札幌市小学校長会　２年度研究成果　研究集録集から　第２回　「学ぶ力」育成部〈下〉

（札幌市 2021-05-12付）

◆副主題「学ぶ力」を育む豊かで確かな学校経営の在り方

【コロナ禍における取組等】

◆コロナ禍において「学ぶ力」を育成する授業の実現に向かう校長のかかわりの実際

▼提言の視点１　「学ぶ力」を育む仕組みづくり～経営組織～

▽教職員に方向性とともに道筋を示す伝え方の工夫によって、一体となった取組が生まれる

・校長のかかわりの具体

　校長は、コロナ禍において目指す方向性や重点的に取り組むべきことを定め、その背景（実践の成果や課題等）とともに示すことで、組織が主体的に参画する意識を高める。

▽既存の組織の活用と効果を見据えた校長の関与によって、教職員の主体的な姿が生まれる

・校長のかかわりの具体

　学ぶ力育成プログラムを具現化するため、既存の組織の枠にとらわれずに効果的に研究を推進することができる組織を構築する。

　ＧＩＧＡスクール構想に合わせて、校長はＩＣＴ活用を学校経営に位置付け、組織化を図る。

コロナ禍の状況において、学ぶ力の育成に主体的に動く組織を構築するために、校長は、現状の組織とその働きを的確に把握し先見性や柔軟性をもって体制づくりを行うとともに、方向性や重点、道筋を明確に示すことが必要である。　　　　　　　

▼提言の視点２　校長の自己評価と授業改善～教育課程～

▽校長の意志を伝える「ツール」を活用し、その意思を効果的に教職員に浸透させる

・校長のかかわりの具体

　臨時休校に伴う教育課程再編成が単なる時数合わせにならないよう、その方針を校長が教職員へ発信する。同様に、保護者へもコロナ禍における教育活動への理解を図る発信を行うなど、内外へ校長の意志を積極的に示していく。

　教育課程編成に当たっての優先順位を意識させ、授業改善と直結する教育課程を目指す。

▽自己評価から、校長自身のかかわりを磨き、教育課程や授業改善につなげる

・校長のかかわりの具体

　「意志を伝える」「意志を動きへ変える」「意志が動きになっているか評価する」の３段階の自己評価。

　また、短期・中期・長期など目標を具体的に設定し、評価する。

コロナ禍において学ぶ力を育成するには、視界不良の中で校長が速やかで明確な方向性を力強く示す必要がある。主体的・端的・具体的・継続的に意志を伝えることがより重視される。また、校長自身の自己評価を取り入れたり学校評価を効果的に活用したりすることで、目標やかかわりがより磨かれ、学校としての取組の精度が向上する。　

▼提言の視点３　「学ぶ力」を育む授業のイメージの共有～意識改革～

▽教職員によい授業のイメージをもたせ目標を明確にした上で、計画や見通し（Ｐ）をもたせ、実践（Ｄ）させることで学ぶ力を育む授業を実現する

・校長のかかわりの具体

　校長は、コロナ禍の子どもの姿、教師の意識から課題をとらえ子どもに育む力の共有化を図る。また、目指す目標・方向性は強く示し、具体の方策は任せることで教職員の主体性を育てる。

▽コロナ禍であっても授業を評価（Ｃ）する機会を充実させるかかわりによって、教師が必要感をもって授業改善（Ａ）に向かう必要感をもたせる

・校長のかかわりの具体

　校長自身が授業観・評価観を磨き、授業実践の成果・課題についてスピード感をもって教師に発信することで、コロナ禍においても授業観の共有を進めることができる。

コロナ禍だからこそ明確になった子どもの姿、授業の課題を発見するアンテナを校長は研ぎ澄まし教職員に発信する力が求められる。そこを充実させることができれば、コロナ禍であってもＰＤＣＡを機能させ、学ぶ力を育むための教職員の意識を向上させることができる。　　　

(札幌市 2021-05-12付)