札幌ノホロの丘小 初の実践研究会 バター製造の歴史学ぶ 4年社会 独自の地域教材
(札幌市 2021-11-04付)

ノホロの丘小公開研
児童たちの気付きを促す授業を展開した

 札幌市立ノホロの丘小学校(松尾則明校長)は10月29日、同校で第1回教育実践協同研究会を開催した。令和元年度の開校後、初の研究会。研究主題「目標をもって、心豊かに、力強く、自分のよさを発揮する子どもの育成~主体的・対話的で深い学びの授業を目指して」のもと、国語、社会、算数など15授業を公開。4年生社会では、同校独自の教材を活用しながら、上野幌地域で北海道バターの製造が始まり、本道の酪農業発展に寄与したことについて理解を深める学習を展開した。

 同校は、上野幌西小学校、上野幌東小学校を統合し、元年度に開校した。母体校の児童たちの実態を踏まえ、学校教育目標を「目標をもって 学び心豊かに行動し 力強く生きる子どもの育成」とし、研究主題を設定。研究の視点には、①子どもが主体的に学ぶ学習構成②子どもが互いに学び高め合う学習構成―の2点を据えた。

 主体的に学ぶ学習構成では、本年度の重点に「気付き」を設定。“問いを生む”“解決へ向かう”“自分を高める”の3つを単元の学習を通して繰り返し、学びをつなげることを目指した。

 互いに学び高め合う学習構成では、「対話」を重点に設定。“教材”“他者”“自分”との対話を大切にし、連続したり繰り返したりして、学習を積み重ねていくことを目指した。

 開校後初の研究会では、国語、社会、算数など15授業を公開した。

 うち、4年1組社会「わたしたちの北海道をひらいた人々」(新藤穂奈美教諭、児童数39人)は、上野幌を舞台にした同校独自の教材。「日本酪農の父」と呼ばれる宇都宮仙太郎(1866~1940)が、上野幌で取り組んだバター製造を題材に、先人の苦労や努力にふれながら、上野幌や北海道といった地域に対する見方や考え方の深まりをねらった。

 本時は、8時間扱いの6時間目。宇都宮がバターをつくり続けた意図を考えることを通して、児童たちの多角的な視点や表現・発言を導き出し、北海道の酪農の発展につながったことに気づくことを目指した。

 新藤教諭は冒頭、雪印バター誕生の記念館を見学し、実際にバターづくりに取り組んだ前時までの学習を振り返り、バターづくりの大変さをあらためて思い起こさせた。その上で、苦労してつくったバターが東京や大阪で全く売れなかったことを示し、「どうして売れなかったんだろう」と問いかけた。児童たちは、「(値段が)高かった」「知名度がなかった」「北海道のバターに対する信頼がなかった」などと答えた。

 新藤教諭は、バターが売れないにもかかわらず、生乳が次々と運ばれる状況に「自分たちだったらどうする?」と問いかけ、児童同士のペアトークで考えさせた。

 宇都宮が、保存用のかめを買い足してまでつくり続けたことを説明。児童が「どうして売れないのにバターをつくり続けたの?」と発問し、児童たちに1分間で自分の考えを記述するよう促した。児童たちは、「バターづくりに自信があったから」「北海道のバターを知ってほしかったから」「つくり続けないと、牛乳がむだになってしまうから」などと発言した。

 新藤教諭は「そもそも、宇都宮さんはどうしてバターをつくり始めたのかな」と発問。「酪農家に対する思い」「人々に対しする思い」の2点から、前時までに学んだバターづくりのきっかけを振り返らせ、児童たちの「バターをつくることで酪農家を助けたかった」「健康によい食品だということを広めたかった」という考えを引き出した。

 宇都宮の努力によってバター販売にたどり着いたが、産地を書き換えられて販売されたラベルを見た児童たちは、一斉に疑問の声を上げた。

 新藤教諭は最後に、宇都宮が北海道を強調したラベルにこだわった理由を問いかけながら、北海道のバターを売って酪農家を助け、本道における酪農業発展の契機となったことに気づかせた。

(札幌市 2021-11-04付)

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