道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)
(道議会 2020-12-08付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼田中英樹委員(公明党)

【答弁者】

▼平野正明総務部長

▼竹縄維章総務部法人局長

▼近藤史郎総務部法人局学事課長

▼倉本博史総合政策部長

▼笹森穣総合政策部政策局総合教育推進課長

◆大学生等への修学支援制度

Q田中委員 国は、大学や短期大学など高等教育機関で学ぶ学生などに対し、授業料等を減免したり、返済義務のない給付型の奨学金を支給したりするという、いわゆる修学支援新制度を本年4月にスタートさせた。

 大学等の高等教育機関で学びたいという意欲のある若者に対しては、生まれ育った環境によって将来が左右されることのないよう、しっかりとした支援が必要と考えるが、この制度では、どのような学生、生徒を対象として、どのような支援が行われるのか、その概要について伺う。

A笹森課長 修学支援新制度の概要について。この制度は、学ぶ意欲のある若者が、経済的な理由によって高等教育機関での修学を諦めることのないよう、授業料と入学金を減免するとともに、返済の必要がない給付型の奨学金を支給するもので、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生を対象としている。

 支援金額は、学校の種別や世帯収入等によって異なるが、例えば、住民税非課税世帯の学生が国立大学に修学する場合には、それぞれ上限額として、入学金で約28万円、授業料で年額約54万円が減免されるほか、自宅通学の場合、月額約2万9000円、自宅外通学では月額約6万6000円が給付型奨学金として支給されることとなる。

 また、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生に対しては、その収入状況に応じ、非課税世帯の3分の2または3分の1の金額が支援されることとなる。

Q田中委員 9月11日、文部科学省から、来年度の修学支援制度の対象校が公表された。国公私立の大学、短期大学の98%が対象校として認定されたが、その一方で、本年度認定された大学、短期大学のうち、4校は対象外となったとのことである。

 意欲ある若者が志望する学校で学ぶことができるようにするには、できるだけ多くの学校が制度の対象となることが重要と考える。大学などは、どのような要件が必要とされているのか。

 また、道内における対象校の状況はどのようになっているのか伺う。

A笹森課長 対象校の要件などについて。修学支援新制度の対象となる学校は、大学、短期大学、高等専門学校および専門学校で、かつ、社会で自立し、活躍する人材育成のための教育を継続的かつ安定的に実施できることが必要とされている。

 国では、対象校の要件として、経営基盤に関する基準のほか、外部人材の理事が複数配置されていること、適正な成績管理が行われていることなど、教育の実施体制に関する基準を設け、文部科学大臣等の確認を受けることとされている。

 また、本道においては、来年度、私立大学1校が新たに追加されることとなり、道内にある大学37校、短大15校、高等専門学校4校のすべてと、専門学校の約86%に当たる123校を合わせて、合計179校が対象校とされた。

Q田中委員 今般のコロナの影響で、アルバイト収入が減少するなど、経済的に困窮し、学生生活の継続が困難となっている学生もいると聞いている。学生自身や保護者がこうした制度の存在を知らなければ、制度を利用することはできず、進学を断念したり、せっかく進学しても退学を余儀なくされるといった事態にもなりかねない。

 今後、感染症が再び拡大することも想定される中、若者が経済的な理由で学びを諦めることのないようにするためには、こうした支援制度の存在を広く認識してもらうこと、また、必要に応じて利用できる状況をつくっていくことが重要と考える。

 こうした若者の実態も含め、所見を伺う。

A倉本部長 修学支援新制度の周知などについて。国による修学支援新制度は、意欲と能力があるにもかかわらず、厳しい経済環境にある若者の学びの継続や進学を後押しする上で有効な手段となっているものと考えている。

 道では、これまでも、この修学支援新制度をはじめ、市町村や民間の奨学金、国の教育ローンなどの各種支援制度を整理した『大学等修学のための経済的支援の手引き』を作成して、ホームページ等を通じて周知してきている。

 今般のコロナ禍においては、学生にとっても、アルバイト代の減収や家計の急変など、様々な影響が生じているものと認識している。道としては、こうした学生を含め、在学生や、進学を目指す高校生、その保護者などに各種支援制度の情報が広く行きわたり、支援を必要とされる人たちの制度活用に着実に結び付くよう、道教委などとも連携しながら一層の周知に努めていく。

