チャレンジテスト分析ツール 活用進む 「授業改善に役立つ」と好評 オホーツク局 課題把握し指導徹底(道・道教委 2022-03-29付)
【網走発】ほっかいどうチャレンジテストの結果を詳細に分析できる「分析・活用ツール」を活用した授業改善がオホーツク管内で進んでいる。オホーツク教育局が独自に、北見工業大学と共同で開発したもの。昨年7月にS―P表(学校・学級別解答状況整理表)作成ツールを各学校に提供。ツールを活用して一人ひとりの子どもが苦手としている部分を客観的に分析し、弱点に合わせた個別指導の徹底を図るなど「授業改善に役立つ」と好評。また、自動的に表が作成されるため、分析資料作成などにかかる教職員の負担軽減にもつながっている。
管内では、学力向上に向け各学校の検証改善サイクルの確立が課題に挙がっていた。平成31年度全国学力・学習状況調査の質問紙調査によると「PDCAサイクルを確立している」と回答した学校の割合が小・中いずれも全道平均を10ポイント程度下回った。
こうした状況を改善しようと、同局は本年度、北見工業大と共同でほっかいどうチャレンジテスト分析・活用ツールを開発した。昨年7月下旬、先行してS―P表の作成ツールを各学校に提供。チャレンジテストの結果を集計表に入力し必要な手順を踏むと自動的にS―P表に変換されるため、少ない負担で全国学力・学習状況調査と同レベルの分析が可能となった。
北見市立緑小学校(佐藤亮校長)は導入前、道教委の学力向上ウェブシステムからチャレンジテストの平均正答率表や棒グラフを印刷・回覧して学年や学級の全体的な傾向をつかむのみにとどまっていた。児童の個別のつまずき、つまずきの多い領域などについては具体的に把握できていなかったという。
ツール導入後は、S-P表をもとに管理職が全体の傾向を分析したあと、教務主任、専科教員、学習指導員が個別の問題についてさらに分析し、課題を全教職員で共有。「S-P表を使うことで、平均正答率だけでは把握できない課題も見え授業改善に役立つ」と手応えを口にする。算数の専科教員は、課題を受けて四則計算の定着に力を入れるなど、各教員が学級や児童の状況に応じた授業改善につなげている。
遠軽町立白滝中学校(加藤敦校長)は、以前はチャレンジテストの分析・授業改善の状況について教科担任ごとにばらつきがあったという。現在は、S-P表による分析結果を全体で共有し、課題の見られた単元・領域における指導方法を検討。生徒一人ひとりの弱点に合わせた解き直しテストを作成して授業の中で実施するなど、補充学習や学び直しの機会を充実させた。同校は「生徒自身が自分の苦手分野を把握するとともに、個別指導の徹底を図ることができた」と成果を示す。
同局がことし1月に開催した第2回組織力強化会議では、S-P表の活用について参加者から「各学級の課題が明確になり、改善策を考えることができた」「理解力が低い生徒への手立てを再考するきっかけになった」「次年度への引継データ、校内研修資料など、様々な方法で活用したい」など、良さを実感する声が多く寄せられた。
一方、「小規模校では学級の傾向や児童の状況が把握しやすいため、S-P表を活用するメリットが感じにくい」「活用方法がよく分からない」といった声も出されていた。
同局は今後、動画資料の作成などを通して好事例を発信し活用の促進を図っていく。
また、4年度にはチャレンジテストのCBT化が本格的に始まることから、CBT化に対応できる入力シートを4年度以降に提供する予定。併せて、レーダーチャート、度数分布、児童生徒個人票の作成ツールを提供する計画だ。
谷川敦次長は、ツールを活用した働き方改革や授業改善が進むことで「先生方の生活の充実や教える楽しさ・自信となり、子どもたちの学力向上、豊かな成長などにつながってほしい」と期待する。
(道・道教委 2022-03-29付)
その他の記事( 道・道教委)
オホーツク局 現職校長に贈る言葉 学校経営のヒントに 退職校長19人がエール
【網走発】オホーツク教育局は、『令和の学校経営を託された全ての現職校長に贈る言葉』を発刊した。管内教育の礎を築いてきた退職校長19人が、現役時代にどのように困難を乗り越えてきたかなど「校長...(2022-03-30) 全て読む
道教委 プログラミング教育事業 指定校の成果等発信 実践事例集第4編を作成
道教委は、『教育の情報化に関する実践事例集(プログラミング教育第4編)』を作成した。プログラミング教育事業の研究実践校20校の授業実践やカリキュラム・マネジメントの好事例を掲載している。 ...(2022-03-30) 全て読む
道教委 学校の働き方改革促進へ アイデア・バンク公開 現場の好事例・提案99件
道教委は、北海道学校における働き方改革アイデア・バンクをホームページ上で公開した。学校現場から提供のあった業務改善の好事例やアイデア99件を校種・内容別に分類して公表。採点業務のICT化や...(2022-03-30) 全て読む
空知局 管内教育実践表彰を伝達 優れた活動たたえる 各教委教育長ら通じ
【岩見沢発】空知教育局は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため3年度管内教育実践表彰の表彰式を中止した。各教委の教育長らを通じて表彰状を贈呈。優れた教育活動をたたえるとともに、今後の活躍...(2022-03-30) 全て読む
4月20日から全9回 ほっかいどう学かでる講座
道生涯学習協会は、4年度「ほっかいどう学」かでる講座の日程をまとめた。4月20日の「美しい話し方~報道番組の裏側」を皮切りに全9講座を開講する。 同講座は、道民の学習ニーズや今日的な課...(2022-03-30) 全て読む
道教委いじめ対応状況調査(11月末) 認知1万2867件 解消率微増 49・3%に
道教委は、いじめの問題への対応状況の調査結果(3年昨年11月末現在)をまとめた。認知したいじめの件数は前年同期と比べ1087件増の1万2867件。解消率は各校種いずれも上昇し、1・5ポイン...(2022-03-29) 全て読む
5年度インターハイ総合開会式 札幌稲雲高 菊地さん最優秀 ファンファーレ入賞10作品
道教委は、5年度全国高校総合体育大会(インターハイ)北海道大会総合開会式ファンファーレ募集の選考結果を公表した。最優秀賞を受賞した札幌稲雲高校の菊地裕斗さんをはじめ計10作品が入賞。最優秀...(2022-03-29) 全て読む
チャンネルを開設 渡島局 ユーチューブ活用 管内の取組 定期的に配信
【函館発】渡島教育局はユーチューブチャンネルを開設した。第1回の投稿として、道実践的安全教育モデル構築事業拠点校・函館市立恵山中学校の授業実践動画を配信。今後は校種を問わず、管内の教育活動...(2022-03-29) 全て読む
道教委 文化部活動推進成果報告書 指導・管理を分業化 紋別市の取組 会場設定等課題
道教委は、3年度地域部活動推進事業(文化部活動)の成果報告書を公表した。地域指導者と教育委員会による指導・管理の分業体制を構築し、中学校3校での合同部活動に取り組んだ紋別市の取組を掲載。今...(2022-03-28) 全て読む
体力・運動能力調査結果 各管内の状況 第8回 上川
◆分析 小学校 【113校、児童数3517人】 ▼実技 各学校において新体力テスト分析ツール等を活用し、全学年・全種目の実施および課題のある種目の複数回実施による体力向上の把握など、...(2022-03-28) 全て読む