道師範塾　創立１０周年記念冬季講座　吉田会長　教員として志を　内閣官房の谷合参事官講演も

（関係団体 2021-01-14付）

　道師範塾（吉田洋一会長）は９日、創立１０周年記念冬季講座をオンライン開催した。内閣官房教育再生実行会議担当室の谷合俊一参事官が「我が国の教育改革の方向性」と題して記念講演し、教育再生実行会議におけるこれまでの提言と教育改革の概要を紹介。講話で吉田会長は、教員としての志をもつことの重要性を強調し「子どもたちのため、北海道の教育がより活力に満ちたものになるように期待している」とエールを送った。

　道師範塾創立１０周年を記念する講座として開催。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、これまでの２日日程を１日日程に短縮し、ウェブ会議システムを活用してオンライン形式として開催。６０人が参加した。

　吉田会長の開会あいさつに続き、谷合参事官が「我が国の教育改革の方向性」と題して教育再生実行会議における提言と各分野における教育改革の概要を紹介。

　第１１次提言において、高校におけるスクール・ポリシーの策定や普通科改革を取り上げ、地域課題の解決に向けた学習など地域に根ざした教育の重要性を指摘した。

　日本の教員に対する国際的評価が高いことにもふれ、責任感、高度な知識・技能や総合的人間力など、教員に求められる資質・能力を提起した。

　続いて、吉田会長が「北海道の教育課題と北海道師範塾の役割」と題して講話。師範塾設立の経緯や活動内容を振り返り、活動の趣旨や内容の周知、若手教員の一層の参画の必要性を示した。

　北海道教育の現状にもふれ、いじめの認知件数が増加している課題を指摘。教員と児童生徒の間でいじめへの認識のかい離が生じているとし、いじめの早期発見、再発防止に努めるよう呼びかけた。

　学力問題の課題については、学習塾がある地域とない地域、学校、教師、保護者の熱意や意識によって差があるとした上で「学力向上に向けて努力することが公立学校の責任」と強調。教員志望者の減少は、北海道教育の将来にとって深刻な事態を招くとし、教師の多忙化・負担感の解消とともに、教員の魅力を若年層に発信することの重要性を示した。

　指導技術のみならず、教員としての志をもつことの重要性にふれ「次代の教育を担う若い教員によるネットワークや活動の場がさらに広がれば、師範塾を立ち上げたことにも意味があったと言える。北海道の教育が子どもたちのためにもっと活力に満ちたものになるように期待している」とエールを送った。

　シンポジウムでは「北海道師範塾、今後の期待」をテーマに、藤女子大学の中田貢教授のコーディネートのもと旭川市立神居中学校の嶋田剛教諭、市立札幌旭丘高校の宍戸幸希教諭、市立札幌山の手支援学校の佐藤峻介教諭、余市町立旭中学校の篠原美来教諭がシンポジストとなって意見交換。教員として学び続けることの大切さを確認した。

(関係団体 2021-01-14付)