上川教育研修センターが研究発表会 永山西小3年国語科公開 指導と評価の一体化へ
(関係団体 2021-01-14付)

上川教育研修センター研究発表会
研究員の小林教諭による授業を公開した

 【旭川発】上川教育研修センターは昨年12月中旬、旭川市立永山西小学校で研究発表会を開いた。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため参観者を限定して行い、センター研究員で永山西小の小林豊教諭による研究授業を公開。研究主題「主体的・対話的で深い学びを実現する学習指導の在り方」のもと、「指導に生かす評価」と「記録に残す評価」を分けた評価計画の立案など、指導と評価の一体化の実現に向けて取り組んできた成果を発表した。

 センターでは、本年度スタートした第18次研究の研究主題を「主体的・対話的で深い学びを実現する学習指導の在り方」、副主題を「求められる資質と能力を育む指導と評価」と設定。指導と評価の一体化に向け、①単元目標の明確化②単元評価規準の設定③単元の指導計画・評価計画④観点ごとの総括―の4点を重点に研究を進めている。

 特に③では、評価を個に応じた指導やその後の授業改善に生かす「指導に生かす評価」と、評定を付ける際に使う材料とする「記録に残す評価」に分けて位置付ける評価計画などに焦点を当てて研究している。

 研究発表会は例年、年度末に実践発表を中心とした形態で開催。本年度は、研究の成果がより効果的に伝わるようにと、時期を早め、授業公開を中心とした形態で実施することとした。また、感染症拡大状況を踏まえ、参加者を研究員7人と会場校の教員、助言者のみに限定した。

 研究概要・授業説明のあと、小林教諭による3年1組(児童数32人)の国語科「組み立てをとらえて、民話を紹介しよう」を公開。

 単元では「三年とうげ」を教材に、民話の組み立てをとらえ、場面の移り変わりと登場人物の心情変化を関連付けて理解する学習を展開している。単元計画・評価計画には、研究内容③の視点から、指導に生かす評価・記録に残す評価を分けて位置付けた。

 7時間扱いの5時間目に当たる本時の目標を「主人公の気持ちがどのように変化していったかについて叙述をもとにとらえ、“解決”部分を紹介カードに生かす良さに気づくことができる」と設定。

 研究内容④の視点から、児童の観察やノート、ワークシートへの記入などから判断することで「気持ちの変化を読み取れているか」「“解決”の部分を生かす良さに気付けているか」評価する場面を設けた。

 参観者は、あらかじめ示された抽出児童を同じ観点・判断方法で見取って記録し、協議に生かした。

 研究協議では、最後に上川教育局の望月俊綱義務教育指導班主査と旭川市教委教育指導課の忠海盛弘主査が助言した。

 研究発表会の助言やこれまでの理論研究、実践検証などを踏まえ、同センターは本年度研究の成果と今後の課題を整理している。

▼成果

▽指導と評価の一体化のモデルを示し、評価計画をより具体的(何を、どこで、何で、手立て)に考えることで、単元で育ませたい資質・能力にせまることができた

▽評価を2つの意味あるもの(指導に生かす評価と記録に生かす評価)に分けて考えることで、効果的な評価計画を立て実施することができた

▽抽出児童に対する評価の妥当性を入れた研究協議を行うことによって、評価方法と手立ての成果と課題を分かりやすく実感を伴って共有できた

▼課題

▽「指導に生かす評価」と「記録に生かす評価」の定義をより分かりやすくする必要がある

▽今後、いろいろな教科で、「主体的に学習に取り組む態度」をどう評価するか検討していく必要がある

(関係団体 2021-01-14付)

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