札幌市　若年期の女性支援実態調査　誰にも相談できない傾向　家庭や交際相手との関係など

（札幌市 2021-03-26付）

　札幌市子ども未来局は、若年期の女性を対象とした支援に関する実態調査の結果をまとめた。市内に居住する１５～２９歳の女性を対象に実施した、日ごろの悩みなど生活状況に関するアンケート調査と高校中退や家出の経験がある女性４人などに対して行ったヒアリング調査の結果を集約。アンケート調査では、家庭や結婚・交際相手との関係での嫌な体験の相談ができなかった割合が多いことが分かった。また、ヒアリング対象者は、家族との関係や家庭状況に問題を抱えていることも明らかになった。

　市は、『令和元年６月死亡事例にかかる検証報告書』において、思春期・若年期の女性を対象とした支援制度の創設の提言を受け、３年度からの新たな支援制度の実施に向け検討している。

１０代後半から２０代前半の女性が抱える悩みや困り事を把握し、今後の施策等に生かすため、昨年、２種類の実態調査を実施。市内に居住する１５～２９歳の女性を対象にした日ごろの悩みなど生活状況に関するアンケート調査と高校中退や家出の経験がある女性４人へのヒアリング調査を行った。

　アンケート調査の結果をみると、学校、家庭、職場、結婚・交際相手等に関連して、嫌な体験をした３～７割の女性がどこにも相談できず、特に、家庭や結婚・交際相手との関係での嫌な体験の相談ができなかった割合が多い。自分に身近な問題ほど誰にも相談できない傾向があることが分かった。

　相談相手は、親や友人が多い。公的な相談機関は少なく、市は「公的な相談機関の認知度は極めて低い状況」と分析している。

　一般女性における結婚・交際相手との関係での嫌な体験は「相手からの物理的・精神的な支配」が約５割で最多。次いで「金銭的な問題」が４割弱、「セクハラ・性被害と望まない性行為・妊娠」が約２割。

　ヒアリング調査の結果をみると、ヒアリング対象者は、家庭の困難の具体的な内容として、両親の不仲、虐待、育児放棄、貧困、生活保護、親の再婚、親がアルコール依存症などを挙げ、家族との関係や家庭状況に問題を抱えていることが明らかになった。

　また、高校中退や家出経験がある４人中３人が未成年でキャバクラやデリバリーヘルスなどの性風俗、援助交際の経験があり、妊娠、中絶、援助交際など性の問題にかかわっていることも分かった。

　各調査結果は、市のホームページで公表している。

(札幌市 2021-03-26付)