道教委 高校「情報」授業改善セミナー デジタル化で習熟度把握 スペシャリスト教諭ら講話
(学校 2021-11-02付)

道教委授業改善セミナー道東
タブレットを使ったワークショップも展開した

 【帯広発】道教委は10月26日、帯広緑陽高校(杉田良二校長)で道高校未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業の一環として、令和3年度授業改善セミナー教科指導講座(道東ブロック情報)を開いた。十勝教育局が主管。集合型で開催し、十勝管内をはじめ、オホーツク、釧路、根室の各管内から高校教職員15人が参加。道教委ICT教育推進局ICT教育推進課ICT教育指導係の佐藤公敏主査の説明や、帯広緑陽高の教科「情報」スペシャリストの宮川尊充教諭による実践発表、授業体験などを通じ、中学校と高校の円滑な接続に向け、資質向上を図った。

 事業は、新学習指導要領の実施に向け、生徒が未来社会を切り拓くための資質・能力を育成するため、生徒に求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する社会に開かれた教育課程の実現を目指す取組。

 事業の目的に、「カリキュラム・マネジメントの確立」「思考力、判断力、表現力等の育成」「主体的・対話的で深い学びの実現」の3点を掲げ、①総合的な探究の時間推進プロジェクト②カリキュラム・マネジメント推進プロジェクト③次世代人材育成プロジェクト④主体的・対話的で深い学びプロジェクト⑤基礎診断プロジェクト―の5つのプロジェクトを設定した。

 授業改善セミナーは、教員の教科指導力向上および主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、授業改善の取組を推進する。中学校の学習指導要領が全面実施となり、プログラミング教育が取り入れられた中で、中学校技術・家庭科などのプログラミング教育と高校における情報科の円滑な接続のため、教職員の資質向上を図るもの。

 26日、助言者の佐藤主査は、「新学習指導要領改訂の趣旨を踏まえた共通教科情報科の指導および評価について」と題して説明。①想定される未来社会と学びの受容②学習評価の改善と基本的な方向性③これから求められるICTを活用した教育―の3点を示した。

 ①について、学習指導要領改訂の背景として、生産労働人口減少に伴って働く人一人ひとりの労働生産性を高める重要性を強調。AI(人工知能)とかかわって、知識を詰め込むだけの教育活動には限界があると指摘した。

 共通教科「情報」の学びを通して子どもの資質・能力をどのように育成するのかについて、「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピューターとプログラミング」などの単元を履修することで、機器の操作を学ぶことにとどまらず、生徒が自ら能動的に学びに向かう学習を通して、テクノロジーを活用した問題解決型の学びが求められていると強調した。

 ③については、過去10年間の情報教育環境の変化を振り返り、タブレット端末を用いた1人1台端末を活用した教育活動を説明。全国・全道の小・中学校の活用事例を示し、担任教諭や友達とデータを共有しながら対話を重ね意見を吸収していく授業を動画で示した。

 最後に、「中学校でクラウドやプログラミングを使う子どもが高校に進学してくる」「大学では授業にクラウドを活用している」とし、高校の学習指導要領全面実施に向けてICTの活用や情報科の授業改善の必要性を訴えた。

 続いて、宮川教諭が実践発表。授業後の振り返りにおけるGoogleフォームでの提出、課題提出のクラウド化、配布プリントのデータ化、生徒用発表資料の共同編集、アンケート結果のテキストマインニング化などの取組を紹介した。

 デジタル化の成果を、生徒一人ひとりの習熟度の把握につながったとした一方、確認問題のデジタル化などについては紙のプリントで解答させた場合と比較して、「アナログで行う場合とデジタルで行う場合の効果を検証し、精査していく必要がある」と強調した。

 また、校内業務のクラウドの活用やオンライン学習の実践などについて発表した。

 このあと、宮川教諭が講師を務めプログラミング言語「Python」を使った基礎プログラミングとデータ分析の演習ワークショップを展開。参加者は授業改善の方向性について理解を深めた。

(学校 2021-11-02付)

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