北斗市 3年度教育行政執行方針 小学校高学年の教科担任制を検討 特別支援教育で端末活用
(市町村 2021-03-08付)

北斗市永田裕
北斗市教委・永田裕教育長

 【函館発】北斗市教育委員会の永田裕教育長は、2日開会の令和3年第1回定例会で3年度教育行政執行方針を説明した。GIGAスクール構想に伴い、タブレット端末を活用した授業が増えることから、学校・教職員間で、電子データ化による教材や資料の共有化を推進。授業の質の向上や教職員の業務負担軽減を目指していく。また、小学校高学年における教科担任制や学年における授業分担についても検討を進めていくとした。

 このほか、小学校の学級編制については、これまでの小学1・2年生と中学1年生に加え、新年度からは小学3年生も1学級35人以下で編制する方向性も示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼社会で生きていく実践的な力の育成

 これまで重点的に取り組んできた学力の向上については、家庭、学校の協力によって、一定の成果があった。基礎学力はどんな時代においても必要不可欠なものであり、今後においてもさらなる取組を進めていかなければならない。

 社会のグローバル化や超情報化時代に対応すべく、英語教育、プログラミング教育の充実に力を注いでいかなければならない。昨年は新型コロナウイルス感染症によって、十分な研修ができない状況だったが、新年度からはGIGAスクール構想の前倒しで1人1台のタブレット端末が整備されたので、様々な形での教育活動が可能となることから、教職員の研修についても積極的に進めていく。

 道徳教育の一環として、保健分野「がん教育」を通じての生命の尊さ、日常生活における健康の大切さを学ぶことや、市手話言語条例の制定に基づき、手話を学習の中で実施することによる障がい者への理解や思いやりを大事にする心を育てていく。

 コミュニティ・スクールについては、地域住民と学校がより良い関係を図るためにも土曜授業を活用し、学校運営協議会の創意工夫によって、子どもたちに防災意識の高揚、ふるさとを愛する気持ちを育てていかなければならない。

特別な支援を要する子どもたちは年々増加傾向にあり、インクルーシブ教育の観点からも学校間や教職員の連携が必要であり、北斗高等支援学校との連携もさらに強化していかなければならない。特別支援教育においても1人1台のタブレット端末で授業に対する興味や関心を高め、より効果的な授業を研究していかなければならない。

 教職員の働き方改革については、市働き方改革プランに基づき、部活動の休日設定や保護者対応における役割分担を今以上に明確にしていかなければならない。

 学級編制については、これまで小学1年と2年、中学1年において35人の学級編制だったが、3年度からは小学3年にまで拡大し、教職員の負担軽減を図っていく。

 GIGAスクール構想で整備された1人1台のタブレット端末を活用した授業が増えることから、電子データ化による教材や資料の共有化、小学校高学年の教科担任制や学年における授業分担をさらに進めていくことが必要と考えている。

▼豊かな心と健やかな体の育成

 不登校の原因については、本人でも何が原因か分からない状況が見受けられる。特に、中学校における不登校が多くなっており、授業体制、授業の難度、人間関係の多様化、思春期における心の葛藤などがあるが、自尊意識を高めていく教育を進めていかなければならない。

 学校においては、小学校の段階から学力や体力だけにとらわれることなく、子ども一人ひとりの様々な可能性をみつけ、引き出すことに取り組んでいくことが必要である。また、家庭環境やその子のもつ資質に違いがあることから、画一的な指導ではなく個に応じた指導が必要であり、何よりも子どもたちにとって学校が自分の居場所であるという思いをもたせるために、愛情を注いだ教育をしていくことが最も大事なことである。

 これは、不登校に限らず、豊かな心を育てるためにも大切なものであり、学校における様々な体験や活動、コミュニケーションを通して養われていく。

▼信頼される学校づくりの推進

 学校は、今まで以上に児童生徒、保護者との連携を密にしていかなければならない。特に、2年度は新型コロナウイルス感染症の関係で学校が休業になるなど、学習面や生活面において大きなストレスや心配があったと思う。

 ことしに入っても依然として新型コロナウイルス感染症の収束はみえてこない状況にあり、新しい生活様式の徹底や各種行事の実施体制についても、学校の方針を家庭に随時伝えていくことや、保護者の意向確認も含めて考えていかなければならない。

 校則の問題について様々な地域で問題が提起されており、社会が大きく変容している中、見直しも必要であるが、児童生徒、保護者の意見も取り入れたものにしなければならない。

 これからの学校運営については、学校運営協議会によるコミュニティ・スクールの役割が大きなものとなる。地域、家庭から信頼される学校づくりの推進に努めていく。

(市町村 2021-03-08付)

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