社会と教育の民主的発展を 道教組・中村執行委員長あいさつ概要
(関係団体 2022-03-30付)

 道教組第35回定期大会における中村哲也執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 コロナ感染拡大による学級・学年閉鎖・臨時休校が相次ぎ、収束の様子はみえず、蔓延防止等措置の期間は延期された。子どもたちは、いつ終わるのか分からない見えないウイルスとの戦いの中で、大人以上の大きな不安を抱えているのではないか。私たちは、その中でコロナ禍だからこそ見えてきた、本来の学校の在り方、子どもの見方が現れたのではないか。組合員の皆さんが日ごろより奮闘していることに敬意を表する。私たちは、コロナ禍のもと、学校の役割は何かの問いに向き合ってきた。学習指導要領スタンダードのおしつけではなく、子どもたちの実態から出発した学校づくり教育課程づくりこそ今必要である。

 さて、本年度、ギガスクール構想等による教育のICT化がどのような影響を及ぼすのかの検討が不十分なまま、一気に進められようとしている。個人情報保護・人権擁護の問題や生活健康に及ぼす影響。民間教育産業参入の問題などとともに、自主的な教育・授業づくりなどを阻害する危険性も指摘されている。

 また、教員免許更新制廃止の先に、研修計画履歴の管理がデジタル化と伴って進められようとしていることは重大だ。自主的研修を守り広げることは教育の自由を守ることであり、自主的な教育課程づくり、学校づくりにもつながるものである。研修は子どもたちの現実に基づく自主的なものであること、民主的なものであること、共同な学びを大切にすることが必要ではないか。

 本大会で、私がみなさんに最も呼びかけたいことは、現在、改憲勢力が3分の2以上の議席を占めたことを受けて、憲法改悪を進める動きが加速している。今、私たちのスローガン「教え子を再び戦場に送るな」は、目の前の子どもに直接責任を負う、私たち教職員運動の過去から未来にわたる切実な使命である。

 私たちは教職員の一致した要求を掲げ、保護者・地域市民の皆さんとともに声を上げ運動を広げてきた。この間、小学校三十五人学級を実現する義務教育標準法が改正、過大過密解消への足がかりとなる特別支援学校設置基準が策定し、教育基本法改悪の具体化策として進められてきた教員免許更新制が廃止の方向へと切り開いたことなど実現してきた。1年単位の変形労働時間制導入許さない連帯の取組では、条例化された北海道でも多くの自治体でそれを許していない。その教訓は職場の要求や声を集めて取り組んだこと。保護者・市民・教育関係者と幅広い取り組みを粘り強く進めたこと。情勢を分析し全道・全国で連帯し行動してきたことにあるのではないか。あらためてナショナルセンターとして全教の存在と道教組の役割は今、鮮明である。

 要求実現の原動力は組織の拡大強化である。青年教職員や新採の職員はいわゆるZ世代。環境問題やジェンダー問題などにも敏感で自分らしさを大切に、行動する世代と言われている。昨年は理不尽な校則改正をはじめ、多くの多様性の尊重、個人の尊厳の保障などを求める動きが社会で高まった。それは私たちの取組と噛み合うものでである。すべての取組を組織拡大強化に前進させようではないか。

 一方、多くの教職員が多忙化の中で目の前の仕事を消化することにいっぱいで、教職員の連帯を実感できないと言う現実もある。一人ひとりの苦悩や要求は決して個別のものではない。子どもたちを育てる仕事をしている者として真実を語り、誇りを持って仕事をするために、働き続けられる職場にするために、すべての教職員にあなたに組合に入ってほしい正面から呼びかけたい。

 道教組は、対面加入促進が困難の下で総合共済加入が現勢回復した。全教レベルでも13年連続の増勢となる。今後の私たちの運動を展望し、豊かな大会討論を通して運動方針を確認していただくことをお願いし、執行委員会を代表としてのあいさつとする。

(関係団体 2022-03-30付)

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