北教組 高校等配置計画案撤回求め声明 都市部除き衰退加速招く 合理的配慮など環境整備を(関係団体 2021-06-07付)
北教組(木下真一中央執行委員長)は2日、道教委の2022年度から3年間の公立高校配置計画案および2022年度公立特別支援学校配置計画案の撤回・再考を求める声明を発表した。「都市部を除く地域における高校の減少、疲弊・衰退を加速させる」とし、これからの高校づくりに関する指針を見直す必要性を指摘。障がいのある子どもの地元普通高校への入学・進級・卒業に向けた合理的配慮などの教育環境整備を早急に行うべきとし、撤回・再考を求めた。声明の概要はつぎのとおり。
道教委は6月1日、2022年度から3年間の公立高校配置計画案および2022年度公立特別支援学校配置計画案を公表した。
公立高校配置計画案は、2023年度について「留辺蘂を募集停止する」「美幌を生産環境科学科および地域資源応用科から未来農業科に学科転換し1学級減とする」「名寄および名寄産業の再編統合による新設校は、普通科4学級、情報技術科1学級とし単位制を導入する」と変更した。
新たに公表した2024年度については、2022~2023年度に4校で4学級増(1校は計画決定時に公表)、7校で7学級減とした上で、岩見沢東など6校で6学級減とした。
また、本年度の2次募集後に1学級相当の欠員が生じ学級減となった栗山など全日制23校、定時制1校の学級数は、9月の計画決定時に公表するなどとした。
さらに、野幌、千歳北陽に導入する新たな特色ある高校の総称を「アンビシャススクール」とした。
これらは、地域の実態を顧みず、これからの高校づくりに関する指針に基づき「1学年4~8学級」を適正規模として、中卒者数の減少を口実にした機械的な間口削減と再編統合などによる学級減を強行するとともに、これまで以上に高校の序列化に拍車をかけるものである。
留辺蘂の募集停止は、昨年「北見市内の高校配置に関する今後の地域における検討状況等を勘案するため期間を置く」としたものの、計画案では「中卒者数の状況、学校規模、募集定員に対する欠員の状況、地元からの進学率」など、数字のみをもとにした機械的な判断で、設置者としての存続責任を放棄するばかりか、高校の特色や地域の学校存続を求める声を考慮しておらず、容認することはできない。
また、野幌と千歳北陽に導入するアンビシャススクールは、子ども・高校を差別・序列化させかねないもので、「基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着や社会的・職業的自立に向け必要な能力や態度の育成に重点を置く」ことは、すべての子ども・保護者の願いであり、そのために必要な教育環境を道教委は整備すべきである。
地域連携特例校については、本別・標津を2022年度の募集学級数が1学級の場合に新たに導入するとし、平取・興部・阿寒については「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上に向けた具体的取組とその効果を勘案」として再編整備を留保するとした。しかし、基準は曖昧で、該当地域は子どもたちのためではなく、道教委に留保を認めてもらうための学校づくりを進めてしまう危惧がある。
大幅に人口減少・都市部への一極集中が進む道内において、こうした機械的な間口削減・再編統合、差別選別を一層進める公立高校配置計画によって、都市部を除く地域は高校が減少し、疲弊・衰退が加速するとともに、子どもの学びが侵害されている。
地域の教育機能を維持・向上させることは重要な課題であり、地域の特性や実情を十分に考慮するために、これからの高校づくりに関する指針を抜本的に見直す必要がある。
公立特別支援学校配置計画案は、2022年度の進学希望見込数を1352人とし、定員を全しょうがい児学校61校で1665人(昨年比8学級29人減)とした。
しかし、職業学科を含む知的高等支援学校24校では、定員を904人(昨年比2学級16人増)と増加した。
さらに、2023年度には「道央圏で2学級相当の定員の確保を検討」、2024年度には「道央圏で4学級相当の定員の確保を検討」するとしていることから、将来的には、しょうがい児学校の定員増によって、一層分離・別学に拍車がかかることは明らかである。
