釧路市4年度教育行政方針 ICT対 面 ハイブリッド型推進 新たに小・中ジョイント事業(市町村 2022-03-31付)
岡部教育長
【釧路発】釧路市教委の岡部義孝教育長は、4年度教育行政方針において、GIGAスクール構想による1人1台端末の導入の進展に伴う課題としていた授業改善について、ICTの優位性と対面の利点を融合したハイブリッド型授業の推進等に取り組み、新たな時代に求められる授業像を確立していくことを示した。また、学校間の連携強化を図るため、新たに「小・中ジョイントプロジェクト」を立ち上げる。小中連携協議会を再編し、学力向上や生活指導上の課題解決へ協議を深めるとともに、ジョイント授業の計画的な実施に取り組む。
教育方針の概要はつぎのとおり。
【生きる力を育む学校教育の推進】
▼確かな学力の確立
3年度に認定制度を創設した授業マイスターと学力向上委員会の連動によって、全市的な規模で課題を把握・分析し、学校個々における特性も踏まえながら授業マイスターによる授業公開や動画配信等を通して、目指すべき授業の在り方を具体的に示し、教員の授業力向上を図る。また、授業とは教員と子どもたちが共同してつくり上げるものとの認識に立ち、教員が自らを自己評価することに加え、児童生徒によるアンケート方式の授業評価を取り入れるなど、新たな視点を加味した授業評価と改善を進めていく。
加えて、学力向上に取り組む上での課題を把握し施策に反映すべく、市標準学力検査と連動した生活・学習意識調査を7年ぶりに実施するほか、小・中学校を通して統一した様式による家庭学習計画表の導入を進めることで、切れ目のない学習習慣の定着を促すとともに、道教育大学釧路校の協力による中学校における放課後学習サポート事業等を継続し、基礎的な学力の定着と個々の到達度に応じた学びの実現に努めていく。
社会の変化に対応する力の育成として英語科教員の授業力向上を図るべく、全校に配備される英語科デジタル教科書の活用も含め、外国語教育アドバイザーによる巡回指導をより効率的に行っていく。
また、キャリア教育については釧路青年会議所との連携協定に基づき、3年度から実施したキャリアシンポジウムやジョブカフェを全中学校において教育課程に位置づけるとともに、ICTを活用したキャリア教育を推進する。
特別支援教育では、個々の実態に即した適切な指導に向け、特別支援教育指導員を増員するなど支援体制の充実を図るとともに、医療ケア児に対しては、訪問看護ステーションへの事業委託を通して体制を拡充し心身の状況等に応じたきめ細かな支援を進めていく。
▼豊かな心の育成
情報の正確性や必要度を自ら判断する能力を養い、心の教育の充実を図るために読書を活用。4年度は朝読書の徹底や、学校支援ボランティア等との連携による魅力ある学校図書館づくりなど、小・中学校を通した具体の施策に結び付けるとともに、PTA連合会や連合町内会、中央図書館等とも連携し、家庭も含めた全市的な読書活動の推進を目指していく。
いじめの未然防止と迅速な対応に向けては、各学校において、いじめやその兆候を積極的に認知する体制を強化すべく、研修講座を開設するとともに教育相談の充実を通して、早期の解決に努めていく。また、オンライン授業の活用とともに学校適応指導教室や青空学級における支援の継続も含め、子どもたちが自らの居場所を見つけ、将来への選択肢を広げるための学習機会を確保できるよう、子に寄り添った支援を進めていく。
▼健やかな体の育成
各学校における体力向上計画に基づく発達段階に応じた運動習慣の確保に努める。子どもたちが運動の楽しさや喜びを実感できる授業や体育行事の充実を図るとともに、新給食センター建設についても7年4月の供用開始を目指し、5年度の着工に向け基本・実施設計を完了する予定。
【育ちと学びを支える教育環境の充実】
▼充実した学びを支える教育環境の整備
学校施設長寿命化計画に基づき、幣舞中学校において体育館の屋上防水改修を実施するなど、施設の効率的な維持管理に努めていく。
