【PICK UP2020】No.8 現場の自主的活用で授業改善 北斗市 ICTプロジェクト(市町村 2020-12-23付)
ICTを活用した授業指導の充実と教職員の指導力向上に向け、北斗市教委の呼びかけに応じた教職員が中心となってプロジェクトチームを結成。タブレット端末を活用した授業や、教材等を共有することができる市独自のクラウドの設置などを進めている。
◆日常的に機器活用
北斗市教委は平成28年度から、タブレット端末を活用した学習の実施に向け、ICT環境整備について検討を開始。教職員の意見を取り入れるため、市教委の要請で市内小・中学校の教頭、主幹教諭などで構成する「教育の情報化プロジェクトチーム」が同年度に発足し、導入するタブレットの機種やタブレット端末を使用した学習効果などについて、研究・協議を進めてきた。
29年度から「タブレット端末導入を基盤としたICT教育にかかるプロジェクト」がスタート。市教委の支援を受けて市内の小・中学校合わせて4校にタブレット端末を整備して授業での活用に関する調査・研究を進めるとともに、令和元年度までに市内全小・中学校を対象として、1校につき1学級が授業で使用できる台数のタブレット端末を用意。市内全体で教職員が主体的に端末を使用した授業に取り組んできた。
大野中学校教頭として前年度までリーダーを務めるなどプロジェクト開始からかかわり、現在は函館市立臼尻中学校に勤務する木﨑彰教頭は「プロジェクトの立ち上げから、教員の情報活用能力の育成とともに、先生方が、普通にタブレット端末を使用して授業を行うことを目指してきた」と話す。ICTに特化した教職員による特別な授業ではなく、日常の中で、ICT機器を有効に活用した授業実践を呼びかけてきた。
来年度からはGIGAスクール構想に伴い、これまで頻度が低かった学校でもICTを活用した授業が多く展開されることとなる。「子どもをどのように育てていくのかという部分を明確にし、実物投影機やモニターでの資料共有など、簡単な使用方法でも活用していく。その結果、便利で有効に使えるという意識につながる」と、これまでの活動を振り返る。
◆自作教材など共有
プロジェクトは、本年度から「ICTプロジェクトNEXT」に変更。情報活用能力やプログラミング的思考力などの向上を目指し、市内教職員および市教委担当者21人で取り組んでいる。これまでのタブレット活用に関する研究等に加え、新たに市内の教職員全員が使用できるクラウドサービスの活用に向け動き出した。
クラウドは9月から動作確認を開始。学年・教科のほか、特別支援教育や特別活動のフォルダを作成し、各校の教諭が制作した授業教材や動画データを共有することができる。教員全体での運用は来年度からを予定している。
プロジェクトのリーダーを務める市渡小学校の玉野悌司教頭は「小学校では、どうしても教えるのが苦手な教科がある教員もいる。クラウドを活用することで、よりよい授業実践につながる」と、来年度以降の本格的な運用に期待している。
一方で、「自分の教材を共有することを嫌がる場合があるかもしれない。アップロードする基準などを明確にする必要もある」と話す。来年度以降の運用に向け、課題解決策を検討していく。
◆働き方改革にも
教職員が業務の中で、最も時間を要しているのは、教材研究など授業実践に向けたもの。特に、小規模校は教員数が少なく、教科ごとの相談体制が不十分な学校も少なくない。クラウドサービスによって授業の悩みをもつ教員を支援。玉野教頭は「クラウドで情報を共有することで、業務時間の短縮にも期待できる」と働き方改革への効果にも期待している。
(シリーズ終わり)
(市町村 2020-12-23付)
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