札教研事業 秋の研究集会(中学校)
(札幌市 2021-11-02付)

 10月13日にオンラインで開催した札幌市教委の令和3年度札幌市教育研究推進事業(=札教研事業)秋の研究集会では、教科研究グループごとに中学校の授業を配信した。主要5教科に加え、体育、音楽、美術、技術、道徳などの授業を配信。それぞれ研究主題のもと、あらかじめ収録した授業動画などをGoogle MeetやZoomで共有しながら、日ごろの研究の成果を発表した。中学校3教科グループの授業の様子を紹介する。

◆1次方程式で解を求め 数学部会 幌東中

 中学校数学部会は、幌東中学校(荒島晋校長)の1年2組(越前陽也教諭)「1次方程式」の授業を配信。一部が欠けたレシートをもとに、合計を求めるために必要な情報を整理し、解を求めることで日常生活で1次方程式を活用する授業を展開した。

研究テーマは、「見方・考え方を働かせ、深い学びの実現を目指す授業づくり~課題探究的な学習を通して」。研究の視点は前年度からの継続で、①生徒の学習過程が課題の解決を目指した具体的で文脈性のある活動②生徒自らが能動的に他者とかかわり合い、協働的に課題を解決する活動③生徒同士の活動によって、互いの自己有用感が育成される活動④個々の生徒が方法や考え方に着目した見通しをもって課題解決へ向かったり、それが解決に寄与したかどうかを振り返ったりする場面が設定されている―の4つを掲げた。

 前時までに、等式の性質や様々な方程式、比例式の活用などについて学んできた。本時は17時間扱いの17時間目。「日常生活において1次方程式を利用する良さに気づくこと」を目標に設定した。

 はじめに、一部の商品の値段と合計金額の記載が欠けたレシートを提示。600円の商品を購入した上で合計2100円のうち、300円と200円の商品を同数購入した際の個数を求めた。

 つぎに、算数的解法と数学的解法の2つで計算。算数的では、1500÷500=3、数学的では500x=1500の方程式から、x=3と解を示し、方程式を使用しなくても計算できることを確認した。

 このあと、レシートの情報を変更。合計5410円のうち、300円が4個、200円が10個に設定。また、200円の商品は300円より1割安かったことを踏まえて計算した。

 方程式で計算したあと、算数的解法で解を求めることが難しいことを全体で共有するとともに、日常生活の中で方程式を活用する良さについてグループで交流した。

◆実験通し化学変化考察 理科研究部会 もみじ台南中

中学校理科研究部会は、もみじ台南中学校(大川博校長)の2年1組(渋谷啓一教諭)の「化学変化」の授業を配信。鉄と硫黄の化学変化について、実験や考察に取り組んだ。

 研究テーマは、「自然とかかわる中で自ら理科の見方・考え方を働かせ、(自然の事物・現象を)科学的に探究する力を育む理科教育」。研究の視点に、①課題探究的な学習の展開②理科の見方・考え方と育成すべき資質・能力―のを2点設定し、自然事象へのはたらきかけや科学的な概念の形成など9項目を踏まえた授業研究を進めてきた。

 単元「化学変化」は11時間扱い。今回は、1~3時間目までの授業の様子を配信した。授業の目標に、「水ができる化学変化を原子・分子のモデルで説明しながら、科学反応式で表す」「鉄と硫黄の混合物を加熱する実験を安全に行い、生成した物質を調べる」「課題解決の課程を振り返ろうとしている」を設定した。

 1時間目の授業では、水が合成される際の化学変化を化学反応式で確認。単元を通した課題として、「化学変化にはどのようなものがあるのだろうか」と示すとともに、「鉄と硫黄の混合物を加熱すると、どのような化学変化が起こるか」を学習課題として提示した。

 2時間目は、これまでの既習事項を活用し、自身で仮説を立てた。その後、鉄と硫黄の混合物を加熱する実験に取り組み、加熱前・加熱後の違いや磁石に対する反応などを観察・記録した。

 3時間目は、2時間目の実験結果をもとに、考察をオンラインで全体に共有。他の考えを参考にした上で、自身の考察内容を導き出した。

◆球技で改善点を共有 体育研究部会 星置中

 中学校体育研究部会では、星置中学校(藤本尚人校長)の3学年(横山祐子教諭)「球技(ネット型:バレーボール)」の授業を配信した。様々なスパイク練習を通して、タイミングよくボールに当てるコツやコースを打ち分けるコツを学習。生徒たちは、作戦ボードを活用し、チームごとに話し合いながら気づいた点を発表し、学びを深めた。

 中学校体育研究部会は、研究テーマに「分かった、できたが実感できる保健体育の授業づくり」を掲げ、研究の視点に、①生徒が運動や健康についての自他の課題を発見できるようにするための指導方法などの工夫②分かった、できたが実感できる指導と評価の工夫―の2点を設定。課題探究的な学習を取り入れた授業の実践とともに学ぶ力の育成に向けた5つのポイントから最重点ポイントを明確化した授業づくりなどを目指して研究を進めてきた。

 配信した球技(ネット型:バレーボール)は、10時間扱いの5時間目。前時までに、パス、レシーブ、サーブの練習やチームの課題確認のためのミニゲームなどを行ってきた。

 本時では、生徒たちがスパイクの合理的な動きと自己や仲間の動きを比較して、成果や改善すべきポイントとその理由を仲間に伝えられるようにすることや、練習の補助をしたり仲間に助言したりして、仲間の学習を援助できるようにすることをねらった。

 横山教諭は、準備体操やパス練習、自己やチームの課題を確認させたあと、本時の課題「空いた場所を見つけて攻撃を展開するにはどんな動きが必要か」を提示。生徒たちは、ワンバウンドスパイクや助走してジャンプキャッチ、ジャンプスパイクなど様々なスパイク練習を通して、タイミングよくボールに当てるコツやコースを打ち分けるコツを学習した。

 引き続き、3対3のセットアップスパイクミニゲームを実施。ブロックで相手の攻撃を防ぎ、効果的なレシーブから自チームの攻撃につなげるよう練習した。

 横山教諭は、作戦ボードを用意し、生徒たちに作戦を視覚的に共有させ、話し合いで用いたボードを活用し気づいたことを発表するよう促した。

 最後に、生徒たちは、次時の簡易ゲームに向け作戦会議。ゲームで使ったボードを活用してよかった場面を振り返った。

(札幌市 2021-11-02付)

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