札幌市教委・道教育大 体力向上の研究 二極化改善策など検討 持久力向上等でも新方策(札幌市 2020-12-11付)
札幌市教委と道教育大学が前年度から連携して実施している子どもの体力向上にかかる調査委託研究の本年度研究概要がまとまった。委託先の道教育大札幌校の保健体育教育分野研究室が、「運動習慣の二極化傾向の改善を図るための方策検討」「全身持久力、敏しょう性の向上への取組」など4つの課題に基づく研究を推進。これまでの事業効果の検証をもとに、子どもの体力・運動能力の向上を図る新たな方策を検討している。
市は、学校教育の重点の1つに「健やかな体」の育成を位置付け、平成26年度からはさっぽろっ子「健やかな体」の育成プランに基づく取組において、生涯を通じて豊かに運動に親しむための基礎を培うとともに、積極的に心身の健康の保持増進を図る資質や能力の育成に努めている。
これまでの全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果では、市の子どもたちは「運動が好き」「体育の授業は楽しい」など、運動やスポーツを肯定的にとらえる意識に高まりがみられる。
一方、実技調査の結果では、依然として多くの種目で全国平均を下回っており、特に持久力と敏しょう性は全国との差が大きい。
また、運動・スポーツの習慣については、積極的に運動する子どもとそうではない子どもの二極化傾向がみられるなど継続的な課題がある。
市教委は、これら課題の解決に向けて、体育・保健体育の授業の充実やなわ跳び運動の推奨、中学校文化系部活動等スポーツ大会の実施などの取組を推進していくこととした。
これまでの全国調査の結果、各学校の取組の成果や課題等について、詳細を科学的・専門的に分析・検証した上で、子どもたちが健康の大切さへの理解を一層深め、自ら運動に親しむことを通じて体力・運動能力を高めていけるような新たな方策を検討することが必要と判断。前年度から子どもの体力向上にかかわる調査委託に取り組んでいる。
研究に当たり、道教育大札幌校の保健体育教育分野研究室と委託契約を締結。神林勲教授、石澤伸弘教授、中島寿宏准教授が担当している。
調査研究課題として、①運動習慣の二極化傾向の改善を図るための方策検討②全身持久力、敏しょう性の向上への取組③なわ跳び運動の効果検証④子どもの体力にかかる詳細な現状分析、課題の把握と解決策の構築および体力と学力の関連についての調査研究―の4点を設定。子どもの体力・運動能力の詳細な現状分析と事業効果を検証するとともに、子どもの体力・運動能力の向上を図る新たな方策を立てていく。
調査研究期間は、契約締結日から来年3月31日。
調査研究の結果については、調査研究の具体的内容や調査研究の方法の詳細、採取したデータとその分析、検証結果等を市教委に提出する。
調査研究課題と概要はつぎのとおり(①研究内容②研究方法③対象)。
▽運動習慣の二極化傾向の改善を図るための方策検討=①元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査において、体育の時間を除く1週間の総運動時間が60分未満の生徒の割合が高い中学生の女子(約25%)における運動の促進要因と阻害要因を調査研究することで、運動の二極化傾向の改善を図るための具体的な方策を検討する。また、調査研究にかかるパンフレット等を作成するとともに、運動習慣の形成を目的とした新しいイベントの企画を提案する②中学2年生を対象とした質問紙調査を実施③中学校10校程度
▽全身持久力、敏しょう性の向上への取組=①体育の学習等において、全身持久力や敏しょう性の向上に効果があり、楽しく継続して取り組めるHeat―up体操を考案して実施するとともに、効果を検証する②小学5・6年生対象の先行研究によって全身持久力と無酸素能力を向上させることが明らかになっているTABATA methodに基づいてHeat―up体操を継続的に取り組み、介入効果を検証③小学校5校程度
▽なわ跳び運動の効果検証=①平成26年度から推奨しているなわ跳び運動の取組の効果を検証し、調査研究を踏まえた啓発パンフレット等を作成する②小学4~6年生を対象とした実技調査および質問紙調査と、学校への実施状況調査を行い、なわ跳びの実施状況と体力との相関分析・クロス表作成を実施③小学校5校程度
▽子どもの体力にかかる詳細な現状分析、課題の把握と解決策の構築および体力と学力の関連についての調査研究=①市の子どもの体力と学力との関連について検証する。また、体力・運動能力、運動習慣等にかかる詳細な現状分析を行い課題を整理するとともに、解決策の構築に向けた調査研究を実施する②小学3~5年生を対象とし、予備調査(体力テスト、認知テスト、質問紙調査)を行った上で、Heat―up体操による運動を継続的に一定期間実施。事後の調査(体力テスト、認知テスト、質問紙調査)によって検証③小学校5校程度
(札幌市 2020-12-11付)
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