函館市教委　働き方改革リーフレット　ボトムアップで業務改善　教育フォーラムの内容紹介

（市町村 2021-04-12付）

五稜郭中の事例発表などを掲載している

　【函館発】函館市教委は、令和２年度の市教育振興フォーラムについてまとめたリーフレット『学校における働き方改革～これまでとこれから』を作成した。名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授による基調提言のほか、道教委の働き方改革推進事業の指定を受けている五稜郭中学校（木村雅彦校長）の事例発表、同校教職員が２年間の取組を振り返ったインタビューを掲載。さらに、推進事業を担当している渡島教育局の毛利繁和主幹、函館市PTA連合会の干山毅会長と木村校長の対談も紹介している。

　市教委は、教育振興基本計画に掲げる「函館の教育がめざす人間像」の実現に向けた取組を市民に周知し、教育の振興を図ることを目的に、教育振興フォーラムを開催している。

　２年度は、「学校における働き方改革」をテーマに設定。新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、基調提言や実践発表の成果を冊子にまとめ、各学校などに配布するとともに、市教委のホームページ上で公開した。

　内田准教授は基調提言で「みんなで“子供のため”から降りる」をテーマに、教職員が身体的・精神的に健康に過ごし、子どもに質の高い教育環境を提供するために、学校現場だけでなく国や自治体も含めて、具体的な業務削減を進めていく必要性を訴えている。

　事例発表では、木村校長が五稜郭中の２年間の働き方改革に向けた方針と取組を紹介。働き方改革にかかる学校経営ビジョンとして「生徒と向き合う時間を確保し、教育活動の質的向上を実現する学校の創造」を設定した理由のほか、①トップダウンではなくボトムアップ②五稜郭中で勤務できる喜びの共有③教育効果を失わない業務改善④保護者や地域住民への理解促進―の４つの方針における実践・取組をまとめている。

　また、木村校長、山口哲也前教頭のほか、同校の教諭２人に、２年間の振り返りや自身の変化に関するインタビューを行い掲載。推進チームのメンバーとして、事業に携わってきた教諭は「本当の意味で生徒のためになることとはどういうことか、より真剣に考えるようになった。その意識がこれまで以上に強く共有され、丁寧に指導する場合と生徒に委ねる場合などの軽重をうまくつけながら生徒と向き合えるようになった」と、自身と教職員の変化を語っている。

　特別対談では、木村校長、干山会長、毛利主幹の３者が「函館市で進められてきた学校における働き方改革」「今後の働き方改革」をテーマに、学校・保護者・行政の立場から、今後の部活動の在り方や働き方改革を進める上での保護者の協力などについて意見を交わしている。

　辻俊行教育長は、今回のフォーラムについて「保護者の皆さんには、学校の現状や課題に対する理解を深めていただくとともに、各学校においては、毎日元気に子どもたちの前に立ち、未来につながる力を育む教育を行うために必要な取組がより一層進むことを願っている」と期待を寄せている。

　現在、市教委はホームページでデータを公開している。

(市町村 2021-04-12付)