道立図書館 第2回図書館協議会 電子図書館の利用促進 年度内に第4次事業計画策定(道・道教委 2022-03-25付)
電子図書館へ多くの質問と期待が寄せられた
道立図書館は18日、同館で3年度第2回図書館協議会を開き、4年度の運営計画案などについて協議した。4月からスタートする電子図書館など4年度の事業について説明・協議。5年度から始まる第4次道立図書館事業推進計画の策定や、北日本図書館大会北海道大会の開催、マイナンバーカードによる貸出開始などについても説明した。
協議会には、オンラインを含め10人の委員のうち9人が参加した。
事務局が4年度の運営方針や重点、事業計画について説明。運営の重点は、道内の図書館網のセンターとしての市町村立図書館等の支援や、「仕事」「暮らし」「行政サービス」への支援をテーマとした課題解決型サービスの充実、子どもの読書活動の推進などに加え「4月から新規導入する電子図書館の利活用の推進に努め、遠隔地も含めた利用者の利便性の向上を図る」ことを盛り込んだ。
電子図書館は、約3000冊の電子書籍をいつでもどこからでも閲覧できるもの。事務局が「非来館型サービスで24時間どこからでも閲覧できる」「コロナ禍でも外出せずに本が借りられ、遠隔地などでなかなか来館できない方でも閲覧できる」「辞典や辞書など、これまで貸出不可だったものも自宅で閲覧でき、学校の授業や調べ学習にも活用できる」などと説明した。
また、5~9年度を計画期間とする第4次道立図書館事業推進計画について、11月から原案を検討し、5年3月の策定を目指すことを説明。
4月からマイナンバーカードでも本の貸し出しができることも示し「初回のみ図書館カウンターで簡単な手続きが必要」「当館一般資料閲覧室、北方資料室の各カウンター端末で利用できる」などと述べた。
事業計画では、市町村立図書館等の支援で、新たに生き物や宇宙などの科学読み物や縄文文化に関する読み物のセットを整備し「SDGsセット」「アイヌ文化探究セット」などとともに、学校図書館での活用を促進するとした。
また、市町村立図書館職員等のスキルアップのため、ホームページで動画等のコンテンツを提供するほか、図書館ポータルに研修で配布した資料等を公開。ウェブ会議システムを活用しオンライン研修や運営相談等を行うなど、ICTを活用した遠隔研修の推進を盛り込んだ。
課題解決型サービスの充実に関しては、教育・子育て、医療・健康、福祉、まちづくり、環境など地域に役立つ情報コーナーを充実。近代美術館の特別展と連動し、蔵書の特設コーナーを設けるなど道内美術館等との企画展示を行う。
子どもの読書活動の推進に関しては、学校に約1000冊の本を提供する学校ブックフェスティバルなどの各種事業のほか、学校図書館における電子図書館の利用促進のため広報等を行う。
北方資料センターでは、ふるさと動画DVDを活用した利用講座などの各種事業や、電子データで公開されている地域資料の収集や保存、利活用について検討する。
このほか、東北6県の県立図書館と連携し、主催する事業に協力するとともに、道内図書館に情報を提供。また、北日本図書館大会北海道大会を6月8~9日、札幌市で開催することを報告。
資料の整備に関しては、児童書を100冊購入し、計700冊とするほか、各種受賞作品や、調べ学習に活用できる資料、課題解決型サービスに対応する資料など、子どもの読書活動推進のための資料を収集することを述べた。
このあと協議に移行。委員からは、電子図書館について質問が集中し、
「3000冊のうち、文字の拡大や音声が聞ける本はどのくらいあるか」「紙の本と同じ本はあるか」「ページ数が多いとダウンロードに時間がかかるのではないか」「同時のアクセスはできるか」「事前に予約することは可能か」「学校図書館で使う場合は」
と様々な疑問が寄せられた。対し図書館では、
「PDFは基本的に拡大・縮小は自由。EPUB形式なら読みやすいようにレイアウトも変えられる。音声は、表示された文字をブラウザの機能で読み上げるので、7割ほどはできるのではないか」
「紙の蔵書と同じ本は3分の1程度で、特に辞典・辞書関係に多い」
「閲覧形式なのでダウンロードの時間がかからず快適に読むことができる」
「アクセスは1書籍1アクセスなので、授業で1冊の本を全員で閲覧することはできないが、先生が電子書籍を画面に映し出し、読み上げることなどは可能」
「予約はできない。同時にアクセスが重なる確率は2~5%という話だが、確実に使えるとは言えない」
「利用規約では、個人または図書館が利用できるとされているので、先生も児童生徒もまず個人として登録してほしい。学校等への案内は追って作成する」
などと答えた。
このほか、子の読書活動の推進に関し「読み聞かせボランティアだが、コロナでほとんど活動できていない。ライブ配信などはできないか」との質問が。
図書館では「道内でもユーチューブなどを使った取組が見られるが、出版社によっては著作権の関係上認めていないので許諾が必要。このためオリジナルの絵本を使って読み聞かせを行っているところもある。アップロードなどのノウハウは個別に案内できる」などと答えた。
また「道立図書館はあと4年で100周年を迎えるが、何か計画はあるか。良いPRの機会になるし、今までの活動の記録をきちんと残してほしい」との質問もあり、対し図書館では「創立100年には、何らかの形に残るものをやりたい。道民に図書館はこういうところだと分かるものを示したい。5ヵ年計画にも盛り込み、協議会からも意見をいただきながら検討を進めていきたい」などと述べた。
次回の協議会は7月に開き、電子図書館の運用状況等について協議する予定。
最後に宇田賢治館長があいさつ。「電子図書館は初めての取組。様々な意見をいただきながら、良いものにしていけるよう一丸となって取り組む」と述べた。
(道・道教委 2022-03-25付)
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