新時代担う後継者を育成 道高協会総会 廣田会長あいさつ(関係団体 2021-06-07付)
道高校長協会・廣田定憲会長
道高校長協会の令和3年度総会における、廣田定憲会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
コロナ禍が教育現場にもたらしたものとして、ICT環境の整備が挙げられる。GIGAスクール構想が前倒しされ、小・中学校では1人1台端末が実現した。この環境で学んだ生徒たちが4年度に高校に入学する。
道教委からは、4年度の1年生から年次進行でBYOD(個人所有端末の持ち込み)を実施する方針が示された。実施までには様々な難題が待ち受けている。
しかし、さいは投げられた。やらない、できないという選択肢はない。ICTをいかに活用するか。本協会の強みは、道立、市町村立、私立すべての高校が加盟していることである。
ICTの活用に関する先進的な取組について、設置者にかかわらず情報を共有し、研修を深めていくことが大切である。積極的な情報交換をお願いする。
本年度も、コロナ禍の中での教育活動となっている。前年度は、目標としていた大会やコンクールの中止、楽しみにしていた学校行事の中止など、生徒たちはつらく悔しい思いをした。
一定程度、未曾有の事態を経験し、学校における感染防止策も明らかになってきた。生徒・教職員の安全と安心を確保することは大前提として、「できない」ではなく、「どうしたらできるか」という発想に立って、教育活動の機会を確保し、その質を高めていくことが校長の責務である。
本協会の運営に当たり、前年度は「支える」「備える」「攻める」の3つの「S」をキーワードに掲げた。本年度はこれに「育てる」を加えた4つの「S」をキーワードに所信を述べる。
1つ目のSは「支える」。
学校経営上の課題が、多様化・複雑化・困難化する中、1校を預かる校長として、厳しい対応・判断を迫られることは、どこの学校でも起こり得る。一人では困難なことも、仲間の“支え”があれば乗り切れることも多々ある。
感染症対応をはじめ、不祥事対応、保護者対応、生徒対応等で各校長が困っていることがあれば、遠慮せずに支部長・ブロック長に相談していただくとともに、支部長・ブロック長においては、筆頭副会長である林正憲札幌北高校長に情報を上げていただき、本部としても困り感を共有し、共に支えていく体制をつくり、解決の糸口を探っていきたい。
2つ目のSは「備える」。
本道においては、依然として教職員の不祥事が後を絶たない。これは、一部の職員の問題では済まされない。
校長は、信頼される学校づくりの根幹を揺るがす問題と認識し、服務規律の保持の徹底と不祥事の根絶に努めていかなければならない。特に、校長自身がパワー・ハラスメントと受け止められるような言動は厳に慎むべきである。会長として、ここに「パワハラ根絶」を宣言する。協力をお願いする。
不祥事防止や危機対応に“備える”ため、各支部・ブロック研究協議会において組織的な危機管理力の向上のための研修を深めていただきたい。
3年1月、中央教育審議会答申において「令和の日本型学校教育」として、今後の高校の在り方等が示された。今後は具体的な教育施策として現場に降りる。全国高校長協会(=全高長)事務局からは、高校教育をめぐる最近の動きとして、文部科学省の資料も添えながら、きめ細かく情報提供していただいている。
校長会員には、全高長から得られた情報は時間を置かず、すぐ提供する。校長間で教育改革の流れを理解・共有し、つぎへの備えをもった学校経営を推進していきたい。
3つ目のSは「攻める」。
道教委の施策について、校長協会に意見を求められることが多々ある。
小玉俊宏前教育長は「校長協会としっかりと手を携えて」ということを様々な機会に言ってくださった。大変ありがたいことであり、現場の校長の声を大切にしていただいている証と考える。
その期待に応えるためにも、校長協会は、求められるものに対してのみ答えるのではなく、攻めの姿勢で建設的な意見、創造的な提案をしていく必要がある。
そのためには、明確な根拠が必要であり、根拠は何かというと、全道の校長からの情報である。知恵であり、日々の実践である。
校長においては、各学校での実践の中で生じた現状に基づく率直な意見を、支部長・ブロック長に寄せてほしい。それを本部でまとめ、道教委をはじめ関係機関に校長協会として意見を述べ、提案していきたい。
4つ目のSは「育てる」。
ここ数年、教頭の確保と同時に、教頭の資質向上も喫緊の課題となっている。校長は、教頭を育て、支えることも重要な職務である。
校長一人では学校経営は推進できない。私たち自身の資質向上はもちろんだが、私たちを補佐する教頭の資質向上なくして学校経営の質の向上は望めない。
教頭・副校長の研修については、道北支部のチア・アップセミナー、道南支部の学校運営力アップセミナーなど素晴らしい実践がある。支部間での情報交換を密にして、各支部・ブロック単位での教頭・副校長研修を充実・拡充するなど、本協会として教頭・副校長会の研修活動を支援し、新時代の学校経営を担う後継者を育てていきたい。
本年度、協会は公立・私立合わせて279校の校長を会員としてスタートを切った。279校の1校として同じ学校はない。279とおりの学校経営があり、教育実践がある。だからこそ、全道の校長が集まり、それぞれの学校の学校経営や教育実践を情報交換することで、必ずや自分の学校経営や学校改革のヒントがみつかる。
一人の力は微々たるものかもしれないが、全道の校長がネットワークをつくって団結して行動すれば、その力は大変大きなものになると信じている。
私は広い校長室で、「お前は教員になったころの志を忘れていないか」「生徒に対する愛情と情熱を失っていないか」「理想を失っていなか」と自問自答するときがある。アメリカの詩人サミュエル・ウルマンの「青春」という詩に「青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言う」「年を重ねただけでは人は老いない。理想を失うときに初めて老いがくる」という一節がある。
教育には夢とロマンが大切である。教員になったときの志を思い起こし、理想を失うことなく、残り1年を切った会長の任を全うしたいと決意を新たにしている。
あらためて、校長の力添えをお願い申し上げる。
(関係団体 2021-06-07付)
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