12月8日) 教育相談体制充実 健やかな成長支え ヤングケアラー

 8日の4定道議会予算特別委員会第2分科会では、ヤングケアラーについて質疑が行われた。  道教委の赤間幸人学校教育監は、今後の対応について、ヤングケアラーの子どもは自分自身がやると認識して...

(2020-12-10)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼田中英樹委員(公明党) 【答弁者】 ▼平野...

(2020-12-08)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月28日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼田中英樹委員(公明党) ▼山根理広委員(民主...

(2020-12-07)  全て読む

4定道議会一般質問(令和2年12月2日) 連携協働体制構築 未来担う人材育成 ふるさと教育

 ふるさと教育の推進について質疑が行われた。  道教委の小玉俊宏教育長は、これまでに小・中学校が道ふるさと教育・観光教育等推進事業、高校が道ふるさと未来創生推進事業などに取り組んでいること...

(2020-12-04)  全て読む

4定道議会一般質問(令和2年12月2日) 4月時点45市町村 1年間で急増中 子どもの貧困対策市町村計画策定状況

 1日の4定道議会一般質問では、子どもの貧困対策推進に向けた市町村計画の策定状況について質疑が行われた。  道保健福祉部の京谷栄一少子高齢化対策監は、ことし4月時点で計画を策定した市町村数...

(2020-12-03)  全て読む

4定道議会一般質問(令和2年12月2日) 心のケアに目配り組織的相談体制を 不登校の防止

 1日の4定道議会一般質問では、不登校児童生徒について質疑が行われた。  道教委の小玉俊宏教育長は、平成25年度以降7年連続で不登校の児童生徒数が増加していることを大変憂慮すべき状況とし、...

(2020-12-03)  全て読む

4定道議会一般質問ダイジェスト(令和2年12月2日) マニュアル整備し配信機能を集中化 遠隔授業

 1日の4定道議会一般質問では、遠隔授業配信機能の集中化が取り上げられた。  道教委の小玉俊宏教育長は、令和3年度の仮称・道高校遠隔授業配信センターの設置に向け、授業配信に関する技術的なノ...

(2020-12-03)  全て読む

4定道議会一般質問ダイジェスト(令和2年12月2日) 1年単位変形労働選択的活用を推進 働き方改革

 11月30日の4定道議会一般質問では、働き方改革について取り上げられた。  鈴木直道知事は、道教委がこれまで外部有識者委員の意見を聴きながら勤務時間の縮減に向けたICTの活用や部活の指導...

(2020-12-03)  全て読む