安全で快適な教育環境の整備を目的とし、3年度に設置した「釧路市立小中学校のあり方検討委員会」からの中間報告をもとに、地区ごとに市民レベルでの意見交換の場を設け、それらの議論も踏まえ4年度内には、今後の基本方針となる「仮称・釧路市がめざす学校のすがた基本計画」を策定していく。
▼信頼に応える学校づくりの推進
魅力ある学校づくりを推進するため、新たに小学校6校、中学校2校でコミュニティ・スクールを導入するとともに、地域学校協働活動推進員を中心とした地域学校協働本部事業とを両輪として機能させる中で、地域と共にある学校づくりをより一層進めていく。
また、教職員の資質向上を図るため、指導主事による全学校の学校教育指導を充実し、全ての教員の授業を参観するとともに、各校のデータを分析し、教育課程や学校指導、生活指導等の分野ごとの課題を可視化しながら解決に向けた方策を示していく。
また、北陽高では4年度からの普通科単位制への移行に合わせ、英語教育の充実に向けて専属のALTの配置や英語資格試験にかかる受験料の助成を行っていく。
学校における働き方改革では、3年度に作成したアクション・プランに基づき校務の見直しを行うとともに、中学校における部活動指導員の導入に向けた検討を進め、また、国が4年度からの本格導入を掲げた小学校での教科担任制の効果的な活用等を通して、さらなる負担軽減に取り組んでいく。
▼健全な育ちを支える連携・協働の強化
学校間の連携・協働の推進を図るため、新たに「小・中ジョイントプロジェクト」を立ち上げ、中学校区における9年間の連続した学びをより重視すべく、小中連携協議会を再編し、学力向上や生活指導上の課題解決に向け協議を深めるとともに、家庭学習計画表の活用や、小・中学校の教員が相互に授業に出向く「ジョイント授業」の計画的な実施など、小中連携の強化を推進していく。
子どもたちが主体となって身近なテーマを掲げ意見を交わし合う「釧路市子どもミーティング」や保護者や地域の方々、関係機関との意見交換の場である「学校・家庭・地域と共に考える教育懇親会」は今日的な教育課題の解決に向けた現場に横たわる生の声を施策に反映させる上で、有意義であり4年度も継続して行っていく。
【新たな学びを創る生涯学習の推進】
▼主体的な学びの推進
生涯にわたっての学びの基盤となる読書習慣の定着を促すため、中央図書館ではブック・フェスティバルなど学校における取組への支援を強化するとともに、学校・家庭・地域との連携による読書週間に合わせた啓発イベントの実施や、新たな施策である図書の郵送貸出サービス等を通して、全市に広がる読書活動の推進に努め、多様な学びの場を提供していく。
また、快適で安心・安全な生涯学習活動を支える施設の機能維持・向上に向け、改修等を計画的に進めるとともに、蔵書や貸出等を管理する図書館システムの最適化、こども遊学館の展示機器の更新等によって魅力ある施設環境づくりを進めていく。
▼自然との共生と文化芸術の振興
多様な生態系を育む本市の壮大で豊かな自然と、郷土の歴史や伝統に培われた文化芸術を後世へつないでいくことを重要視し、このため国の特別天然記念物の指定から70周年を迎えるタンチョウと阿寒湖のマリモについては保全への理解を深める巡回パネル展等を通して、普及啓発に努めていく。
また「あたらしくしろ」のテーマのもと、道内では初の開催として、3日間の会期中に内外から1万4000人の参加を得た「エンジン01in釧路」から4年が経過し、これを一過性のものとせず、あらためて地域の文化芸術の振興とまちの活性化を目指す後継事業「エンジン02in釧路」の開催を支援していく。
▼健全な心と身体を育む活動の推進
幅広い年齢層に対応した講座や、障がいのある方も安心して参加できる講座等、感染症対策には万全を期しつつ、多様な機会の提供に努めるとともに、指導者の育成にもつながる総合型地域スポーツクラブの支援に引き続き取り組む。
また、スポーツ合宿では、合宿誘致スーパーバイザー協議会を再編し、新たな協議会委員の人脈や経験を生かしたさらなる合宿の誘致を進めていく。
(市町村 2022-03-31付)
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