◆私立高校生への修学支援

Q田中委員 新型コロナウイルス感染症による経済や国民生活への影響が広範に及び、未曽有の国難に直面している。依然として先行きが不透明で長期化が見込まれており、ことしの1月末から9月23日までの間に、新型コロナウイルス感染拡大で業績が悪化した企業などから解雇されたり、契約を更新されない、いわゆる雇い止めにされた人が見込みも含めて累計6万人を超えたとの報道もあった。

 これは厚生労働省がハローワーク等を通じて把握できた数字であり、実際にはさらに多いとのことである。業種についても、製造、宿泊、飲食、旅客運送など、幅広い分野にわたっており、賃金のカットや雇用の抑制を行う企業も多いものと承知している。

 例えば、収入の急激な落ち込みなどによって、子どもの学費の工面に苦慮される人もいると思う。社会の宝である子どもたちが、家庭の経済的な事情によって受けたい教育を受けられないといったことはあってはならず、このような厳しい状況下にあってこそ、すべての子どもたちの笑顔が輝く社会の実現に向け、必要な支援をしていくべきと考える。

 道は、これまでも私立高校生に対する様々な修学支援策を講じてきていると承知している。その概要と、これまでの取組によって、どのような効果があったと認識しているか伺う。

A竹縄局長 私立高校生への修学支援について。道では、これまで、私立高校の生徒が経済的理由によって修学が困難とならないよう、国の就学支援金と道の授業料軽減補助金を組み合わせ、所得が一定の水準を下回る世帯を対象とした授業料の実質無償化などに取り組むとともに、修学旅行費や学用品費など、授業料以外の教育に必要な経費についても、奨学のための給付金制度によって負担軽減を図ってきた。

 こうしたことから、近年、経済的な理由による中途退学者や授業料滞納者はいずれも減少傾向にあり、これらの修学支援策によって一定の効果があったものと認識している。

Q田中委員 新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、家計に影響を受けている世帯も多いのではないかと推測する。道は、このたびのコロナ禍を踏まえ、私立高校生に対する修学支援について、どのように対応しているのか伺う。

A近藤課長 コロナ禍における修学支援について。道では、本年度から、授業料軽減補助金における家計急変世帯に対する支援について、対象となる急変後の収入基準を、年収350万円未満程度から590万円未満程度に引き上げるとともに、補助額についても、月額7000円から月額最大3万3500円に増額し、充実を図ってきた。

 このたびの新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、さらに家計急変世帯の増加が見込まれることから、対象となる世帯に必要な支援が行えるよう、第2回定例会の補正予算において所要の経費を増額した。また、授業料以外の教育経費を対象とする奨学のための給付金については、これまで家計急変世帯を支援対象とはしていなかったが、同様に、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、こうした世帯を新たに支援対象とする制度改正を行い、それに伴う所要の経費を第1回臨時会の補正予算において増額した。

Q田中委員 今後、新型コロナウイルス感染症の第3波、第4波の到来も想定される中、私立高校へ通う生徒が家庭の経済的事情に左右されることなく、自らの目標に向かって勉学できる環境を整備するためにも、私立高校生のいる世帯に関し、新型コロナウイルス感染症によって家計にどのような影響があったのか、実態把握をすべきと考えるが、見解を伺う。

A平野部長 私立高校生がいる世帯の家計への影響について。道では、これまで、授業料軽減補助金や奨学のための給付金制度によって修学支援の充実に努めるとともに、学校に対するヒアリングや、私立学校の運営および生徒の状況に関する概況調査などを通じて、経済的な理由による授業料の滞納状況などについて確認してきた。

 道としては、今後、こうした取組に加え、授業料軽減補助金などにおいて、新たに拡充した家計急変世帯への支援を通じ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって収入が減少した世帯の状況把握などを行いながら、引き続き、経済的理由によって修学が困難な生徒への支援に努めていく考えである。

O田中委員 母子世帯で家計が苦しいにもかかわらず、所得制限をわずかに超える所得があるため、支援の対象とならないなどという相談も実際に寄せられている。

 まずは、コロナ禍による私立高校生のいる世帯への影響について、道として早急に実態調査を行い、困窮している世帯の状況をきめ細かく把握して、今後の対応を検討すべきと考える。

(道議会 2020-12-08付)

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