苫小牧市4年度教育行政執行方針 義務教育学校設置を検討 苫小牧支援と合同研修会開催(市町村 2022-03-07付)
五十嵐教育長
【苫小牧発】苫小牧市教委の五十嵐充教育長は4年度教育行政執行方針において、義務教育学校の設置検討や苫小牧支援学校との合同研修会開催などを示した。苫小牧型小中連携教育「苫小牧ALL―9」に基づき、義務教育9年間で一貫・連携した教育を進めてきたが、これを一層推進するために義務教育学校の設置を検討する。特別支援教育については、3年度に開校した苫小牧支援学校との合同研修会の実施を盛り込んだ。コミュニティ・スクールについては全市的な導入を見据え、導入地区の実績等を情報発信するとした。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼小・中学校の一貫・連携した指導の推進
苫小牧型小中連携教育「苫小牧ALL―9」に基づき、確かな学力の定着や豊かな人間性と健康な体の育成等について、中学校区のエリアごとに義務教育9年間で目指す子ども像に向かう計画を策定し取組を推進する。9年間の一貫した指導や専科指導をより推進するため、義務教育学校の設置を検討する。
▼基礎学力の確実な定着
全国学力・学習状況調査等の結果を分析し、本市教育の共通取組事項である焦点化・イメージ化・視覚化に基づく授業改善を推進していく。専科教員の活用や習熟度別授業、ICTを活用した学習機会の保障など、個々の学習状況に応じた指導の充実を図る。
▼ICTの活用促進
タブレット型学習用端末などを活用し、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現を図る。ICT機器を効果的に活用した授業改善の推進のため、活用事例の情報提供やモデル授業の公開などに取り組む。
▼外国語教育の充実
ALTを効果的に配置し、コミュニケーション能力の育成を重視した英語に親しみ、活用する機会を増やす。外国語研究委員会による研修・授業公開を行い授業改善に努める。幼稚園等や放課後児童クラブ、ナナカマド教室にALTを派遣する。
▼特別支援教育の充実
授業公開や研修、相談の充実を図るなど、一人ひとりの特性に応じて一貫した指導を行えるよう専門的な知識を高め、指導力の向上に努める。個別の支援計画を活用した福祉機関との連携を進めるとともに、苫小牧支援学校との合同研修会を実施するなど連携を強化する。
▼教職員の資質向上
教育研究所において、本市の実態に即した学習指導の徹底、今日的な教育課題への対応など、児童生徒、保護者の信頼を得られるよう様々な研修講座を対面とオンラインを併用して実施する。教育先進地を視察し、結果を授業改善委員会などで本市の取組としてまとめ、各学校で共有する。
▼道徳教育の推進
子どもたちが考え、議論する道徳の授業となるよう改善に努めるとともに、実践事例の周知に取り組む。「こころの授業」に外部講師を招き、子どもたちが自分らしさに気づき、互いの違いを認め合い、正しい生命観を培う指導の充実に努める。
▼体力・運動能力の向上
健康な体の育成に向け、全ての学校で子どもたちが目標を持って積極的に運動するよう「心と体の育成プラン」に基づく取組を進める。体力向上に向け、効果的な指導を行っている学校の実践例を周知し、普及を進める。
▼健康教育の充実
規則正しい生活習慣の習得や性に関する教育等の保健教育を推進する。新型コロナウイルス感染症対策を継続するとともに、偏見や差別のない環境づくりに努める。
▼食育の推進
子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、積極的に食育に取り組む。食物アレルギーを有する子どもたちが学校給食を楽しめるよう、対応食の拡大を図るほか、食物アレルギー対応マニュアルに基づき安全・安心な提供に努める。
▼不登校児童生徒への支援の充実
不登校対策プランに基づく取組として、未然防止の観点から、不登校対策モデル校の校内体制を構築し、効果的な支援・対応の在り方について引き続き調査・研究していく。早期対応の観点から、市内2ヵ所に設置した学校適応指導教室の活用などによって、個に応じた支援を充実させ学校復帰につなげる。
▼いじめ防止の取組の充実
いじめの予防と適切な対処を図るため、日常の観察や教育相談、定期的なアンケートの実施などによって、早期発見・対応に努める。いじめ問題子どもサミットを開催し、各学校での児童会・生徒会活動などにおける主体的な取組の充実を図る。
▼就学支援の充実
就学援助制度の活用を促進するほか、困り感のある児童生徒の早期把握に努めるなど適切な支援を行う。多子世帯の負担軽減として、引き続き3人目以降の児童生徒の学校給食費を助成する。
▼地域とともにある学校づくり
コミュニティ・スクールを導入している勇払中学校区・開成中学校区において、家庭・地域と協働して子どもたちを育てる環境を充実していく。全市的なコミュニティ・スクール導入を見据え、導入地区の実績等の他校への情報発信に努める。
▼学校における働き方改革
校務支援システムの利活用や学校業務の効率化、スリム化によって、教職員が
子どもたちに向き合う時間を確保し、本来担うべき業務に専念できる環境の整備に努める。民間の人材を活用した専門的な知識・技能を有する部活動指導員の配置を継続する。地元の高校生等に教員の魅力を伝えるため、市内小・中学校でのインターンシップ受け入れを促進する。
▼安全・安心な学校施設の整備
樽前小の改築のほか、沼ノ端中や泉野小の改修を進める。ウトナイ小の増築や各校の改修を計画的に推進する。
▼学校規模適正化の推進
ウトナイ小の狭あい化や植苗地区、勇払地区における各学校の在り方など、現状と課題を保護者、地域と共有しながら対応を検討する。
▼幼児教育との連携
幼児教育と小学校との学びを円滑に接続するため、スタートカリキュラムの充実を図るとともに、前年度策定した『幼小接続ハンドブック』に基づく取組を推進する。
▼読書活動の充実
民間委託を視野に中学校への学校司書の配置拡大について引き続き検討する。親子が共に本を読み、感想を話したりする親子読書を継続する。
▼家庭教育力の向上
市PTA連合会等と連携し、望ましい生活習慣の確立に取り組む。保護者向け一斉情報配信システムを活用し、家庭教育情報紙『ほーむ&すくーる』を継続発行する。
▼地域の教育力を生かした環境づくり
各学校において、地域資源を活用した特色ある取組を推進する。通学路交通安全プログラムに基づき、各関係機関・地域や学校と連携を図り、通学路の交通安全に努める。
▼防災教育の充実
『学校防災マニュアル』に基づき、各学校で防災の全体計画を適切に運用し、子どもたちの安全確保に万全を期す。外部講師を招いた体験的な学習など、児童生徒が主体的に行動できる取組を進める。
▼環境教育の充実
持続可能な社会やゼロカーボンシティの実現を目指して、体験的な学習など地域と連携した活動等を進める。
▼生涯学習の充実
小学1年生に本を贈る「セカンドブック事業」に新たに取り組む。
▼美術博物館
アイヌ文化に関する企画展などを開催する。
▼科学センター
宇宙ステーション「ミール」をはじめとした科学展示や天文普及・科学体験事業を継続する。
▼文化芸術活動の推進
小中学生が演奏家から直接指導を受ける演奏クリニックなどの事業を含めた苫小牧音楽祭を実施する。
(市町村 2022-03-07付)
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