札幌市教委　義務教育学校設置方針案　中沼、定山渓、真駒内に　３年度　２地区でプロジェクト開始

（札幌市 2021-03-09付）

　札幌市教委は、８日の第４回教育委員会会議で市における義務教育学校の設置方針案を示した。小学校と中学校の校区が概ね一致している学校などで設置を検討している小中一貫校について、「通学区域が概ね小中同一校区で、小中一体の校舎である」、または「小中一体の校舎整備を行う」場合、義務教育学校として設置。義務教育学校を設置することで、市全体の小中一貫した教育のさらなる推進を図る。今後、中沼、定山渓、真駒内の３地区において義務教育学校実施プロジェクトを設立。中沼地区で令和５年度、定山渓地区で７年度、真駒内地区で８年度の開校を目指して検討を進める方針だ。

　市教委は、平成２８年度から義務教育９年間を見越し、小・中学校間で目指す子ども像や課題を共有し「自立した札幌人」の育成を一層推進できるよう、小中一貫した教育の実施に向け研究を推進。３０年度から外部有識者を含めた在り方検討委員会を開催し、札幌市が目指す小中一貫教育の在り方について検討してきた。

　昨年２月には、子ども一人ひとりが幼児期から生涯にわたって学び続けるとともに、一貫性・連続性のある教育で資質・能力を育んでいく必要があることから、ことし２月に市小中一貫した教育基本方針を策定。本年度からは、１つの中学校とその中学校に進学する小学校からなるパートナー校を推進の基本単位とし、推進役となるコーディネーターを３年間で全校への配置を目指して取組を進めている。　

　小中一貫校においては、①小学校と中学校の校区が概ね一致している②子どもが校種を越えて、いつでも交流できる③教職員が話し合いや計画づくりなどを日常的に一緒に行える―の３つの環境が整っている地域で設置を検討。設置する場合、市内の他の小・中学校と学びの格差が生じるとの誤解を与えることがないよう公平性を確保する。

　８日の教育委員会会議で相沢克明学校教育部長は、小中一貫校について「通学区域が概ね小中同一校区で、小中一体の校舎である」または「小中一体の校舎整備を行う」場合において、義務教育学校として設置する考えを表明。小中一貫した教育のモデルとなる取組を進め、他の市立小・中学校に成果を伝えることを通して、市全体で基本方針に基づいた小中一貫した教育を推進する方針を明らかにした。

　義務教育学校の設置に当たっては、子どもが校種を越えていつでも交流でき、過度な労力や時間をかけることなく、教職員の話し合いや計画づくりを日常的に行うことができるよう、校舎および職員室の一体整備を前提とする。

　また、他の小・中学校からの転出入があった場合の学習内容の欠落や適応への懸念に配慮するとともに、当該取組について、他の市立小・中学校への普及が困難であることから、小・中学校間の指導内容の入れ替え・移行を行わないこととした。

　福移小・中学校のある中沼地区、定山渓小学校と定山渓中学校のある定山渓地区、真駒内桜山小学校と真駒内中学校のある真駒内地区の３地区において義務教育学校設置を検討。

　３年度中に中沼地区、定山渓地区で、４年度中に真駒内地区で義務教育学校実施プロジェクトを立ち上げ、校舎や教育課程を検討する。

　校舎の実施設計や改築工事の必要がない中沼地区で５年度、工事等を必要とする定山渓地区で７年度、真駒内地区で８年度の開校を目指して検討を進める。

(札幌市 2021-03-09付)