これは、文部科学省・道教委の進める特別支援教育が「分けることは差別につながる」とする国連障害者権利条約の理念に反し、どの子どもも共に学ぶインクルーシブ教育を阻害していると言わざるを得ない。道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた合理的配慮など、教育環境整備を早急に行うべきである。
北教組は、これからの高校づくりに関する指針や配置計画案が、受験競争の激化や高校の序列化を加速させるとともに、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、引き続き、道教委に対し撤回・再考を強く求める。
また、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもが地元で学べる地域合同総合高校の理念を生かした、豊かな高校教育の実現と子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障を目指し、道民運動を一層強化していく。
(関係団体 2021-06-07付)
その他の記事( 関係団体)
道言協 3年度役員等決定 新会長に里館校長 第54回稚内大会は中止
道言語障害児教育研究協議会(=道言協)の令和3年度役員などが決まった。新会長に札幌市立清田小学校の里館大校長を選任。事業計画では、新型コロナウイルス感染防止の観点から、第54回道言語障害児...(2021-06-09) 全て読む
道高P連3年度総会 非参集映像配信で大会 海東会長再任を決定
道高校PTA連合会(海東剛哲会長)は5日、令和3年度総会をオンライン開催した。本年度事業計画として、12日に旭川市内を主会場に、第70回道高P連大会旭川・留萌・名寄大会を非参集の映像配信形...(2021-06-09) 全て読む
遠藤会長の再任決定 道高野連 3年度役員
道高校野球連盟(=道高野連)の令和3年度事業と役員が決まった。札幌稲雲高校長の遠藤直樹会長を再任した。 事業計画には、各種大会、キッズフェスタ、ベースボールフェスティバル、中体連連携推...(2021-06-09) 全て読む
新会長に札白石・駒井氏 道高体連 3年度役員
道高体育連盟(=道高体連)は、令和3年度の役員を決めた。新会長に札幌白石高校の駒井博和校長が就任した。 任期は2年。前年度に改選したため、今回は欠員を補充した。前任者の残任期間を務める...(2021-06-09) 全て読む
高校・特別支援配置計画案撤回求め 20人学級 早急に実現を 道高教組・道教組が声明
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(中村哲也執行委員長)は7日、道教委の2022~24年度公立高校配置計画案と2022年度公立特別支援学校配置計画案に対し声明を発表した。新型コロナウ...(2021-06-09) 全て読む
新時代担う後継者を育成 道高協会総会 廣田会長あいさつ
道高校長協会の令和3年度総会における、廣田定憲会長のあいさつ概要はつぎのとおり。 コロナ禍が教育現場にもたらしたものとして、ICT環境の整備が挙げられる。GIGAスクール構想が前倒しさ...(2021-06-07) 全て読む
道高校長協会が総会・前期研究協議会 「育てる」など4S推進 来年1月に後期研究協議会
道高校長協会(廣田定憲会長)は3日、3年度総会・前期研究協議会をオンラインで開催した。247校から251人が参加。冒頭あいさつした廣田会長は、協会の運営に当たり、前年度の「支える」「備える...(2021-06-07) 全て読む
協働体制確立など掲げ 3年度活動方針と重点目標決定
道高校長協会の令和3年度総会では、協会と調査研究部の活動方針を決定した。協会運営では、確固とした協働体制の確立や組織的な危機管理力の向上などを掲げている。 本年度の協会と調査研究部の活...(2021-06-07) 全て読む
六稜会旭川連合会3年度方針 連携強化など3点 役員改選 西分会長再任
【旭川発】道教育大学六稜会旭川連合会は、令和3年度運営方針、新役員などを決めた。運営方針は、会の組織強化と会員の資質向上や、他団体との連携強化など3点。役員改選では、西分健二会長を再任した...(2021-06-04) 全て読む
六稜会上川連合会3年度役員等 後継者育成など推進 成田会長を再任
【旭川発】道教育大学六稜会上川連合会の令和3年度活動方針、新役員などが決まった。活動方針は、組織強化や後継者の育成など3点。役員改選では、成田光弘会長を再任した。 新型コロナウイルス感...(2021-06-04) 全て読む