留寿都村教委　中学生対象に新規事業　格差解消と学力向上に　民間学習塾講師が遠隔授業

（市町村 2022-05-31付）

生徒は１人１台端末を活用し、授業を受けている

　【小樽発】留寿都村教委は本年度から新規事業として、村内の中学生を対象に民間学習塾と連携したオンライン授業を開始した。学習塾がない村内の学習環境の向上を目的としたもの。生徒たちは貸与されている１人１台端末を活用して、自宅などから塾講師の授業を受講している。佐々木利明教育長は「都市部との教育格差の解消と、学力向上につながれば」と期待を込めていた。

　村では「定住人口の維持と子育てをする上での有利性を発信し、移住者を呼び込む」という考えを村政運営に掲げている。これに沿い、村教委は放課後等学習支援事業「まなびサポート」など、様々な子育て支援を実施してきた。

　本年度は新たに大手民間学習塾と提携し、オンデマンド配信による家庭学習用教材のオンライン授業を開始した。

　対象科目は国語、社会、数学、理科、英語の５教科で、教科ごとに２０～１００コマの授業が用意されている。受講する生徒たちは、２年度から貸与されている１人１台端末を使用し、自宅や公民館学習スペースなど、好きな場所から好きな時間に授業を聴講することができる。聴講料は村が負担しており、４月時点で村内中学生の４割超が利用登録している。

　佐々木教育長は事業実施の背景について「村外に出ないと学習塾がない、という教育格差の解消を図ることがねらい」と話す。前年度からまなびサポート事業を実施し、学習場所づくり等を行ってきた中で「さらに学習を指導してくれる人が必要だと考えていた。そんな折、塾側からオンライン授業について提案を受けた」という。

　村では３年度に村内のネット環境を整備しており「１人１台端末端末を学校で使うだけではなく、有効に活用できれば」との思いもあり、オンライン授業の導入を決めた。

　「今後は小学５・６年生まで対象を広げることを視野に入れている」とし「学習習慣の定着が広がれば、学力向上等効果も徐々に見えてくるはず。学びを学校だけに任せずにサポートしていきたい」と話している。

(市町村 2022-05-31付)