網走市白鳥台小 道徳4授業公開 同時間接指導充実図る 4・5年複式 児童も進行役に
(学校 2021-10-28付)

白鳥台小公開研
佐野教諭が4・5年生複式授業を指導

 【網走発】国立教育政策研究所「教育課程実践検証協力校事業」協力校の網走市立白鳥台小学校(河村一恵校長)は15日、同校で公開研究会を開いた。研究主題「心を耕し、学びの種をまく~話す・聞く・書く活動を重視した授業づくりを通して、自己の生き方についての考えを深める子供を育てる」のもと、道徳の4授業を公開。4・5年生の複式学級では、交流場面で学習リーダーの児童による進行を取り入れ、同時間接指導の充実を図る授業を展開した。

 同校は、平成17年度にオホーツク心の教育推進プランパイロット校の指定を受けたことを契機に、長年にわたって道徳教育の研究を推進。「価値観」「児童観」「教材観」の明確な指導観に基づいた授業づくりに取り組んでいるほか、多面的・多角的な思考を促す交流活動、書く力を生かして道徳的価値を自分自身でみつめる活動などを位置付けている。

 さらに、30年度からは複式学級における道徳授業の研究を開始。同一内容項目、学年別教材を基本に、①複式学級における道徳科の基本的な指導過程を構想する②複式学級における道徳科指導の工夫改善を図り、児童の学びを保障する③複式学級における指導と評価の充実を図る―の3点を視点に研究を進めている。

 指導過程の中では、同時間接指導の時間を確保するため、学習リーダーによる進行を取り入れ、ICTを活用している。

 15日は、本年度の重点内容項目「親切、思いやり」について取り扱った4授業を公開。約60人が参加した。

 4・5年生の複式学級では、佐野圭介教諭が4年生「思いやりとは」(児童数9人)、5年生「親切とは」(児童数7人)を指導した。

 4年生は『思いやりって』、5年生は『道案内』を教材として活用。

 授業のねらいを、4年生は「骨折した友達に手を貸そうとする“わたし”の姿を通して、思いやりとはどんなものかについて考えさせ、相手の気持ちを察して進んで親切にしようとする判断力を育てる」と設定。5年生は「道に迷っているおばあさんに親切にしようとした“ぼく”や中学生の姿を通して、親切な行いをするときに大切なことは何かを考えさせ、自分自身が相手に対してどのように接し、対処することが相手のためになるのかをよく考えて行動しようとする実践意欲と態度を育てる」とした。

 4年生では、骨折した友達の夏美を手伝う主人公・わたしについて、「夏美の手伝いをしているとき、わたしはどんなことを考えていたと思うか」と発問。「治るまで手伝おうと思った」「ありがとうって言ってくれてうれしい」などの意見をもとに、思いやりのある行動のよさを確認した。

 その上で、中心発問「プリントをたたんだとき、悲しそうな夏美をみて、わたしはどんなことを考えていたと思うか」を投げかけた。

 児童の「手伝ってあげているのにどうして」「迷惑だったのかな」といった意見に対し、佐野教諭が「最初にした行動は思いやりのある行動ではなかったのかな」などと問い返すことで、自分では親切だと思っていても相手の気持ちや状況によって受け取られ方が違ってくることに気づかせた。

 それを踏まえ、「あなたは“思いやり”とはどんなものだと思うか」と発問し、相手のことを考えた思いやりの大切さなど、道徳的価値について考えを深めさせた。

 5年生では、道に迷うおばあさんに対し、地図を書いて渡した主人公・ぼくと木村くんの行動にふれ、「“いいことをしたあとは気持ちがいいなあ”とうなずきあったとき、2人はどんなことを考えていたか」と発問。「僕たち優しいな」「おばあさんも安心しただろう」など、親切にした方も、された方も気持ちがいいものということを引き出し、つぎの中心発問へつなげた。

 渡した地図が小さかったため、再度道を聞くことになったおばあさんの姿をみた木村くんの発言に着目し、中心発問「“ぼくたち、少し足りなかったのかな”と言ったとき、木村くんは何を考えていたか」を投げかけた。

 「おばあさんには見えづらかったのかな」「一緒についていけばよかったのかな」などの児童の発言を問い返し、理由を深掘りしていくことで、相手の立場に立った行動ではなかったことに気づかせた。

 それを踏まえ、「あなたが考える、親切な行いをするときに大切なことは何か」と問いかけ、教材を通して考えたことをもとに自分の経験や考え方と向き合わせた。

 各学年の思考・交流場面では、両学年ともに学習リーダーの児童に進行を担当させ、同時間接指導の時間を確保。児童同士の交流内容を見取ったり、児童の発言に対し思考を深める問いを投げかけたりした。

 授業後は研究協議を行ったほか、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官の浅見哲也氏が「道徳の本質に基づく道徳科の学び」と題して講演した。

(学校 2021-10-28付)

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