札幌市 初のヤングケアラー実態調査 中高生4% 家族を世話 意識して対応 学校3割
(札幌市 2022-02-15付)

 札幌市子ども未来局は10日、ヤングケアラーに関する初の実態調査結果をまとめた。自分が世話をしている家族が「いる」と回答した割合は、中学生が4・3%、高校生は4・1%となった。世話が必要な家族が「父親」「母親」である場合、祖父母や兄弟と比べ、身体的、精神的なつらさなどを感じる割合が高くなる傾向となった。学校の把握状況では、ヤングケアラーへの対応として、「言葉を知っており、学校として意識して対応している」と回答した学校は全体の28・8%だった。

 調査は、市立中学校、高校、中等教育学校、特別支援学校(中等部・高等部)の112校、約5万1100人を対象に、昨年11月12日から12月10日の期間で実施。生徒用調査の有効回答数は3844件で、回収率は7・5%。学校用は111件で、回収率は99・1%となった。

 今回の調査結果は、昨年12月の速報値に学校用アンケートの調査結果などを加えたもの。

 生徒用調査結果をみると、自分が世話をしている家族が「いる」と回答した割合は、中学生が4・3%、高校生は4・1%。このうち、世話をしている家族の続柄は、「きょうだい」の割合が最も高く、中学生が72・1%、高校生が58・8%となった。

 家族構成と生活の影響をみると、ひとり親家庭の子どもは、二世代世帯・三世代世帯と比較して、「勉強する時間が取れない」「自由になる時間が取れない」「睡眠が十分に取れない」「学校を遅刻・早退してしまう」などの傾向が高いことが明らかになった。

 世話が必要な家族が「母親」「父親」の場合、世話の頻度が「ほぼ毎日」になる割合は、母親が75・0%、父親が72・7%にのぼり、祖父母や兄弟を世話する場合と比べて、身体的、精神的なつらさや時間的余裕のなさを感じる割合が高くなる傾向になった。

 世話の頻度と支援してほしいことの関係性をみると、「ほぼ毎日」と「週に3~5日」の子どもは、「自由に使える時間がほしい」「自由に過ごせる場所がほしい」「自分の今の状況について話を聞いてほしい」と回答した割合が高かった。

 世話することが「身体的につらい」と回答した子どもは、「睡眠が十分に取れない」「自分の自由になれる時間がない」と感じており、11・8%は「学校に行けないことがある」など、学校生活に影響が出ていることが分かった。

 また、「身体的につらい」「精神的につらい」「時間的に余裕がない」と回答した子どものうち、相談経験がない理由をみると、「相談しても状況が変わるとは思わない」「相談した相手を困らせたくない」と感じている割合が高い傾向となった。

◆ヤングケアラー学校の65%が把握

 学校用の調査では、自校におけるヤングケアラーの把握状況などについての項目を設けた。

 調査結果をみると、ヤングケアラーへの対応では、「言葉を知っており、学校として意識して対応している」が28・8%だったのに対し、「言葉は知っているが、学校としては特別な対応はしていない」が68・5%だった。

 意識して対応していると回答した学校の実態把握については、ヤングケアラーの児童生徒を「把握している」が65・6%と、最も高かった。一方で、「ヤングケアラーと思われる子どもはいるが、実態は把握してない」が18・8%だった。

 ヤングケアラーの有無では、「いる」が44・1%、「分からない」が39・6%、「いない」が16・2%。「分からない」と回答した学校をみると、把握してない理由として、95・5%が「家族内のことで問題が表に出にくく、実態の把握が難しい」、38・6%が「子ども自身がヤングケアラーという問題を認識してない」を挙げた。

 また、支援が必要と思われる子どもの特徴として、「学校を休みがち」「精神的に不安定さがある」「保健室で過ごしてることが多い」「遅刻や早退が多い」などの傾向があると捉えていることが分かった。

(札幌市 2022-02-15付)

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