函館市教委　不登校対策で冊子　寄り添った支援充実へ　巴中、五稜郭中の取組紹介

（市町村 2022-03-31付）

　【函館発】函館市教委は、不登校に関わる対策をまとめた冊子『不登校およびその傾向がみられる児童生徒への対策～一人ひとりに寄り添った支援の充実のために』を新たに作成した。本年度不登校対策モデル事業のモニター校として取り組んだ函館市立巴中学校と五稜郭中学校の成果と課題も紹介。函館市教委の木村理希教育政策課長は「各校の実情に応じた取組を今後も推進してもらえれば」と期待を寄せている。

　市教委は欠席日数が多い不登校児童生徒だけでなく、不登校傾向がみられる児童生徒を含めた学習機会の保障や自立に向けた支援に向け、各校や関係機関と連携を強化しながら不登校対策に取り組んでいる。

　各校では「未然防止」「初期対応」「自立支援」の３つの取組のもと、自己有用感を高める学級経営を推進。登校時や在宅時におけるＩＣＴの積極的活用や、面談・学習履歴に基づく出席認定の検討なども行っている。

　市教委は各校や児童生徒、保護者への支援として「不登校防止対策の推進」「教員研修の充実」「ＩＣＴを活用した学習システムの利用」「教育相談・相談窓口の開設」「適応指導教室・相談指導学級の開設」を中心に取り組んできた。

　また、本年度は不登校対策モデル事業を独自で実施。巴中と五稜郭中をモニター校に、端末やオンライン教材などを活用し、不登校および不登校の傾向がみられる児童生徒の実態やニーズに応じた効果的な学習支援などに関わる取組事例の収集を行った。

　今回、不登校に関わる取組や課題を整理した冊子『不登校およびその傾向がみられる児童生徒への対策～一人ひとりに寄り添った支援の充実のために』では、各校の取組と市教委の支援についてあらためて解説したほか、不登校対策に関わる学校体制を例示。

　資料として、不登校児童生徒への基本的な対応例や不登校対策モデル事業モニター校の巴中と五稜郭中の実践も紹介。

　両校では、不登校生徒を支援するために整備した空き教室を活用し、校内フリースクールやサポートルームを設置。オンライン教材を活用した授業によって「ＩＣＴを活用した学習履歴の蓄積は出席認定の判断材料とすることができた」「オンライン教材の単元対応表・記録シートの活用によって、計画立案から振り返りまで生徒が行うことで、自ら学習に取り組める個別指導を行うことができた」などの成果があった。

　このほか、不登校児童生徒が自宅においてＩＣＴ等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠等の取扱いに関する資料も掲載。

　市教委の木村教育政策課長は「これまで実施してきた取組を整理した冊子の活用によって、各校が今後も実情に応じた取組を推進してもらえればうれしい」と話している。

(市町村 2022-03-31付)